第3話



「えぇ、いつもの所よ。本日もいなかったわ、素敵な男性は。いつになったら私の目の前に現れてくれるのかしら?」



「さぁ、いつでしょうねぇ。」

 お姉さまと呼ばれた人魚が応えた。




「いーなー、私も人間の姿になれるなら行くのにー、ぶー。」


 アルミナは不貞腐れた様子だ。




「あら、もう少ししたらなれるわよ。」

 岩に座っていた人魚が言う。




「私も。長女でなければ行くのに。」



「次女の特権ね。この絵本のお話のように、私も、人間の男性に恋をするの。」


 岩に座っていた人魚が、うっとりと、絵本を抱いている。



「それに、お姉さまは、もうご結婚相手が決まってらっしゃるのでしょう?」





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