おかえりって言いたくて

黒月 零

おかえりって言いたくて

誰にだって譲れない物があると思う、自分の才能や、今まで取得した資格、そして彼氏。そんな彼氏が譲れない1人の物語……

「あっ零君いたいた〜」

「おっ来たな叶」

「うんっ久々にデートに行こうなんて言い出すから張り切っちゃったよ」

「あはは、なんかごめん…」

「もう、すぐ謝らないでって、それで今日はどこに行くの?」

「今日は叶が行きたがってた映画に行こうと思ってね」

「いいの⁈嬉しい‼︎」

「うん、それじゃあ行こうか」

「にしても黒いね、まぁいつも通りか」

「まぁね、黒くらいしか服持ってないから」

「どうせだし、今日服買わない?」

「それもいいかもね、そうしよっか」

「やった‼︎」

「あっバス来たみたいだよ」

「ほんとだ〜」

〜バスに乗ってショッピングモールへ〜

「着いたね月乃葉ショッピングモール」

「うん、とりあえず映画‼︎」

「そう焦らなくてもチケットあるからね」

「取っててくれたんだ、ありがとっ」

「そんなに感謝しなくていいんだよ?w」

「そうだね、それじゃ行こっ映画映画♪」

〜意外とラブストーリーでビックリした2時間後〜

「うぇぇ……グスッよがったぁぁ」

「あ〜あ、せっかくの可愛い顔が…ほら涙拭いてっ、服買いに行くんでしょ?」

「あぃがと…」

「にしても話題作になっただけあって面白かったな……」

「グスッ…ふぅ、さぁ服買いに行こっ‼︎」

「うん」


「君意外と黒以外って似合わないね…」

「そっか…あっでも紺色は意外と似合うらしいよ?友達が言ってた」

「そうなんだ、それじゃこれ着てみて!ほらっ試着室はあっちだよ」

「おっおう」

「着たぞ〜叶、あれっ返事くらいしてくれたっ…」

「じゃ〜ん、ペアルックだよ?どう?」

「……」

「あれっ?」

「可愛い……そして可愛い…神か?」

「そんなに?w」

「そんなにだよ、オーバーサイズのTシャツで合わせるとかもう」

「そんなに良かったんだ、それじゃ買おっほら…あっちょっと待って」

「ん」

「これでよし」

「髪留め売ってたんだね」

「うんっ!可愛かったからつい…」


「そういえばお昼ご飯まだだったね」

「だねぇ、どこで食べよっか」

「あっちょっと歩くけどいい喫茶店があるんだよ、そこに行こ」

「喫茶店かぁ、なんかもう美味しそうw」

「そうだねw」

〜ショッピングモールから10分くらい〜

「着いた〜、いやぁ今日は暑いね」

「そうだね〜、早く入ろ〜」

カランカラン

「いらっしゃい、あぁ零君かそちらは…」

「彼女の叶です」

「あぁ彼女さん、いらっしゃい」

「どうも…///」

「さぁ、ここのはどれでも美味しいからね何食べようか」

「私、オムライス食べたい‼︎」

「ん、それじゃ俺はパスタかな」

「パスタとオムライスかい?」

「聞こえてたんですね、お願いします」

「せっかく来てくれたんだ、頑張って作っちゃうぞ」

「いつも通りでも充分美味しいですからw」


「あっ来たね」

「こちら、オムライスとペペロンチーノでございます」

「どうも」

「ありがとうございますっ」

「食べよっ」

「「いただきます」」

「オムライス美味しい」

「やっぱりここのペペロンチーノは美味しいな」

「一口いただきっ」

「あっ、じゃあ俺も一口っ」

「零君一口少なくない?」

「そうでも無い…事ないな…」

「いやぁ微笑ましい、いいね青春って感じがして」

「「何がですかっ」」


「「ごちそうさまでした」」

「美味しかった〜」

「そうだね」

「食後のコーヒーでもどうかな?」

「いいですねお願いします」

「私はミルク多めでお願いします」

「零君はいつも通りブラックだね?」

「はい、よく考えたら服も黒いな」


「ふぅ、一息ついたし出ようか」

「そうだね」

「ごちそうさまでした〜」

「また来ます」

「あぁまたいらっしゃい」カランカラン

「さぁ、駅地下にでも行ってみる?」

「そうだね少し遠いけど」

〜楽しく過ごして20時〜

「もうそろそろ帰らないとね」

「そうだね、お互い独り暮らし同士でシェアハウスしてるけど…」

「一緒の家だもんね」

「まぁ、帰ろうか叶ここから近いし散歩がてら」

「そうだね」


「涼しくなってきたね」

「あっ青信号に変わったよ!」

「人の話くらい聞いてっ……危ねっ」

「へ?」

プァァァァ…ドゴッ

零君から聞いたこともないようで何より聞きたくない音がした、

「いたたた…」

「⁉︎」

「零君‼︎…零君‼︎」

「大丈夫かい?ちょっと!救急車とAEDを‼︎」

「はいっ」

「当て逃げされたのか⁉︎」

「すみませ〜ん‼︎人が倒れていますっ‼︎助けられる人は助けてくださいっ‼︎」


ウーウウ……

「救急隊員ですっ、患者の容態は⁉︎」

「1.2.3」

「あっこの子は乗せてあげてください、一緒に住んでるみたいなので」

「わかりました」カラカラカラカラ……

零君からは見た事ない量の血が出ていた、黒い服はところどころ破れてしまった…零君…


「とりあえず経過観察ですね彼に何かあったら連絡するからね、絶対に助けるから」

「はい……」


「零君………うっうぅ…」

〜2日後〜

プルルルルルル…

「はい…」

「黒月君の意識が戻った‼︎早く病院に来てくれっ」

「え……はいっ‼︎」

〜病院〜

「あっ叶さん!早く零君のところへ‼︎」

「はいっ‼︎」


「よかった…零君が生きててくれて……」

「えっあぁうん…ところで君は、誰?」

「えっ?」

「⁇」

「私は目黒……」

「泣かないでっえぇと下の名前は?」

「教えてあげない…自分で思い出してほしい」

「そっか…頑張って思い出さないとね?」

〜数日後の土曜日〜

「あっ目黒さん今日もお見舞いありがとう。今日で退院だからどこか行きたいところとかある?」

「………喫茶店」

「うん。それじゃあそこに行こうか」

〜少しして〜

カランカラン

「いらっしゃい」

「おぉこんな喫茶店があるなんてね」

「うん……」

「どうしたんだい?元気が無いようだけど」

「実は…」


「なるほどな…今日は無料で食べてってくれ奢りさ」

「はい…ありがとうございます」


「うわぁ、美味しそうなペペロンチーノ‼︎」

「うん美味しそうだね…」


「ふぅおいしかった、ごちそうさまでした!また来てもいいですか?」

「あぁ、目黒ちゃんといらっしゃい」

「はいっ!」カランカラン


〜駅地下で少し買い物をして〜

「あっ信号が青になったよ、目黒さ…」

「どうしたの?零君」

「叶……だよな」

「えっ?」

「ごめんな、今まで名前すら覚えてなくて」

「いっいいよ…そんなこと……うぅ」

「泣かないでくれよ…それよりさ。」

「うん…」

「ただいま、叶」

「うん、おかえりなさい零君」

私にとってこのたった一言がどれほど嬉しい物だったかは私以外に知る人はいない、当たり前だけどね、それでもこれだけは言える事がある。



        ただいま



たった一言だけで私の心は報われた気がするんだ。また零君と人生を歩けるって意味でね。

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おかえりって言いたくて 黒月 零 @KurotukiRei

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