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第10話 試作機を飛ばしに
その夜、レオはおそろしい夢を見た。またアンジュがカラスにやられそうになっているのだ。助けなきゃと思うのに体が動かない。
(
レオは
(はあ。びっくりした)
レオは暗い中、牛乳パックの家を見た。静かな
(今日は最悪だったな)
昼のことを思い出し、ため息をつく。
(アンジュにケガがなくてよかったよ)
昼間のできごとはレオにとって、とてもショックだった。カラスを
じいちゃんがいつの間にか外に出てきたことにもレオは気づかなかった。じいちゃんはアンジュを見て少し
「
と。
だけどもう
飛行機が完成した夢。
アンジュを乗せ、空高く舞い上がったその先で、ゴムの力が
そこから飛行機はまっさかさまに――
レオはガバッと飛び起きた。
(夢でよかった)
本当に、夢で助かった。
夏休みが始まった。ゴーグルを
「わぁっ。ここ、わたしとレオが出会った場所よね」
学との待ち合わせ場所の池に着くと、アンジュがさけんだ。
「ほら! 見て見て! あれボートじゃない?」
天気もよくてご
「飛行機の上からも見えて、気になってたんだ~。乗っていかない?」
「だめだめ。あれはお金かかるんだから」
「ええー! お金かかるのー?」
空から来たアンジュにはレオたちにとって当たり前のことが
「乗り物なんて、だれかを乗せてあげたいって気持ちから作るもんなんじゃないの? それなのにお金なんかとって、どーすんのよ? そんなんで乗る人いるのかしら。乗り物なんかなくったって、別にふつうの子は困らな……」
そこまで
「そうだよな。気軽にボートでボーッとさせてほしいよな。みんなを楽しませるために置いてあるんだから」
いいタイミングで学がダジャレを出してきた。
「そ、そうそう」
学の言葉に、アンジュは力いっぱいうなずいた。
「お金をとるなんて、ボートを作ってくれた人へのぼうとくよ!」
「こうなったら他の物で遊ぼーっと」
そう言って学がアンジュに笑いかけた。アンジュもホッとして笑った。レオはぼうとくってどういう意味だろうと思いながらも、二人がうれしそうに笑うので、いっしょに笑っておいた。
それから三人は池を
「アンジュが乗るくらいの
自転車をこぎながらレオが言う。
「うーん。わたしだけ一人でポツンと乗ってるの、
「みんなで乗れるような船もいつか作るよ。あと、車も、飛行機も。大きくなったらね」
「そっか。それは楽しみね」
楽しみと言ってくれたけれど、ぼくが大人になるころにはアンジュはそばにはいないよなあとレオは思った。
(さみしいけど、なるべく早く空に帰してあげよう)
公園に運んだ試作機は5機。
1号機は
1機作ってみると面白くなって、食品トレーやアルミ
そのうちに、そうめんの
この箱から
「めちゃめちゃ高くまで飛ばしてみせるから!」
レオは
5・4・3・2・1――
「それっ!」
レオは力いっぱい飛行機を空へと
「あ……あれ?
あはは……とレオは落ちた飛行機を
「頭があおられてたように見えたから、重心をもっと前にしてみたらどうだ?」
ゴム動力飛行機は、ちょっとしたバランスで飛び方が変わる。
重心の場所を変えるには、おもりになるものを
レオは7つ道具からセロテープを出して、持ってきたクリップを頭の方に
今度こそ!
「行くよっ!」
「がんばれっ!」
思わずかけ声をかけるアンジュ。
「それっ!」
その声と共に放たれた飛行機は――またもやすぐに地面へと落ちた。
「ちょっと変わって」
投げるのを学に変わってみたが、やっぱりだめ。
「この辺少し、角度変えてみるか」
「どこか
2人とも初めてのことだから、あれこれ
「もう1号機はいい! こうなったら2号機だ!」
「おーい、レオ! もう少し下に向かって投げろ!」
「もう少し下?」
レオは真上に向けて
「このへん?」
「もっとだ!」
広場の向こうの
「そこだ! 力は入れすぎずに、軽く投げてみろ!」
レオは機体を軽く押し出しながら指を
「わぁっ!」
レオのカバンの中から顔を出したアンジュが、うれしそうに目をかがやかせた。
飛行機は3~4メートル先までスーッと飛んでいくとグイーンと
「おーっ!」
うれしそうにおどろくレオ。学が言った。
「あんまり上に向かって
「なるほどっ! じゃあ、こっからが
アンジュが笑顔をレオに向けた。
「なーんだ! 今までは投げ方が悪かったってことね」
そして
「……って、よく考えたら初めて会った時も、レオ、私の飛行機、真上向けて全力で投げてたよね! やっぱり私の飛行機こわしたの、あんただったんじゃない!!」
「ええー! そうなるの!?」
「そうなるわよ!」
「
「ご……ごめんーっ」
「ったくもー!」
アンジュはほほを
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