(三)-3

 品川駅から横須賀線の千葉行きに乗り、千葉から君津行きに、君津から上総一ノ宮行きに乗り換えて、有紗は館山駅に着いた。そして駅前からタクシーを拾い、「安房館山南病院へ」と告げた。

 走るタクシーの中で有紗は明の無事を祈った。外はすっかり暗くなっており、見えるのは街路灯や点在する家々の明かりのみだった。

 病院の入り口前で停車したタクシーから降りた有紗は病院の入口に掛けていったが、ガラス製の自動ドアが開いて中に入ろうとしたところで立ち止まった。


(続く)

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