第8話カナダ旅行記⑧モントリオールオリンピック開会式
パンフから小型機に乗りカナダを東に横断してモントリオール空港に22:00頃に到着しました。
モントリオール空港では、結婚式を終えた家族らしい方々が集まっていて、遠目ではありましたが、白いウェディングドレスの女性とタキシード姿の青年とが熱く抱擁してキスしてるのを見て、うわぁ外国人同士のカップルは凄い!って子供だった私はカルチャーショックでした。
でもどちらもモデルさんの様に綺麗なので、見とれてしまいました。
そんな様子を見ながら、その日もどこかホテルに泊まれるものと思っていたら、なんと、モントリオールはオリンピックでホテルは満員、民宿しか無いということで、男女のグループと1人1人で泊まりに行く人とか振り分けられ、私たち女性ばかり5人が同じお宅で泊まれる所へ案内されました。
1階部分はお店になってて、細い階段を上がって行くと部屋がいくつもあり、その奥のキッチンっぽいところで男の人が2人が、お酒飲みながら待っててくださって、案内してくださいました。
ところが、そのおひとりの若い男の人が、腕に沢山の入れ墨がしてあり、僕の部屋を見せてあげるって案内してくださったら、私のグループの1人の女性が「きゃあ〜」って悲鳴をあげ、「私こんないかがわしい人のいる家で泊まることなんて嫌だ。」って騒ぎ出しました。
もうその時点で添乗員さんを乗せたバスは走り去り、もうそこに居るしか仕方が無いのに、その女性は気が狂った様に「お願いだから、添乗員さんに連絡して泊まる場所を変えるように話して」と言い出し、私がいつも一緒の部屋で過ごしてきた女性レイコさんは、中学校の英語の教員をしているってことを、彼女は知っていたので、「お願いだから、添乗員さんに連絡して部屋を変えてもらうように話して」って泣きじゃくりながら頼んできました。
ビックリして、彼女の居るそばに行ったら、その入れ墨の若い男性は、自分の部屋を彼女に貸してあげるって言うようなことを言ってだだけで、部屋には裸の女性のポスターが貼ってあったりしたので、それだけでパニックになってました。なんせモントリオールというところは英語圏でなくフランス語圏のところなので、向こうも辿々しい英語、こっちも同じくらいの英語で話すのでほとんどゼスチャー、なので肌が触れ合ったりしたものだから、余計に大騒ぎになってしまいました。お相手はお酒も飲んでおられたので、私もいちよう高校生で英語は少しはわかっていたので、その様子を見ていましたが、彼は自分はミュージシャンをやってて、これが僕の部屋だよーって見せていただけのようだったのに、何を大袈裟に〜っと思いましたが、どうしても、添乗員さんに連絡して泊まる場所を変えてもらいたい。って言い張るので、レイコさんが英語でもう1人の落ち着いたご主人に電話をお借りして、添乗員さんに電話しました。
もうその時点で、0時を回っていて、電話の向こうの添乗員さんも、どうしていいのかわからない様子で「お願いですから、一晩だけ辛坊してそちらで休んでもらえませんか」と言うので、彼女に代わって説得してもらって、何とか、一晩だけ泊まらせてもらうことにしました。
もう身体もクタクタでしたが、レイコさんと私は、ダブルベッドの部屋へ通され、2人で寝ることになりました。レイコさんも相当パニックになってましたが、私より先に寝てしまいり歯ぎしりが酷くて、私はうつらうつらとほとんど寝たか寝てないのかわからない状態で、目が覚めました。
次の日の朝は近くのレストランで朝食を食べ、そのままオリンピックの開会式の会場へ行きました。このツアーのメインの催しは、それだったので、まさか本当にオリンピックの開会式?と思いましたが、会場に連れて行かれたら、な、なんとグランドを挟んで目の前がエリザベス女王様が着席される所でビックリ。
開会式は、空を飛行機が五輪の輪を作るパフォーマンスを見せてくれたり、この時初めて男女が2人で、聖火台にトローチで、点火するのを見たり。どれも素敵と表現することしかできないようなセレモニーでした。
特に立派だと思ったのは、選手入場する時に、エリザベス女王様が、1つ1つの国の選手団が目の前を通過するたびに、立ったまま敬礼をしていたことでした。まだエリザベス女王様もお若かったから出来たんでしょうね。
当時はカナダはイギリスの統治だったみたいで、イギリスの女王様がいらしてました。
せっかくの開会式なのに、ほとんど寝られなかった私は、選手が入場する時間がかなり長くかかったので、眠たくて眠たくて〜少しレイコさんにもたれて寝てしまったら「まみちゃん!せっかくの開会式で寝ちゃだめよー」って跳ね除けられ、周りの人達に、「この子肝心な時に寝ちゃってる」って言いふらされ。ちょっとムシッとしました。寝られなかったのはあんたの歯ぎしりのせいでしょうと、私は言いませんでしたがー。
開会式が終わると、直ぐに和食レストランで食事を済ませました。
オリンピックという事で世界中から人が集まってきてますし、そのレストランは和食でしたので、日本人のツアーの人たちも沢山居て、若尾文子さんを見つけられ、サインをねだられに来ましたが、若尾文子さんと会えるのが私たちツアーの特権ですので、添乗員さんや企業の方がやんわりお断りして、私たちだけの個室にしてもらいました。
その時若尾文子さんが食べている姿を皆さんに見せるのはとても嫌なので、乾杯だけ済ませ、別の所へ行ってしまわれました。スターとして毅然として背筋もしゃんとして、本当に素敵な女性だと思いました。
食事が終わって、直ぐに宿泊した民宿に戻り、荷物を持って大きなホテルに移動しました。前日の気狂いみたいに騒いだ女性のために5人全員若尾文子さんたちが滞在しているホテルに移動することになりました。
部屋は会議室みたいな部屋に5人分のベッドが入れられてました。
多分添乗員さんが、ホテルに頼み込んで、用意してもらった部屋でした。
その時も気狂いみたいに騒いだ女性は、さっさと良いベッドを取り、私だけが、折りたたみの簡易なベッドにさせられました。
まぁダブルベッドで無かったのは幸いでしたが。
民宿からホテルに移動する時の、その宿のご主人の悲しそうな顔が未だに忘れられません。何の不手際があったのか?彼らには理解出来なかったようで、別れる時には、私のことをぎゅっと抱きしめて頬にキスまでしてくれました。生まれて初めての男性からのキスでは無かったですが、ドキッとしました。1回目は、小学校の時、待ち伏せしていた男子に頬にキスされたことはありましたけど。
その後、添乗員さんに伺ったら、ホテルに部屋を用意してもらうのは本当に大変だったとこぼしてました。
そしてわかったのは、本当なら、その日ホテルへの移動が無ければ、近くのナイアガラの滝まで民宿の方が連れて行ってくださるはずだったということでした。1人の女性のキチガイみたいな行動のため、せっかくの観光もだい無しになりました。
余談ですが、実は数年後に結婚した夫も仕事の関係で、シカゴからナイアガラの滝近くまで行ったそうですが、(彼はアメリカ側)仕事の都合で、滝を見ないで帰ってきたそうです。夫婦揃ってナイアガラの滝とは縁がありませんでした。ですから、いつか?死ぬまでに2人で、ナイアガラの滝を観に行かれるといいねと日々話しております。
キチガイみたいに騒いだ女性。既婚者で子供も1人居る方でしたが、その大騒ぎした次の日「私どうにかしてました。実は昨日生理だったので、イライラしちゃってて、あんな風な態度しちゃってごめんなさい。」と謝ってくださいましたが、生理の前でムシャクシャしてそんなことで巻き添えになった私たちは呆れてしまいました。
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