(三)-2
上司へのプランの説明するために、しっかり準備してきたものの、荒尾からの電話はその内容を有紗の頭の中から一掃するのに十分衝撃的であった。
それは、明が病院に担ぎ込まれたというものだった。
有紗の顔はファンデーションを塗っている場所とそうでない場所の境界線がくっきりとわかるほど青ざめていた。会議室の上司にも弥生の目にも明らかで、有紗がとった電話の内容が彼女を激しく動揺させたことが一目瞭然であった。
有紗は口数少なく早退を申し出て、驚いた顔をしている上司に許可をもらうと、すぐに会議室を出た。そして自分のデスクで荷物をまとめると、足早にオフィスを出た。
(続く)
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