特別閑話#1 世界観
天結らいじゅが配信を始めて数日たったころ。とある配信が行われた。
【ギルド企画】ダンジョンのある世界【新情報あるかも?】
8,452人が視聴中
「皆さんこんらい~
今回はギルドからの依頼で世界状況の説明をしていきたいと思います」
『きちゃ』
『ダンジョン系配信者の宿命会』
『こんらい~』
『状況は逐一更新されているけど文章で追うのはきつい。こういう配信は助かる』
『ギルドもいい計らいをする』
今日の配信はリスナーの言っている通りダンジョン配信者の宿命会といわれている今の世の中の説明会だ。
基本的には学校の授業でも習うことではあるがまだダンジョンが出現してからの歴史は浅いので新しい情報が次々現れる。ギルドからも情報は出しているが隅々まではいきわたらない。
発信源はいくらあってもいいということで、ダンジョン系配信者は配信開始月に現状の世界状況を配信することがギルドから定められているんだ。
「はい。と言う訳でギルドからの依頼で今の世界状況の説明会をやってぐよ? みんな着いて来れる?」
『もちろん』
『あったぼうよ』
『寧ろらいじゅちゃんがついて来いってんだよ』
『今日は俺たちが経験値になるんじゃなくらいじゅちゃんから経験値を貰う会だったか』
「じゃあ今回もこの二人と一緒に説明をしていくからよろしくね?」
「はい。マスター」
“グッ!! ”
『コルティ―ちゃん来ちゃ』
『アニムリウス見参』
『グッ!!』
『やっぱりこの組み合わせよな』
そうして僕はコルティとアミーの立ち絵を立ち上げる。
2回目以降の配信から作業配信以外ではもうお馴染みになっている光景ではあるがリスナーからの反応は未だに好評なんだよね。
「んだば、まずんんっ。ダンジョンが発生したのは今から20年前、何の前触れもなく現れました。それと同時に魔物も現れ、そしてダンジョンを中心に地域を分断するかのような結界も発生しました。それに対抗するかのように地球上の生物にステータスが配られました。魔物の種類は伝承に語られるもの中にはアニメやゲームのキャラクターの形をしている魔物もいます」
『真面目モード突入』
『あの当時はきつかった』
『無線通信が使用できなくなったのは地味にきつかった』
『結界内のダンジョンのドロップ品で解除が可能になるけどね』
『国内の結界は殆ど除去済みです』
『他国との交流の仕方も変わったねえ』
『魔物ねーゴブリンとかならまだ良かったんだけどね』
『神喰いゲームのやつらはヤバいって。流石に実機ほどではないけど』
『現実で携帯獣が見れるとは思ってなかった』
『私も携帯獣を従魔にしたいけど場所が……』
「当時活躍してくれた皆様本当にありがとうございます。……ん? ハハ! 携帯獣いいよね。僕はこの子たちがいるから今のところはいいかな。基本的にダンジョンは発生した場所に由来した魔物が出てくるよね。火山だったら火系統や鉱物系統の魔物。アニメ・ゲームキャラとかは舞台にになった場所だね」
「曰く。聖地と呼ばれる場所のようです」
「そうだね。例えばコメントに出ていた神喰いいゲームの魔物は舞台になった神奈川に、携帯獣は各世代の始まりの地にダンジョンがあるよ」
『戻った』
『欲しい物がどのダンジョンにあるのか分かりやすくていいよね』
『聖地かそう言われると納得』
『ダンジョン内も結構再現されているよね』
僕の説明にコルティが相槌を打ち、アミーがパソコンを操作して話に合うように操作する。ダンジョン関係の時には日本地図を出しポインターと動かしたりして場所を示す。
「あとダンジョンからは定期的に魔物が放出されるよ。出てくる周期や規模はダンジョンによって違うけど、大体そのダンジョンから半径1キロメートルの何処かに出現します
数が数なため自衛隊員で対応しきれない為、冒険者の制度が改めて施行されました」
「それ以前は暗黙の了解みたいな形でしたね。国としては一般市民に危険な行為を行わせるわけにもいかなかったので苦渋の決断だったのでしょう」
『うんうん』
『あの時ばかりは国の行動早かったよな』
『当時の状況だと悩んでる時間も惜しかったから』
ボクは当時の様子は分からないけれど聞いた話やコメント欄を見ると相当大変であったであろうことが想像できる。
本当にありがたいことであると思いながら解説を続ける。
「それ以降、冒険者は自衛隊の外部協力者としての一面も持つようになりました。そのため冒険者は一定のランク以上になると、国からの支援金がもらえるようになるよ。それと同時に国は危機の時に冒険者を招集する権利を持っています。ただ人数が多すぎて管理が覚束なくなったためギルドが発足されました」
「今やほぼ全国民が冒険者免許を持っていますからね」
『自衛隊の一面が有るのは初めて知った』
『支援金ってマジで?』
『Cランク以上からだな』
『だからCランクの試験はきつめなのか』
『ギルドってそういう理由でできたのか』
『冒険者免許今や高校の卒業試験に組み込まれているしな』
『路上で出くわした時襲ってくるのに倒しちゃだめって言うのはきついからね』
『それな』
コメントの言うように冒険者免許は国民のほとんどが持っている。持っていないのは子供と言うのが現状だろう。
「そして魔物を倒すと魔核とドロップ品を落とすよ。僕たち冒険者はこれをお金に換えて生計を立てているね
ドロップ品については種類が多いからまた今度にするとして、魔核についてだけどこれは必ず魔物からドロップするね。
前まではこのまま魔力資源として用いられてきたけど、今ではこれを加工して魔石とオーブにすることで魔力資源としての効率が上がったし、アイテムや装備の強化できるようになったよ。原石か宝石の違いかな?」
「原油とガソリンの違いといったほうが伝わるかもしれませんね」
魔核は水につけてしばらく置いておくと魔核水となりそれに火をつけると二酸化炭素の排出しない火力発電の資源として重宝されてきた。
魔石は魔核から不純物を取り除き魔力のみを抽出し同じように使うことで効率が上がったものを言う。
魔石はもとからダンジョンでとれる貴重な魔力資源だったけど、加工方法が見つかって価値は落ちたものの需要が高まり魔力量の少ない物は価格も下がったが、多い物は今まで以上の価格となりとんとんといったところだ。
そして抽出した不純物を固めたものをオーブといい装備やアイテムの強化素材となって重宝されるようになった。他にもドロップ品ががるのでダンジョンは無駄の無い資源として重宝されている。
『魔石ってたまにダンジョンに落ちてるものだっけ?』
『加工が出来る発表されたのって5年前だっけ』
『方法は知らないけどね』
『稼がせてもらってます』
『ドロップ品は魔物それぞれだからな』
『原石宝石って』
『ガソリンか原油かの違いって方が分かりやすい』
『今まではドロップ品をただ加工してただけだからな』
『オーブのおかげで特性を付加出来るようになったのはでかい』
『気にしないで魔石の魔力を魔法に使えるようになったのも大きいよね』
「そうだね。装備に特性が付加出来るようになりました。これが新情報になるけど、特性を付与できるのは装備を作っている途中にオーブを加えて付与するか、僕みたいに付与術師が付与するかのどっちかだよ。今までは付与術師の人口が少なすぎてギルドがこの情報を出すのを控えていたみたいなんだ」
「注文が殺到してきて追いつかなくなるでしょう」
『ここで新情報をぶち込んでいくぅ』
『知らなかった』
『成程』
『たしかに』
『納得』
「注意してほしいんですが、どういった特性が付くのかはいまだよくわかっておらず研究中なのでそこはご了承ください」
『了解』
『必須知識だ』
『切り抜きまわさないと』
『クレームを減らすぞ』
これを言っておかないと注文したはいいが思っていたのとは違うとクレームが殺到するだろう。
それで心が折れて人口が減ってしまったらこちらにとっても利用者にとってもたまったものでは無い。
視聴者の方々もそれをわかってくれたのかこの注意分を切り抜いて回してくれるようなので感謝の意に尽きない。
「他にも教えなきゃいけないことはあるけど今回はここまでになります。どうだったでしょうか? 勉強になったという方はこう評価とチャンネル登録の方をよろしくお願いします。それでは、ぐっらーい」
『ぐっらーい』
『ぐっらーい』
『ぐっらーい』
『ぐっらーい』
『ぐっらーい』
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