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第13話 生まれ変わった飛行機
アンジュが消えてしまうかもしれないと知り、レオたち二人は
「上昇気流って、どっかで聞いた気がするんだよね……」
二人のそばでアンジュは考えこんでいた。
「そうだ、アリエルよ! 飛行機をプレゼントされた時、言われたのよ。移動してる間に高さが落ちても、新しい上昇気流をつかまえればまた上がってこれるからって」
「「そんな大事なこと、
パイロットとして乗っていたのにと、レオと学はあきれてしまう。
「え? えーと、まあいいじゃない」
「それよりあんたたち、
アンジュはピンチに置かれているというのに、
7月も終わりに近づいたころ、アンジュの飛行機が生まれ変わった。
折れた
「じゃあ、さっそく明日、
「それがいい。3日後からは2~3
夕方、学と入れ
丸ごとのスイカというのは、とてもワクワクするものだ。
じいちゃんはスイカが大
レオは部屋にいるアンジュにもスイカを運んだ。そのあと、じいちゃんに完成した飛行機を見せた。
じいちゃんは虫メガネでものぞきこむように、顔の前に飛行機を
「これは飛ばすのが楽しみだなあ」
じいちゃんは
ほんとだろうか。
「
「明日、テスト飛行をしてうまくいったら、あさって――えーっと……」
アンジュを空に送り出すことを言いそうになって、じいちゃんにはアンジュのことを何も説明していないのを思い出した。
じいちゃんはレオを
「ほらな。こういう風に進むやつはたいていよく飛ぶんだ」
じいちゃんにそう言われると、レオは本当にうまく行きそうな気がしてきた。
学の
次の日の朝。レオたちは緑が池公園に行った。しかし思ったよりも強い風が
「おかしい。今日はおだやかな風だという
「どうしよう」
テストをすませてしまいたかったのに。
アンジュが学の調べているスマホの天気予報をのぞきこんで笑った。
「なに? この予報。この公園の中でも、あっちとこっちでは風の強さも向きもちがうのに、ずいぶんおおざっぱね」
「そうだな、言われてみれば」
3人のまわりの風がおさまったかと思うと、公園の向こうの
学は物知りだけど
「お昼になったら、弱まるよ」
アンジュがそう言うので、みんなはもう一度夕方に出直すことにした。
アンジュはますます
「きのう、じいちゃんに聞いたんだ。この調子なら、きっとうまく飛んでくれるよ」
これまでとはゴムの巻き方も変えた。
プロペラに指をかけて回すのではなく、一度ゴムを
「今日のところは
「そうだね」
学に機体を押さえてもらい、レオはゴムを巻く。いそがしそうな二人をアンジュはカバンの中から見上げ、
「わたし、出番がぜんぜんなかった」
この時だけではない。レオや学と出会ってからずっと、アンジュは自分の飛行機に手出しできなかった。それなのに飛行機はこうして修理を終え、もうすぐ飛び立つかどうかという所までやってきた。
「ちょっとだまってて。何回巻いたか、わからなくなるから」
レオにそう言ってじゃま者あつかいされ、アンジュはふくれっ
「ふんだ」
ゴムを巻き終わるとレオが言った。
「出番がほしいんならさ、風の向きを読んでよ」
このテストの一番の山は、上昇気流に乗せることができるかだ。
それには、正面から弱い風が吹いている時に飛び立たせるのが
「はあ? そんなことわざわざ聞かなくてもわかるでしょ?」
アンジュは、まわりを見まわした。
「ほら!」
そう言って指をさす。そちらに注意を向けると、
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