第15話
俺も欲しいと思ってたんだよ、世紀の大怪盗みたいな二つ名。
俺なんか魔なし嘘つきだからな!これほどかっこ悪い二つ名も中々無いからな。
俺はこいつとどこで間違えてこんな酷い差が生まれてしまったんだ。
「これはいつ届いたんですか?」
「昨日です」
昨日?
昨日届いて来る場所がここ?
「なぜここに来たんですか?もっとあるんじゃないんですか?頼る所が」
まぁそうだよな、普通だったらサテライトに行くべきだよな、こんな学生に頼らずに。
「私もそう思ったのですが、今サテライトの方達はお忙しいとの事だったので」
「忙しいから断った?」
「そんな事あるのか?」
俺も同じ感想だ、そんな事で大丈夫なのか?サテライト。
あ、でも、そういえば最近師匠が何日も帰って来てないからそれと関係あるかも。
「どうしてそんなにお忙しいのか聞いたのですが答えてもらえませんでした」
師匠に聞いたら教えてくれるかな?面倒くさいから無理なんて事は無いだろう。
こういうのって気になっちゃうよね、思春期の男の子って。
「あ、ですが、数人は出せると言ってました」
「数人か…」
部長はカレンちゃんの言葉を聞いて難しい顔をする。
数人って何人の事を言ってんだろう?具体的な数字を出さない事で文句を言わさない気だな。
「シューヤさん。タクトもなかなかの事だとは思うんですが、こんな小さい事件みたいに扱うことあるんですか?」
確かに、世紀の大怪盗って言われるほどだから大事件なはず。
「そうだね。何かが起こっていることは確かだね」
世紀の大怪盗が来る事を軽い事みたいにするって事は世紀の大事件じゃないと割に合わないぞ。
「それでどうしてここに来たのかな?」
そうだよな、サテライトが忙しいのとここに来るのは別だよな。
それにここの部活ってビックリするくらいみんな知らないからなぁ。
「ここに頼れる奴がいるからここに頼れとサテライトとの方が言っていましたので」
結構マイナーな所をお勧めしたな、学園にいる奴らでも知らない奴が多い部活なのにな。
でも、部長は良い意味で有名人だし、レンは良い意味でも悪い意味でも有名人だから個人で見ればそこそこ良い感じではある。
ちなみに俺は悪い噂しかない有名人だ…。
「僕たちがどうこう出来る次元じゃないと思うけど」
「それでも何もしないよりは何倍も良いはずです」
部長の言う通り今まで捕まえられなかった世紀の大怪盗を学生の俺たちが捕まえられるはずがない。
だけど、
「やりましょう部長。俺たちはボランティア部ですよ、困ってる人がいたら手を差し伸べましょう」
「魔なしのくせに何出しゃばってんだよ」
うるさいレン。
「そうだね、ありがとうジン」
俺の言葉を聞いて笑ってそう答えた。
「カレンさん。その依頼はこのボランティア部が責任を持って受けさせてもらうよ」
「あ、ありがとうございます!」
部長の言葉を聞いたカレンちゃんは思わず立ち上がってお礼を述べる。
俺はそれを見てカレンちゃんは相当不安だったのだろうと思ってしまった。
だけど、ちょっとでもその不安が軽くなったのなら良かった。
それにこれで俺が功績を上げたらカレンちゃんは俺に惚れるかもしれない。
マイちゃんのリベンジをここで果たさせてもらおうか。
「明日打ち合わせをするらしいので、明日私の屋敷に来てください」
「分かりました」
「じゃあ私はここで失礼します。本当にありがとうございました」
この部屋に入って来た時とは対称的で、笑顔でこの部屋を出て行った。
可愛かったなぁ。
「もしかしたら僕たちに出来る事なんてないかもしれない。でも、頼られた事には全力で応えよう」
「「はい」」
さすが部長だ、言うことが違う。
「レン」
明日に備えて俺たちも帰ろうとしていたら部長がレンを呼んだ。
「君の魔力の量は天性の才能だと言ってもいいけど、まだまだ操れてない。君がそれを操れるようになったら僕をも超える逸材になる。期待してるよ」
「ありがとうございます!」
えー!いいなぁ!部長にそんな事言ってもらえて。
レンが言ってもらえたって事は俺も言ってもらえるって事だよね?
「ジン」
キタ!
「明日寝坊したらダメだからね」
え…。
それだけ?
レンにはいっぱい良いこと言ってたのに俺は遅刻したらいけないって事だけ?
理不尽だ。
「分かった?ジン」
「分かってますよ!ガキじゃないんですから!」
俺は走って部室から出て行った。
部長のバカ!部長は俺の味方だと思ってたのに!
絶対に俺が明日一番に行ってやる!
〜次の日〜
チュンチュンチュン
ガバッ!
あ、やった…。
寝坊した。
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