新しい家族????

第9話 お兄さんとお母さん

私の主治医だった人は「フルーツ・パフェ」と言うお名前だった。


彼に連れられて行ったお家で、「パフェ家にようこそ!」と出迎えてくださった初老の奥様は、フルーツ氏のお母さまの「マロン」様。


確かに 我が国では 食べ物にちなんだ名前が好まれるのは事実だ。

だって 私の名前が「ナッシー」と聞いたら 我が国の出身者の10人中10人ともが「梨から来たナッシーね」と理解するくらいだもの。


しかし 苗字まで食べ物の名前の方は珍しい。

由緒ある家がらの方だけが お料理に関する苗字を持つ。

 カレーさんとか スパゲッティさんとか


つまり 私の新たな保護者様は大貴族の御嫡男だった!\(◎o◎)/!


そのような方が なぜ 私の保護者となったかと言えば・・・


「ぼくは 最初は 単純に君を保護したかったんだ。

 とてもじゃないが あの学園に戻すことはできないと思った。


 ただ その 君の心理検査の結果がすごすぎて

 天才級の大物だから とてもじゃないが 人任せにできないと思った。

  無知な人間に苛め抜かれて利用されるか、

  目先の利く人間に酷使されるか

  政府機関に閉じ込められて死ぬまで搾取され続けるか

 そんな未来しか見えなかった。


 それで 母と相談して君の保護者として名乗りを上げたんだ。

 パフェ家の養子にすることも考えたんだけど、そうすると 今度は「貴族としての義務」とか言った名目で 君が王家の奴隷にされる可能性もあったから

 あくまでも 僕が君の名目上の保護者として、君が独り立ちするまで後見して

 あとは 君が自分の才覚で生きたいように生きていけるように、それまで保護者としての務めを果たそうと思っている」 だそうだ。


「でも どうして?」


「パフェ家は もともと知能の高い集団なの。

 この子も10歳で大学の経済学部と法学部を卒業して15歳で医師国家試験に合格したわ。

 だから 知能の高い女性の苦労も 知能の高い子供の苦労も わが一族は全員身に染みて知っているのよ。」奥様がおっしゃった。


「僕たちは 代々の経験をもとに、自分を守るすべを子供のうちにから教えられて育っている。

 そして 自分の能力を生かして 自分の望む生き方をする方法も学びながら育つ。

 そして それが どれほど恵まれたことか 幸運なのかも気が付くよ、大人になれば。

 だから 君の苦労もこれから出会うであろう困難も予想してしまった。

 それで いてもたってもいられなくなって・・・


 だからその 君に恩を着せるつもりも 君をどうこうするつもりもないんだ。

 どうしても理由付けが居るというのなら うーん「幸運のおすそ分け」みたいにおもってくれたらいい。」フルーツ氏


「この子は 子供のころからとっても聞き分けが良くてね。

 その息子が はじめてわがままを言ったから それをかなえてやりたいという親心から手伝うことにしたの、私わ」奥様


ものすごく正直なお言葉をたまわった気がして 私は素直にお二人の好意を受け入れることにした。


「お二方ふたがたのご厚意と親切をありがたく頂戴いたします。

 そして 分けていただいた幸運を最大限に活かすべく これから努力していきたいと思います。

 わからないことだらけですので、これから ご指導ご鞭撻べんたつ のほど よろしくお願い申し上げます」

 私は 心から感謝し 抱負を述べて 頭を下げた。


「これから 僕のことを兄と思ってくれると嬉しい」フルーツ氏


「私は あなたのことを 新しい娘だと思うことにするわ」奥様


「ありがとうございます。

 あらためて よろしくお願いいたします」

私は再度 頭を下げた。


夜になって この家の御主人が帰ってきた。


なんとなんと マロンさんの夫はあの裁判官だった!


 え~~~~~~~~ そんなのありぃ~~~~?


息子の申し立てを父親が裁判官として審査・決済していいのぉ???


この国では それがごくありふれたことらしい。


 うっそぉ~~~~~~


私の知らないこと=本に書いてないこと、は多い。

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