第3話 




「私の家、お父さんいないから」



可愛くて、今で言うスクールカースト上位に君臨する友達のみゆちゃんが言ったこの一言は私の人生を変えた。



私がいままで出会った友達に片親はいなかったのだ。


(かわいそう)


そう思った。だけどそんな言葉は言ってはいけない。いや、感じる必要はないのでは?


だって、みゆちゃんは人気者で可愛くて足が早くて全然かわいそうじゃない。



お母さんは若くて綺麗でいつも親子でお洒落な洋服を着ているしクラスの男の子からもモテモテだ。





お母さんがいないなら寂しいけど、お父さんがいないのはいいな。


うるさいお父さんがいないなら。



「そうなんだ。でも、みゆちゃんのお母さんは若くてクラスの子の親の中で一番可愛いよね」




この時の私は素直にこう思った。



だけどどうだ。


その後、みんなあれよこれよと家族の問題を打ち明け出してから私の心はざわざわした。


「私の家も離婚してるよ」


「お父さんが休みの日はいつもパチンコ行くんだよね」


「私の家はいっつも喧嘩してる」



ちらりと誰かの視線を感じた時、私も何か言わなければと察した。





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