第6話 われながらいい出来
アンジュが笑い
ちょうどいいことに今は7月の半ば。もうすぐ夏休みだから、お昼までしか
レオは学校が終わると走って家へ帰った。暑くなった部屋の空気を入れ
それから急いでお昼をすませてそれも運ぶ。この日のメニューはそうめん。少し残しておいたそうめんを小皿に
「レオー。もう
本当にすっかり、人間の世界になれたようだ。レオにもまったく
レオは扇風機をつけると、アンジュにもう一度お茶を
アンジュの“お世話”が終わると、レオはベッドに工作の本をならべて読みだした。「わくわくプロペラ飛行機」「電池とモーターで動かそう!」「ゴム動力飛行機と飛行の科学」「動くおもちゃ
「レオさー、そんなの読んでもムダよ。飛行機には触らせないって言ったでしょ」
「でも、ぼくらがなんとかしなきゃ帰れないんだろ」
「……。べつにいいじゃない。だったらどうだっていうのよ」
「ほんっっっと、すなおじゃないな~。家帰りたいんだろ? だったらまかせなよ。ぼくらもむやみに
雲の上まで飛ばすためには、どんな仕組みを乗せればいいだろう。アイデアを
ピンポーン。
「学、来たっ。はーい」
学は、小さな
「アンジュにプレゼント」
「えっ、なになに?」
二人が
と、小さな服が出てきた。アンジュにいかにもピッタリなワンピースだ。
「ずっと同じ服だと、困るんじゃないかと思って。しかもつなぎじゃ暑いだろう」
「きゃー。かわいいっ! 学ってば気がきくじゃない!」
「なんだよ、学。これ、どうしたんだよ」
「それが……100
「100均っ!? なんでそんな所にっ!?」
こんな服がその辺の店に
「小人とか天使って、もしかしてそこら
考えこむレオ。学も同じように考えこむ。
「かもな。世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるということだろう」
実は人形遊び用の服なのだけれど、二人はそんなこと考えつきもしなかった。
「ありがと。ほんとに暑いから助かったわ」
アンジュはさっそく服を
「ちょっと大きいけど、着れました~」
と言って出てきた。ダブっとしたワンピースの首元をちょっと押さえながら、うれしそうににっこり笑う。
「とても
そうほめかけた学の言葉を、レオが思いっきりさえぎった。
「
「はあ? 失礼ねっ」
「今すぐ
「はあ~?」
何を言ってるんだこいつはと、
「悪いけどもう一度、元の服にもどってくれないか」
「別にわたしこれ、気に入ったのに……」
しぶしぶ、着替えに向かうアンジュ。
「あ、ちょっと待って」
その前に、と、レオはアンジュをつかまえると、7つ道具のカバンから
「ったくも~。何を考えてるんだか」
アンジュはぶつぶつ言いながら元のつなぎにもどった。レオはアンジュの脱いだワンピースを拾い上げるとつくえに向かい、
ワンピースの向きをくるくると変えながらあちこち定規を動かしていたかと思うと、レオは紙に何かをメモした。
それから……
「ああっ」
アンジュが
レオがカッターで
「これが……破壊王……?」
アンジュはレオの
うす目を開けると、レオがつまようじの先に耐水性の木工ボンドをつけて、ワンピースの切った部分をつなぎ合わせているのが見えた。
そして、なぜか
「はい、これで着てみて」
ワンピースは
「いったいなんなの?」
アンジュは
レオはおもちゃ箱から
着替え終わったアンジュは、
「これでどうよ」
ぶかぶかだった服は、すっかりレオにより生まれ変わっていた。すっきりとした首元。アンジュの手足の長さが引き立つフォルム(形)。アンジュのワンピース姿は見事に絵になる。
「さっきより、100倍、
学が思わずさけぶ。
レオはそれを聞いて、
「だぼだぼの服なんて、動きにくいしカッコ悪いし、
「大したもんだろ。レオって。
「ふん。まあまあなんじゃない?」
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