第7話 坂木:教室

「今日の放課後、空いてる?」


 昼休憩の教室。兎口さんに話をする。


「うん、大丈夫だけど。一緒にあの……探してくれるの?」

「その前に、一回相談しようと思う人がいるのよ」

「相談? 誰に?」

「大丈夫よ。信用できる人だから」


 兎口さんは辺りをせわしなく見回している。なにかを探してるようだ。


「どうしたの?」

「え? ううん、なんでもないの」


 その時、カラカラと床で音がした。


「ひっ!」


 兎口さんは大袈裟に驚いているが、彼女の後ろの席の人がシャーペンを落としただけだ。

 明らかにホッとした様子で、ため息を吐く。


「じゃあ放課後、お願いね」


 どこか疲れた表情で、兎口さんは言った。


「うん、まかせて」


 私は腕を掻きながらそう答えた。

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