第16話

「はぁ…はぁ…」エイルの精神世界、無の空間にアリアは立っていた。エイルと話してるときは憎まれ口を叩けたが今はもうそれすら限界に近い。




 動こうとすれば動こうとするほどアリアの心臓は悲鳴を上げる。その原因はアリアにさえわからない。人を殺めた事による罪悪感かそれとも他の要因が存在してるのか……


 




 「はぁ…はぁ…私が頑張らなきゃ…エイルは今度こそ壊れてしまう……」今にも倒れそうな身体を小刻みに揺らしてアリアはそう喋った。もう同じようなことは起こさせない……





アリア視点




 エイルは元々私なんかとは縁のない存在だった。殺害だって経験したことはなく至って普通の男の子だった。けれど私がまだ霊と呼ばれる状態だった頃にエイルの人生を狂わせる出来事が起こった。


 それは大切な人達の大量虐殺……その状況を目の前で見ていたエイルはいつもの様子とは違う壊れかけた目をして笑った。


 


 私はエイルをこのままにしておけない……その一心でエイルの脳の奥底…精神世界へと足を運び入れた……




 精神世界へと降り立った私に待っていたのは圧倒的なまでの苦痛だった。なんでこの苦痛を受けて生きていられるんだ……そう思わせるような痛み……だからこそ私はたとえ嫌われたとしてもエイルの心を守ろう……そう思ったんだ……




 私は一度深呼吸をしてエイルの魂と同化する。私の精神がエイルの脳内に刷り込まれていく。


 『ねぇ、エイルまだなの? リゾートスパっていうのは』エイルは鈍感だから私の不調には気づかない。私が疲れるとエイルにも


身体的に負担がかかるから頑張らないと……


 そう考え私はずっとエイルには嘘を突き通す。エイルの精神を守るために、そして私自身の目的のために……





エイル視点


 玄関のドアを出て少しするとまたもや


アリアの声が俺の脳を通じて聞こえてきた。


 うるさいな……そんな言葉が出そうになるが我慢する。アリアと俺は一心同体になっているのだ。機嫌を損ねたら何が起こるか分かったもんじゃない。 俺は脳内に存在する


アリアに「もう少しだ」と伝え、リゾートスパへと足を進めていった……





???


『ねぇ、どれくらいあの男の大切なものを殺せばアリアは壊れるかな?』




「そんな物騒なこと言ったら駄目でしょ? レイラ。」リゾートスパへと向かっている


エイル等の傍らに悲劇が近づいている事には誰も気が付くことはないのであった……



作者 俺は弟(二代目)さん

https://kakuyomu.jp/users/2026336

代表作「元配信者の僕。VTuberになる!」

https://kakuyomu.jp/works/16816700426548822945

 

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