第11話 夢のつづき・豆知識2
「よし、じゃあ行くよ!」
あらためてゴムを目いっぱいに巻き、40度くらい上を向けてそっと投げる。するとさっきよりももっと飛んだ。
落ちる直前に右に
「今の、どのくらい飛んだかな!?」
「100メートル近くは行ってるよ!」
学も興奮して答えた。
ずいぶん飛んだ。
レオはうれしくて、落ちた飛行機を取りに
「ここから先は飛行機を
学が言った。そうすれば、広場の外に飛び出させずに
ゴムをしっかり巻いて手を離すと、機体がスーッと舞い上がった。3人は
「早く、
「きゃははははは!」
学とアンジュが、
飛行機はみんなの
「うわーっ。 すごいなー!」
まるで空を自由に飛ぶトンビのようだ。どのくらいの時間が
「なに今の!! すごい高さじゃなかった?」
「2~300メートル、いやもっと上がってたかもな」
「おお~っ! やった!」
広場の端の草むらに落ちた4号機を
「よーし。じゃあ、次はいよいよ5号機だ~!」
それから5号機のテストと調整が始まった。
次の朝。
レオは飛行機を作らず、子供部屋のつくえに向かっていた。夏休みなのだから、朝はまずは宿題! ではなくて、つくえの上にはアンジュの飛行機が。レオはそのあちこちに定規を当てては、
ピンポーン。
そこに学がやって来た。
「5号機は、4号機よりずいぶん重いだろ? その分、ゴムにもっとパワーを持たせる必要があるのかもしれないな。プロペラももっと大きくしないと」
実はきのう、
「それから、きのうはうっかりしてたけど、次はアンジュの重さに相当するおもりを乗せて
いつものレオならここで学といっしょになって、これからどんな
「あのさ、やっぱりゴムはやめて電池にしようよ。学も最初、その方がいいって言ってたよね」
「ええっ?」
設計図を書くレオから、 “ねり消し”という名の消しゴムのかすをもらって遊んでいたアンジュは、
「どうした?
学が聞く。
「きのうの4号機、ずいぶん高く飛んだと思ったんだけど、あれで2~300メートルっていうんじゃ雲までなんて
「あきらめるの、早いな。らしくない」
「……別にゴムじゃなくても家に帰れればいいんだからさ、電池でいいじゃん。その方が、
「確実かどうかは、まだしっかり調べたわけじゃないから本当のところはわからないが。ゴムで動かす方が、軽い分、
「うーん、そうなんだ」
「それにレオは、アンジュの飛行機のデザインを気に入ってると言ってたじゃないか。電池なんて乗せていいのか?」
「いいよ、この
いつもは見た目のよさも大切にするレオが、「デザインなんて」と言うなんて、なんだかおかしい。
「ちょっと! わたし、やり方変えるなんて話、聞いてないんですけど!?」
「何かあったのか? レオ」
「……あのさ……」
レオは二人に、夢のことを話そうかと
「おやつ取ってくるから、アンジュはちょっとここで待っててっ!」
そう言うとレオは、「学はこっち来て!」と学の手を引っぱって部屋の外へ出た。
「あっ! こらっ! あんたぜったい、おやつじゃないでしょっ! 何たくらんでんのよーっ!」
残されたアンジュのさけび声が、大きく――といっても実際はかなり小さいんだけど――
レオは部屋から
「実は――夢で見たんだ、完成した飛行機のゴムが
「だから……なんと言っていいか……つまり、
レオはこわごわと学に聞いた。
「……死んじゃうんじゃない?」
死ぬ、という言葉を口にするのはとても怖いことだった。
「だからぼくは、アンジュを無事に家に送り
人に使ってもらう物を作るというのは、大変なことだ。作ったもののせいで事故が起きたら、作った人の責任だ。レオのおじいちゃんが言っていたのもそういうことだったんだと学は思った。
「そうか……そうだよな。わかったよ」
自分が作りたいように作るというのではなく、使う人を大切にしようとしているレオを、学は
「――電池で飛ばす方法を
★ここで
みんなは電池がどんなものか見たことあるよね? どんな時に使うのかも、きっと色々知っているよね。
じゃあモーターはどんなものだか知ってる?
このお話の中で、電池を使うアイデアが出てくるときには必ずモーターもいっしょに登場するけど、プロペラを「くるくる」回してくれるのは電池じゃなくてモーターなんだよ。電池はプロペラを回すんじゃなくて、モーターに元気をあげる「ご
ではゴムはというと、くるくる巻かれたゴムが元に
電池とゴムの重さについて、学はゴムの方が軽いと言っていたけど、身近にある電池と輪ゴムを思い浮かべてみると確かにそんな気がするよね。でも、よく飛ばそうと思うと長ーいゴムが必要で、その重さに比べるとそれよりずっと軽い電池やモーターも身のまわりをよく探したらたくさんかくれているんだよ。
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