第7話

「先生」


友紀ゆきの声が聞こえて振り返った。

今日も二日酔い(もはや三日酔い…)でだるかった。

しかし友紀にはその欠片もなさそうだった。


「元気なんだね…」


「元気ですよ。あれ、もしかして先生は二日酔いだったりします?」


「二日酔いどころか三日酔いだよ」


「あ、意外とお酒弱かったんですね」


昨日一緒にのんだおかげか、友紀との距離はすごく縮まった。それは良いことだが…あまりにもいじられすぎてちょっとキャラ壊れたような…。


「そんなことは置いといて」


…その話始めたの誰だよ。


「結衣ちゃん、元気ですか?」


ああ、そのことか。

さっき回診言ってきたが、あまり変わった様子はなかった。


「元気だったよ」


「そうですか」


変わったことはなかった。

それは良くないことだった。


このまま何もなければ近いうちに結衣は退院してしまう。


「…もうすぐ退院してしまいますね…」


「うん…」


こんなこと話してても何も進展なんてしないのに。


「あのさ、僕なりに色々と想像してみてたんだけどさ、結衣ちゃんの記憶がいじられたっていう可能性はないかな。優秀な脳外科医ならそれに近いことをするのは不可能ではないと思うんだけど」


「たしかにそうですけど…。でもなんでなんですか?それをする目的は…?」


「例えば…両親の死に耐えられなくなっていた結衣ちゃんを見ていられなくなったとか。これならまあ許せなくないけど…」


「なるほど…。じゃあ、この病院にそういうことに関わっている人がいるってことですね…。なんかショックです」


「多分それはないはず。第一、こんなに大きい病院で違法な手術を行ったらすぐに気づかれるよ。

それに、結衣ちゃんがこの病院に来たのは2年前なんだ。だから前にいた病院であった可能性が高いと僕は踏んでいる」


「なるほど。それも一理ありますね。

それを立証するにはやっぱりまず前にいた病院を調べる必要がありますね」


「うん」

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