第24話 新婚旅行

新婚旅行は前話からでもわかる通り、懸賞が当たったペアのハワイ旅行です。


東京と名古屋と、遠距離恋愛をしていたので、結婚式の式場で顔を合わすのも久しぶり2ヶ月ぶりくらいでした。

当時は新幹線のホームには、結婚式では呼べなかったお友達がいっぱい来てくれました。


その中で、驚いたのは、旦那さんとなった主人のところに、1人の女性が近づいてきて、慣れた手つきで主人のネクタイを締め直し「ネクタイが歪んでるじゃない」って。

新婚の奥さんの目の前でやれる行為でしょうか?周りの人たちも呆気にとられてました。


新幹線の中で、あの人は?と聞いたら、組合のグループの友達だとか、きっと主人に気が合ったのは間違いないと思いました。

でも、もう私が奥さんになったのだから堂々としていていいんだと思いました。


ハワイへ行った日は、東京のホテルオークラを予約してくれていて、次の日準備してくれた社宅からペアのトレーナーを着て出掛けました。

懸賞の期限は1981年の3月31日までが期限でしたが、21日の春分の日に式を挙げたので、3月22日の期限ギリギリの日に出かけました。


ハワイまでの飛行機✈️は日付変更線を通るので、けっこうな時間を飛びます。

行きと帰りとは航空時間が違うのも面白いです。帰りの日付け変更線を飛んでる時は、酷く揺れて怖かったです。帰ってから1週間後にその飛行機がまた揺れて、スチュワーデスさんとかが天井まで飛ばされて怪我までしました。1週間の違いで、私たちの飛行機はそこまでならなくて幸いでした。

ここでもラッキーM効果が出ました。


ハワイに着いたら、新婚旅行の団体ばかりなので、ハワイアンの格好をした綺麗な女性が来る人来る人に、花飾りのレイ(花の首飾り)をカップル一人一人にかけてくださり、旅行気分を高めてくださいました。しかし、あまりに香り高い花ばかりだったので、ホテルに着いた時には、その花飾りの香りのせいで酔ってしまい。私はフラフラに〜何十年も経った今でも思い出しすほど強烈な香りです。


懸賞で当たったツアーとはいえ、ちゃんとした観光案内もしていただけましたしハワイアンダンスなども見せてくださったりとても濃いツアーでした。私たちだけは特別にカウアイ島という島のオプショナルツアーも組んでいたので、2日目には小型飛行機に乗って行って来ました。

当時、芸能人が皆、カウアイ島の洞窟で結婚式を挙げる光景が週刊誌を賑やかしていたので、そこへも行ってみたかったです。

特に秋吉久美子さんの結婚式の写真が可愛くて素敵で憧れました。

写真で見るよりも野性的な場所、カウアイ島の海の綺麗さは魅了されました。


かって、昔カウアイ島は日本人の移住者が多く住み、苦労してサトウキビを栽培して開拓してきた話しをガイドさんから聞かされ考え深い旅行となりました。

こんな所へ新婚旅行なんかで訪れることの出来る自分たちの幸せを噛みしめました。


新婚旅行では、1つ事件が〜?今となっては笑い話なのですが。

最終日の夕飯はダイヤモンドヘッドを望む回転レストランでのディナーでしたが、食事中、せっかくの夕焼けの日が沈む瞬間の景色を見ながらのディナーなのに、旦那さんがお金の話しばかり。

お土産を何処にどれだけ買って帰ればいいのか?とか残りのお金はどれだけだとか?ムードの無い話しばかりするので、ついに私は切れてしまい。ホテルの部屋に戻るまで口を聴かずに帰りました。

そしたら旦那さん泣き出してしまい。

結婚3日目にして男の人の泣き顔見てしまい。

幻滅すら感じました。

考えてみると、あれから彼のあれほど泣く姿は・・・・。私がよほど怖かったんでしょうか。(笑)


お金の話しを聴きながらのステーキディナーの味、思い出せません。

本当虚しい味がしたように思います。

決してディナーのお金が払えないって事でも無かっただろうに、あのムードのある夕陽が沈む綺麗な世界を台無しにした事は許せません。


しかし、新婚旅行を帰ってきて、私に「これからの生活はこれでやっていってネ!」と言って渡された主人の預金通帳の残高はたったの700円。

お金の話しを心配したのも納得がいきました。今度は私が泣いてしまいました。

「これだけで生活していくの〜」って。

「明日には給料が入るからいいだろう?」って。


主人(当時27歳)は20歳で父親を亡くしているので、結婚の費用は全て自分で貯蓄して、やってきたことを後々聴き、それで、ハワイ最後の日のディナーの会話になったことが理解出来ました。


新婚生活は700円からの出発となりました。おかげ様で住むところは会社にかけあって、社宅は準備してもらっていたのでどうにかなりました。


実は、私は会社へ入社して、その年の4月5日で3年目になるので、3年働くと、退職金がいただけることを上司が教えてくださり、東京に新婚旅行から帰ってから実家に戻り、数日間だけ会社に出社して、しっかり退職金をいただき寿退職しました。


ラッキーMの手相の私の運命は更に進みます。



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