7 英雄訪問

 朝は目覚まし時計の音で目が覚める。この世界にも目覚まし時計は存在するのだと昨日知った。


「ふぁぁあ……朝か……」


 目を擦りながらベッドから起き上がる。少し気怠さが残っている。寝床について昨日あった出来事を整理している内に眠気が飛び、しばらく寝付けなかったためだろうか。


「おはよう、ノア」


 ローベンはすでに起きていた。時計を見てみるとまだ朝6時過ぎだというのに。


「相変わらず早いんだな」


 ローベンが早起きなのは知っていた。そういえば初めてこいつが店にやってきた時も開店直後だった。常連でさえも買い物に来ないくらいの早さにこいつは店に来て画用紙だけ買っていったのだった。


「今日はいつもに増してだね。だって今日は『魔法連合』に行くんだよ?」


「そうだったな」


 寝ぼけつつも俺はローベンのその言葉で昨日のことを思い出した。


──昨晩


 散策から戻り、オリバーに案内され校舎横の建物の中に入った。そこはまるで高級ホテルのようなロビーだった。ここもまた長い廊下を持つ建物で廊下の真ん中あたりで左を曲がると左右に沢山の扉があり、それはずらっと奥まで続いていた。そしてさらに奥へと進んでいき、案内された扉を開けて中に入った。


「すごい! 高級ホテルみたいな部屋!」


 ローベンははしゃいで大きなベッドへと飛び込んだ。


「食事は7時過ぎほどにお出ししますのでそれまでお寛ぎください。それでは失礼します」


 オリバーは頭を下げて部屋を出て行く。その動きの一つ一つさえも紳士の鑑と言えるようなものだった。


「ねえ! スパーダ! すごい部屋だね!」


「……ああ、そうだな」


 はしゃぎ、喜ぶローベンに対して、俺は素直に喜ぶことができなかった。


「? どうしたのさっきから」


「え?」


「だってさっきからずっと暗い顔だよ? 君は何回か旅行に行っていい部屋入ったかもしれないけど、ここだっていい部屋じゃないか。喜びなよ」


 何の疑問もないような顔をしながらローベンは俺にそう言った。


「……あのな。俺だってこんな部屋入るのは初めてだよ嬉しいよ。……色々あって整理つけてるだけだ」


「まあ、色々あったもんね。うわ、バスルームまで付いてるよ! 僕の家シャワーしかないからうれしー」


 俺はローベンにそっぽを向いてベッドに横になった。


 ……あの人、子供に見えたけど……あれは間違いなくだ。俺は見なければ良かったものを見てしまったのだろう。オリバーが覚悟を決めろと言ったのは恐らく。俺だって見たくはなかったけど、あれが現実か。本当にあの子供が剣使いかどうかなんて分からない。だけどこの世界であんな扱いを受ける人間なんてそれ以外考えられない。


 俺はしばらく黙っていた。ローベンは部屋の中を隈なく見回っているようで全く話しかけてこなかった。


 ──コンコン。まだ俺が考えに耽っている中、ノックの音が部屋に響いた。


「はーい?」


 ローベンが返事をする。


「校長先生じゃよ。少し話がしたくてな」


「どうぞー」


 校長は先程と同じローブを着た姿で入ってきた。俺は流石に校長に寝たままは続けられないと思い、起き上がってなんとか思考を整えた。


「今日は有意義に時間を使えたかね?」


「……少しは国の中を見ることができたっす。でもまだまだ見きれてないところばっかりで」


「フローラは五大国の中では最も都会が多く、新しい物が次々と入ってくるからの。ワシもまだまだ知らんことだらけじゃよ」


 校長は気さくに笑う。どうしてか俺にはその笑いが胡散臭いものにしか見えなかった。


「で、俺たちに話って?」


「そうじゃそうじゃ、明日魔法連合に君たちを連れて行こうと思うのじゃ。会って欲しい人がいての」


 校長は俺のベッドの埃を少し払う動作をして座った。


「その人ってもしかして……」


 ローベンが勘づいたように言った。


「そう、君の父上、グリフィス・ハーバーじゃ」


「!」


 パァッとローベンの顔に明るみが上がった。


「明日グリフィスに会って様々な話を聞いてもらおうと思ってな」


──そして今


「魔法連合ってすぐ着くほど近いのか?」


「どうなんだろうね。とりあえず僕らはこの国しか知らないからね」


「まあ、一日で着くぐらいには近いだろ。でも車はこの世界にはなさそうだしな」


 俺は洗面所で顔を洗いながら言った。昨日の出来事はもしかしたら見間違いかもしれないと割り切って俺は冷たい水で頭を冴えさせる。


「とりあえず朝食だね」


「そうだな」


 俺たちは食堂に向かった。食堂はこの建物の中にある。廊下を出てロビーまで行くと大きな扉がある。


 その扉の向こうは食堂というには大きすぎる部屋だった。上を見上げるとそれまた大きなシャンデリアがずらりと天井を埋め尽くしており、ものづくりに携わる義父を持つ俺にはとても計算された美の表現を感じた。


 その空間で取る食事。それは正しく至福というものだった。生まれてこの方、こんな最高級ホテルのような場所で食事など取ったことはなく、お伽話のような存在であるとさえ思っていた。だが目の前には食事がある。周りを見渡せば豪勢な内装が歓迎する。横を見れば友がいる。出てくる言葉はこれだけだった。


「──最高だ」


 食事を終え、部屋に戻るとちょうど校長が部屋に入ろうとしているところだった。


「おはようスパーダ君、ローベン君。朝食をとってきたのかね?」


「うん。そうだけどやっぱりスパーダって名前慣れねーな……」


 聞こえないように俺はボソリと呟いた。


「まだこちらに来て日が浅いからね。仕方ないじゃろうな」


実は校長は耳がいいらしい。それも多分、地獄耳ってやつ。


「さて、そろそろ魔法連合に行こうかと思って来たのじゃが」


「え? 俺たちまだ旅の支度なんて出来てないんすけど」


 そんな急に言われても遠出の準備など出来てるはずがない。朝起きて、歯を磨いて、食事をして──俺たちにできたのはそれだけだった。


「旅とは大袈裟じゃのう。すぐそこじゃよ」


 少し呆れたような声を校長は出した。


「? どういうこと?」


「とりあえず着替えてからじゃの。ほら、着替えてきなさい」


「分かりましたよ……?」


 俺とローベンは部屋に入って服を着替えた。着替えはこの世界に来る前に持ってきた無地の一般的なTシャツにした。俺は神家の紋章を隠すため、もちろん長袖のTシャツだ。着替えが終わると二人は部屋の外に出た。


「ではついて来なさい」


 俺たちは校長に言われるままについて行き、そのまま客室棟を出て校舎に入っていった。


「あのー、どこに?」


 ローベンが遠慮がちに訊いた。


「魔法連合の入り口じゃよ」


「入り口?」


 長い廊下を歩いていき、ちょうど真ん中当たりの部屋に案内される。この部屋は昨日入った校長室だ。


「ワシの部屋じゃ」


 校長室が開いた。中は昨日見たように様々な書物や道具で溢れていた。


「こっちじゃ」


 俺たちは校長室の奥の部屋の前に案内された。


「おはようございます。スパーダ様、ローベン様。お待ちしておりました」


 扉の前には昨日と変わらない格好で朝早くだというのに全く気怠さのない締まった顔つきをしたサングラスの男がいた。


「おはようございます。オリバーさん。何してんすか?」


「見ての通り警護をしております」


「警護って……中になんかまずいものでも入ってるんですか?」


 ローベンが訝しげに尋ねた。


「まあ、入りなさい」


 校長がそれを遮るようにその扉を開く。


「……なんだ、ここ?」


 そこは部屋──というよりも怪しげな模様の描かれた占い場のようなところだった。壁にまで根を張るようにその線は張り巡らされ、そして線の通らぬ壁面は青い。ラピスラズリのような宝石じみた青い輝きがこの空間を覆っている。


「ここが魔法連合への入り口じゃ」


「入り口って……扉も何もねーっすよ?」


「それでは留守は頼むぞ、オリバーよ」


「はい、いってらっしゃいませ」


 校長は俺の言葉など聞かずに事を進めた。


「開門。魔法連合座標指定」


 校長が何やら呟き、それと同時に籠る空気の流れが一変する。模様は赤く発行し、ラピスラズリの壁面と競い合うようにルビーレッドへと変貌する。そしてその光が色彩を通り越し、真っ白な景色を経て、目を開くとそこは先程と同じ場所だった。しかし幻想的な青色の壁面も真っ赤な線も何もなく、ただ普通の石工の部屋が広がっている。


「さっきと同じ部屋……?」


「さあ、着いたぞ。ここが魔法連合じゃ」


「え?」


「この部屋はの、『深淵』と呼ばれる魔法界の地下を加工したものでな。断層の主要な国同士は管理された深淵を通して繋がっておる。この部屋はわしが連合に向かうために非常に緻密な魔力操作でパスをつなげておるのじゃ。さて、この部屋を出るとどんな景色が現れるかの?」


 楽しげに校長が扉を開く。開く瞬間、隙間から目が痛くなるほどの黄金の光が差し込んだ。そしてその扉が全て開放されると──


「……すげえ」


 そこは伝説に聞く黄金郷エルドラドだった。一面が金色に輝くこの世の豪華というものを全て詰め込んだかのような光り輝く大広間。様々な格好をした人々がテレビで見たタイムズスクエアを歩く人々の如くごった返していた。中央には大きな噴水があり、そして極め付けは中心で勇ましく建っている英雄の像だ。一本の剣を堂々と地面に突き刺し、そしてもう一本の剣を天に掲げるその姿はまるで生きているかのようで見惚れるほどだった。


「さあ、二人とも。ここが魔法連合本部の大ロビーじゃ。この世界に生きる人間の半数はこの連合に出勤しておっての。今はそのピークといった時間帯かのぉ」


「あの像は誰の像なんすか?」


 俺はさっきから気になっていた噴水の像を指さす。


「あれは大英雄テガロスじゃ。彼は大戦時代を終結させ、魔法連合を作った人物じゃ。彼はその二振りの神剣を使い、この世界に不戦の加護を与え、長きに渡って戦争のない時代を生み出した。……神殺しの夜で皆はその加護が失われたことを知ったがの」


「神殺しの夜……」


 闇の王はその加護とやらを破り、また混乱の時代を生み出したのか。街では強盗が相次ぐと言っていた。オリバーはフローラは他の国と比べて豊かだといった。……じゃあ、他の国は一体どんな状況なんだ?


「これはこれは、ネルソン校長ではありませんか」


 考え事をしていると落ち着いた声が聞こえてきた。顔を上げてみると使い古された茶基調のローブを着た中肉中背の男が校長に話しかけてきたところだった。


「久しぶりじゃの、ルックスウィール。そっちの方はどうじゃ?」


「いやー、また剣使いの取り締まりに手を焼いてまして……恐らく影でしょうが……そちらの子供達は?」


「こちらがスパーダ・リンドバーグ君とローベン・ハーバー君じゃ」


「! おお……こちらが英雄のご子息たちですか……!」


 ルックスウィールは目を開かせて驚いているようで、俺とローベンを交互に見てから辞儀をした。


「こんにちは。魔法連合尋問部に勤めています。コジー・ルックスウィールと申します。スパーダ様にはご対面したことはございませんが、ローベン様とは一度小さな頃に会わさせていただいております」


「え、そうなんですか?」


 ローベンはどうやら色んな人と過去に会ったことがあるらしい。それは父親が英雄と呼ばれるほどの有名人であるからだろうか。そして俺は聖五神一族の一人だから会える人間は限られていたのかもしれない。ルッキーもルックスウィールも会ったことはないと言っていたし。


「大きくなられましたね。グリフィスさんもさぞお喜びでしょう。今日はどのような御用件で?」


「今日はグリフィスに会いにきたのじゃ。7年ぶりの再会をさせてあげたいと思ってな」


「そうでしたか……グリフィスさんからこの七年間でどのようなことがあったのかお聞きになってください。それでは私も仕事に追われる身ですので。失礼します」


 ルックスウィールは少し急いでいるようで、別れの辞儀を済ませると慌ただしく小走りで去っていった。


「さて、わしらも行くとしようかの」


「あ、ちょっと!」


 校長も足取り良く進み始めたため、俺たちはなだれ込む人混みで校長からはぐれないように必死について行った。


 しばらく人混みと格闘しつつ校長の後ろ姿を追っていくとこれまた金で豪華に装飾された人の入れる箱が現れた。……うん。言うまでもなくエレベーターだな。


「この世界にもエレベーターってあるんだ!」


 ローベンがテンションを上げて中に入る。そうか。ローベンは旅行に行ったことがないからエレベーターに乗ったこともない。まさかこの世界で初のエレベーターを体験するとは……。


「そっちの世界にもあるのだね」


 校長も嬉しそうにローベンの姿を見つめる。この二人の姿を見てあの島で暮らしていたローベンとバースの光景を思い出した。


 エレベーターの表示が二階から三階に切り替わる。三階しか上がっていないのに上がるのに30秒ほどかかった。恐らくこの建物は一階一階が高いのだろう。気圧の変わり目に敏感な俺はすでに地上との気圧差を感じ取っていた。


「ここって何階まであるんすか?」

「この魔法連合本部は八十四階、高さは約300メートル以上あるのじゃよ」


「!? デカ!?」


「そりゃ本部じゃからの。魔法連合は一つの国ほどの大きさの敷地を持つのじゃ。様々な部署や、建物、そして自然公園が合わさり存在しておるのじゃよ」


「魔法の世界ってやっぱスケールも向こうと違うんだな……」


 これから先もスケールのデカい話ばかりが舞い込んでくるのだろう。俺は耳抜きをすると共に今までの常識も外に出してみようと試みるのだった。


「着いたの。では出ようか」


体感2分ほど、表示が五十七階を指したところでエレベーターは止まった。すでに俺の頭は気圧の変化によって軋みがひどくなっていた。先程の耳抜きは意味を成さず、結局あの特有の耳鳴りが襲ってくる。ローベンは大丈夫なのだろうか?


「なあ、ローベン。頭大丈夫か?」


「は? 何言ってんだよノア。僕の頭がおかしいって?」


「違う違う! 気圧差だよ! 頭とか痛くならないのかって!」


 ローベンがものすごく不機嫌そうな顔をしたので俺は咄嗟に弁解して誤解を解く。


「大丈夫だよ? ノアは痛い?」


「凄え痛い。耳もキーンって……あれ?」


 耳を押さえながらエレベーターの外に出た。すると不思議なことにさっきまで頭部を煩わせていた不快感がスッと消えた。


「スパーダ君は魔力の流れが上手く通っていないのかもしれんの。普通ならば低所から高所に移動した際、体は自然と魔力の流れを潤滑に回して気圧に合った状態へと体を整える。わしとローベン君はそれが上手く行っているようじゃが、スパーダ君は魔力の流れが滞っておるため整調効果が働かず、恐らくそうやって頭痛や耳鳴りの症状が出ておるのじゃ。しかし今は大丈夫そうじゃな。このフロアに満ちる魔力が気圧を調整し、地上と同じ気圧へと変化させておる。体で調整ができなくとも空間が調整してくれておるために君の抱えた不快感は消えたはずじゃよ?」


 校長が理論めいた説明をしてくれた。つまり俺は魔力とやらの流れが悪く体の機能が働いていないが、今は場所が良くなったから不快感は消えた──ということでいいのだろうか?


「なるほど……?」


 よく分からないが曖昧に返事をしてことを済ます。正直何があったのかは分からないが、これまたどうってことない些細な出来事だ。


 このフロアはどうやら事務室が沢山あるようだ。窓ガラスの隙間から大量の紙の固まりが山脈のように机の上に連なり、電話だろうか? 俺のいた世界でよく見た黒い受話器に近しい形状の器具を耳に当てて早口で話している人がズラッと横並びに机に座ってデスクワークに追われているのが見えた。


 この世界でもあの世界でも結局の所は労働に追われる宿命にあるらしい。魔法とは何なのか。知らないことが多すぎて大口は叩けないが、魔法というものは万能ではないのだろう。


『人は働かなければ腐っていく』、だったか。親父がそう言ってたのを思い出す。あの親父は能天気ではあったが働くという行為に対してかける思いは正しく人生を賭けるというほど真剣なものだった。働くということは人のためでもあり、自分のためでもある。人が幸せになることが自分の幸せであると。この人たちもそんな思いで今仕事に励んでいるのだろうか。


 俺は魔法でなんでも解決すると思った己の未熟さに苛立ちを覚えた。まだまだガキだ。俺はまだ生きるということについて何にも覚悟をつけられていないあまちゃんなのだと一人で思い知ることになった。


 しばらく歩き、事務作業に追われる人々の喧騒が薄れてきたあたりで校長は止まった。


「ここじゃな。グリフィス入るぞ」


「あ、来ましたかこうちょ──」


 中から聞こえた言葉が終わる前に校長は勢いよく扉を開けた。 


「急にすまんの、グリフィスよ。久しぶりじゃな」


「相変わらずせっかちな人ですね……まあ、いいでしょう。私も息子に会えると聞いてうずうずしていたので」


「あなたが……」


「おかえり、ローベン。でもお前は覚えていないのだろうね」


 声の主は今までの書類にごった返す事務机と違い、無駄なものが一つもない整理された机が目立つ整頓されたオフィスの椅子に腰掛けた眼鏡をかけた優しげな声の男性だった。


「君の父上じゃ、ローベン君」


「……」


 ローベンは何も話さなかった。何を考えているのかなどはっきり分からないが、記憶のない人物を自分の父だと言われるのは違和感があるのだろう。


 俺もこの世界に来て本名を教えられ、元の家族の話をされて同じ気分だ。知ったところで記憶にないことは真実かどうかなど分からないのだから。だが目の前には父親を名乗る人物がいる。それなら話を聞いてみるしかないだろう。


「あなたがローベンの親父さんですか?」


 ローベンが黙り込んでいるなら、俺から話しかけないと始まらない。俺はとりあえずといった感じでその男性に声をかける。


「その通りでございます、スパーダ様。お久しゅうございます。そして謝罪を。不甲斐ないばかりにあの夜を……」


「え、ちょっと、どうしたんすか急に」


 突然のことに戸惑った。そのローベンの父親は自分の前にひざまづき、謝罪をしたのだ。自分が見上げなければならない大人が目の前まで来てひざまつくほどの事を俺はされたのだろうか。


「私はあの夜にリンドバーグ家の警備をしていました。しかし……事は起きた。私がやつをもっと警戒していれば……」


「とにかく話してくれませんか? 時間もあるんですよね? ネルソンさん」


「ああ、1時間ほどはとってある。グリフィスから様々なことを聞かせてもらいなさい。わしはわしでここに用があるのでな。また時間になったら迎えに来るよ。あ、あとわしの呼び方は校長先生でいいよ」


 校長は最後に一言言い残してそそくさと退出した。校長の用事とは一体なんなのだろうか。気になったが俺は前を向く。俺はこの人に訊きたいことがあるのだから。

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