第2話 ダンジョンに行こう

「そう言えばお兄様。本日はご予定入ってますの?」

「ながったら付き合ってほしいところが有るんだけど」

「……ダンジョンに行きたい」


 朝食を食べ終わると環希ちゃんが今日の予定を聞いてきた、三人で予定を決めていたのか紗花ちゃんと焔火ちゃんが頼みたい事を代弁した。

 その言葉に僕は今日の予定を頭の中で確認して質問に答える。


「ボクも丁度ダンジョンに行こうと思っていたからそこで構わないならいいよ」

「「「やった!!」」」


 本来ならばダンジョンには15歳からしか入ることが出来ないんだけど。

 10歳の誕生日にステータスが見れるようになりそこから自分の適性を磨いたり、新たにスキルを取得する期間があって、16歳の誕生日の時に職業が定められ入ることが出来るようになるんだよね。

 因みにステータスに筋力等の数値は記載されてなくて、確認できるのは名前・年齢・性別・職業・魔力値・所持スキルで、ギルドカードに記載されている能力ランクは人が測ったものだよ。

 それまでは入り口に不思議な膜が張られており一部例外を除いて通ることが出来ないんだよね。

 だけど、どんなことにも抜け道は存在するらしくて、ボクも偶然やっちゃったんだけどあることを行うと10歳以前でもステータスが現れるようになるんだ。

 僕の場合は職業が現れたのは他の人達と同じだったんだけど、この三人も含めて孤児院の子たちの中でしか確認できていないけれど、2月頃に16歳になる以前に職業が定まってしまった子たちがいた。

 職業が現れる前はダンジョンの外に出てくるモンスターにはちょっかいを掛けなければ問題ないけど、職業が決定されてしまった場合気性の荒いモンスターは問答無用に攻撃してくる。

 ギルドの方でも原因を追求しているがいまだに結果は出ていないから、まず自衛の力を持たせるために冒険者免許を持つものが同伴ならダンジョンに入ることが許可されることになったんだ。


「“あら今日はでダンジョンなのね。気を付けていってらっしゃい”」

「うん。いってきます」

「「「いってきます」」」



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「お兄様、その装備ってもしかして?」

「うん、みんなに手伝ってもらったものだよ」

「確か配信用に準備したやつでしだよね」

「……にゃ、似合ってる」

「マスターの新しい一張羅ですね」

 “グッ!! ”


 ダンジョンに行く準備を終えて家を出て数分、気になっていたのか環希ちゃんが僕の装備について確認してきたので僕は顔をほころばせながら答える。

 僕の姿は髪の色以外は天結らいじゅの姿と同じで、水色の半衿と二の腕部分に切れ込みが有り半衿と同じ色が除いている白衣びゃくえの法衣を纏い、白い足袋と水色の紐の雪駄を履いておりその方にアミーが佇んでいる。

 そしてその背中に背負っている身の丈ほどある大槌これが僕の近接の武器である。

 聞いてきた環希ちゃんの装備は、上が白い小袖でしたが赤いスカートの巫女服のような服に同じく足袋と赤い紐の雪駄だ。

 腰のあたりにポーチを携えていて中には大量の護符が入っている。

 他の二人の衣装はと言うと、紗花ちゃんは青いロングワンピースに無骨な茶色のベルトの頑丈そうな革靴を履いている。彼女の近接武器は塚が茎の様になっていてその先が棘のような槍だ。

 焔火ちゃんは胸元の赤いリボンが特徴的な学生服のような黒いドレスで厚底のブーツを履いているね。

 彼女は拳闘術を使っており腰には猫の様な肉球の付いた可愛げのあるグローブが吊り下げられている。

 コルティはいつも通りのメイド服を着ており腰の左右に3本ずつナイフの鞘が携わっている。

 その他に各自ブレスレットやイヤリングなどの装飾品をつけて火力の強化や耐久の上昇などをしている。

 武器に関しては各自時で購入したりドロップしたものではあるが、防具や装飾品は僕が付与術師であることの相まって基本的に孤児院内で作成しているんだ。

 荷物は各自リュック一つと少ないが実はこのリュックは魔道具の一種で仲が拡張されていて思うより荷物が入るようになっていて思っているよりは物が入るようになっているんだ。

 まだゲームのように自由に出し入れする機能はまだ開発されていないけど時間の問題だろうね。


「今日はどさ行ぐんですか」

「今日は黒双くろふた山のダンジョンに石を取りに行く予定だよ」

「黒双山……たしか土属性のダンジョンでしたわね」

「木属性も入ってるから気を付けてね」

「……おにぃ、ついでに肥料と種」

「んだ。そしたらみんなの負担減らせるべ」

「そうだね。出来るだけそうしようか」


 皆の装備を確認していると、紗花ちゃんが今日の目的地を聞いてきたので答える。

 すると環希ちゃんがあやふやだけどダンジョンの属性を確認してきて、焔火ちゃんはそこからダンジョンでドロップするものを思い浮かべて孤児院のための提案をしてたことに紗花ちゃんも賛同し僕もその提案がいいと思ったので受け入れることにした。

 ダンジョンはだいたい5つほどの属性に分かれていて、木属性、火属性、土属性、金属性、水属性となる。

 今回行く黒双山ダンジョンは不思議な力を持った石を算出するダンジョンでそれが今回の目的なんだ。

 黒双山は孤児院の近くにあるダンジョンで、ダンジョンが発生する以前『日本のピラミッド』『UFOの訪れた場所』として知る人ぞ知るパワースポットだったんだよ? 

 そして近くにストーンサークルといわれる遺跡があって丁度その間となる場所にダンジョンの入り口がある。

 元々関連が有るのではという話もあったけど、ストーンサークルが大地の力を、ピラミッドが天の力を集め二つの力が合わさり、石が産出されるという結果で証明された感じだね。


 そんな感じでいろいろな話題で盛り上がりながら黒双山ダンジョンに向かう途中にある坂を上り切った後の交差点付近でそれは起きた。


「おっ?」

「あれはゴーレムですね」


 石でできた巨人それはダンジョンから定期的にモンスターが放出される現象。

 ダンジョンを中心に1㎞の範囲でそれは起きて原因は究明されていない。


「チャンスだけど……どうしようか?」

「お兄さん……あの子畑のお手伝いさんにしてえです」

「耕すのに便利」

「符の節約ができますわね」


 ──-ダンジョンの外に出た魔物は使役することが出来る。

 逆にダンジョン内の魔物は使役することは出来ない。

 おそらくダンジョン内のモンスターは倒すと消滅するのに対し、外に出てきたモンスターは肉体が残ることが関係しているのだろうね。

 それが広まったのは今から4年前、魔力を持て余し苦しんでいた少年が気まぐれで道端に現れた温厚なスライムを抱き上げ「どうせ余っていらないから君にあげる」といい、魔力をスライムに分け与えたのが始まりだ。

 スライムはダンジョンから外に出現しても日中は太陽の熱で1時間もたたずに中の水分が蒸発して死んでしまう。

 大気中に魔力が満ちていて晴れているダンジョン内では消滅しないことから魔力が有れば死なないんじゃないかと少年は思ったんだ。

 そう思って魔力を満たした結果、スライムはそれまでと打って変わって理性的な行動をし初めた。

 その後に、現れた魔物を倒そうとする冒険者からスライムを守ろうとする少年を逆に守るという行動まで見せた。

 そこからギルドはダンジョンの外に出てきた魔物は見つけたら必ず討伐するという方針から、討伐若しくは使役になり使役したなら報告をという方針に変わった。


「ダンジョンに行く前に消費しすぎるのも問題だから戦闘は僕たちがやるね。誰が従魔にしたい?」

「……たまの護衛役にもなる」

「んだ、魔力的相性的にもそのほうが良い」

「では、私の従魔にいたしますね」

「決断が早くて何よりです」


 コルティの言葉を皮切りに僕は背負っていた大槌を構える。


「ソレじゃあ行くよ!! アミー!! コルティ!!」


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お知らせ


紗花の口調の変更

今回の話に合わせてプロローグ第1話のらいじゅの外見を少し分かりやすく修正しました。

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