第5話『幽霊屋敷④ ニョイボン』

突如現れ、突如声をかけてきた謎の女性。


謎の女性「初対面の美熟女つかまえて、オマエとは何だオマエとはぁ!!」


春彦「えっ?」


菜々子「その『えっ?』は、ドコに対してですか?現場のハルさん?」


春彦「もちろん、『美熟女』に対して。」


謎の女性「えっ?」


春彦「えっ?」


菜々子「えっ?」


ピーチ「えっ?」


春彦「オマエも会話に参加すんのかよ…。」


謎の女性「だから美熟女つかまえてオマエとは」


春彦「今のはオマエに対して言ったんじゃねぇよ。」


謎の女性「食い気味に来たけども、結局オマエ呼ばわり!!」


春彦「ナナ、コイツ誰だよ?」


菜々子「知らにゃーい。」


春彦「え?恐らく、ほとんどのヤツが、オマエの母ちゃんだって予想してたと思うんうやが?」


菜々子「母上様は、こんなにハレンチじゃないもの。」


謎の女性「ハレンチて…。」


ピーチ「ねぇウチ、攻撃しても良い?チョベリグ?」


春彦「あぁもう何かスゲェ面倒くせぇ!!!」


謎の女性「もうアレよ、イイ加減に名乗るわね。」


春彦「どうぞ…。」


謎の女性「カトレーヌ・トレルカモシレーヌ・セン子よ。」


春彦「取りたいのか取りたくねぇのか…。」


セン子「そう、イタリアとフランスのハーフよ。」


春彦「両国に謝れ。」


そう話す二人の耳に『ガキィン!!』という、何とも耳障りな、金属と金属がぶつかり合うような音が聞こえてきた。


春彦「!!」


二人が音のした方に目をやると、薙刀のような獲物を持つピーチと、菜々子の持つ木剣が交差していた。


菜々子「ぐっ…。あんなババァに構ってる場合じゃなかった。」


ピーチ「どうしたぁ?さっきまでの威勢はぁ…?」


徐々にピーチの薙刀が菜々子の木剣を押している。


セン子「ミンナ、新しく登場したキャラに冷たくない?」


春彦「つかアンタ、なんなんだよ。」


セン子「この建物の持ち主。」


春彦「早く言えよ。」


セン子「だってオマエ呼ばわりするから!!」


春彦とセン子が話し込んでる後ろでは、変わらず菜々子とピーチが戦っている。


セン子「あと、これ、連れてきた。」


そう言って、門の陰から引きずり出してきたのは…。


春彦「ヒロ…?」


博記「よ…よぉ、ハル。」


セン子「え?知り合い?」


春彦「オマエ何やってんだよ?実際にこういうトコ無理って言ってたのに。」


セン子「逆ナンしたら、ホイホイついてきたわよ。」


菜々子「やっぱハレンチやんか!」


菜々子がピーチの薙刀をハネ返した。


セン子「『ヘイ彼氏ぃ!ワタシと飲みに行かなぁい?オゴるわよぅ?うっふうぅぅぅぅん!!』って言ったら簡単についてきたわよ。」


春彦「どういう逆ナンだよ。オマエもそんなヘンな女に引っかかってんじゃねぇよ。」


博記「だってタダで酒が飲めると思って…。」


春彦「今時、うっふんとかいう落とし文句使うヤツ居んのかよ。」


菜々子「もうオマエはヒロじゃない!エロだ!!!」


博記「ソレだけは!ソレだけは勘弁してつかぁさい!!」


ピーチ「ルック・アット・ミー!!」


ピーチが薙刀を大きく振りかぶり、地面に向けて叩きつけた。

一瞬の間をおいて地面がエグれ、その衝撃波が周囲を襲う。


周囲のモノを巻き込んで爆散した地面。

土煙が消えた後に立っていたのは…。


菜々子「ちょっとアンタ。」


ピーチ「なによ。チョベリバ。」


菜々子「子供がまだ、食ってる途中でしょうが!!」


ピーチ「えっと…。」


菜々子「途中でしょうがぁああ!!!」


何が何だか分からず、ツッコめないピーチに対し、菜々子がナナ正宗を構え、正面から突いた。


ピーチ「なっ…。」


あまりの速さに、反応出来ないピーチの胸を、ナナ正宗が貫通するかに見えたが、ピーチの鎧の強度が勝ったのか、鈍い音と共に、ナナ正宗は折れてしまった。


ピーチ「ウケる!!チョミラスパベリグなんですけどぉ!ウチの鎧、マジマンジ!もはやジュマンジ!!」


菜々子「ジュマンジは違うやろ。」


菜々子は、折れた木剣を放り捨てた。


ピーチ「なになに?頼みの綱のオモチャが壊れて、ぴえん超えてペンタゴン?」


春彦「『ぴえん超えてぱおん』な。何でソコでアメリカの国防総省が出てくんだよ。」


フッ飛んでいた春彦が、やっとツッコめるようになったようだ。


菜々子「ハル!!エロも無事?」


春彦「エロは、フッ飛んで、建物の二階の窓を貫通して中にダイブした。」


菜々子「ったく。。。余計な心配ごとを増やしやがってアンチキショウ。」


セン子「あの…。ワタクシは、誰か心配してくれてますか?」


セン子は、再び門の陰から姿を現した。


菜々子は、その言葉を無視して、懐から太いペンを取り出す。


ピーチ「その太いペンで遺書でも書こうっての?」


菜々子「この棒状のモノは、アタイのセクシーボイスに反応する仕組みになってんの。」


そう言うと、菜々子は、その太いペンの先端を、ピーチに向けた。


菜々子「伸びろ!!ニョイボン!!!」


菜々子がそう叫ぶと、太いペンの、ピーチに向けたのとは反対側の先端が一気に伸びた。

その先には…。


セン子「ぐぼあぁぅ!!」


セン子が居て、そのまま、伸び続ける太いペンの先端と共にハルカ遠くにフッ飛んだ。


菜々子「あ、間違えた。」(慌ててペンを逆に持ち替える)


春彦「ワザとじゃねぇよな?」


菜々子「ワザとなワケ無いやん?アタイが、あの、ケバケバしい、ハレンチな、イラつく、ババァという善良な市民を、ワザと攻撃するワケ無いやん?」


春彦「…。」


ピーチ「もう一回、いくよん?」


そう言って、再びピーチが薙刀を大きく振りかぶった。

菜々子は、とっさの事に反応出来ていない。


春彦「伸びろ!!ニョイボン!!!」


春彦がそう叫ぶと、菜々子が持っていた太いペンの先端が一気に伸び、ピーチが薙刀を地面に叩きつけるより早く、ピーチの腹部をエグった。


ピーチ「ぐぼあぁぅ!!」


という声と共に、ピーチは、先ほど博記が突き破った窓から建物内へとフッ飛ばされた。


春彦「オレのセクシーボイスにも反応したが?」


菜々子「………。」


春彦「なぁ、その棒状のモノが、オレのセクシーボイスにも反応したが?」


菜々子「エロが危ない!!レッツゴー!!マーーーリオーー!!!」


春彦「勢いで誤魔化すな!しかし、ヒロが危険なのは事実だな。」


春彦は、またもや細い鉄パイプを掴んで、建物に向かって歩き始めた。

果たして、この物語はちゃんと進むのだろうか?

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