第10話 パフェ!
「欲しいものはなに?」マロンさんから尋ねられた。
そこで 「病院でいただいたデザート=フルーツとケーキとアイスクリームの盛り合わせが とってもおいしかったので いつかまた食べたいと思う」と答えた。
「あれね、パフェと言うのよ」マロンさんがおっしゃる。
「昔はね、丸いお皿や 横長のガラス食器に盛るとサンデー
細長い 先細のグラスに盛り付けるとパフェって呼び分けて提供していたのだけど、今では たいてい 細長い器に入れたパフェが主流になっているわね」
「それに 丸皿に盛り分けて ア・ラ・モードっていう出し方もあるよ」フルーツ氏
「そうなのですか。勉強になります。教えてくださってありがとうございます」
「どっちかというと、パフェはアイスクリームが主体だったのが
いつのまにか砕いたコーン菓子やゼリーなどを底に詰めてカサ上げしたり 上にケーキを乗っけるようになったけど
僕は パフェと言えば グラスの底まできっちりとアイスが入って できればそれも2種類以上のアイスが入って 一番上がバニラでソースがかかっていて、焼き菓子と一口サイズの果実がちょこんと載っているのがいいなぁ。
ケーキとアイスとフルーツの盛り合わせは 皿にバランスよく乗っているのがいい。どれも適量均等配分で」とフルーツ氏。
「そういえば 昔 この子がお誕生会でジャンボパフェを食べたいと
誕生日プレゼントのリクエストを出したことがあったわねぇ。
その時は この子の希望で10種類のアイスクリームを大きな縦長のグラスに詰め合わせたのだけど、出席した子供達の間で分け合うのに意見がまとまらなくて・・結局アイスが溶け始めてまざりあって たいへんだっわね」マロンさん
「あの時は ほんと泣きたかったよ。
今なら 子供10人で10種類のアイスの詰め合わせを分け合うことは無理があるってわかるけどさぁ
あの時は 全員 一口づつ食べれば問題ないって思ったんだよ」フルーツ氏
「そこが 同年齢でも 知的レベル5歳児と11歳児の差のある子どもどうしの悲劇なのだよ」裁判官のドリアン氏
「その説明を 誕生会が終わった後の寝る前に父さんから聞いて僕はすごくショックだった。
僕一人が 友達とは全然違うんだってことを知って・・」フルーツ氏
「わが一族の者が 最初に味わう「孤独の洗礼」だよ」ドリアン氏
「そうね 私たちはたいてい 3・4歳くらいから だんだん友達や友達の兄姉との違いを感じて5歳くらいではっきりと気が付く「孤独の洗礼」よね」マロン婦人も同意した。
「だからこそ 私たちは 家族の結びつきを重視するし、伴侶選びに気を遣うんだ。
親子・家族で同じ体験を共有し 体験を共感するために 知的レベルの釣り合った人と結婚することを重視している」フルーツ氏
「結婚で妥協すると だんだん 家族の中でも知的発達の差異が広がって
それが 親子や兄弟姉妹間の確執にまで広がってしまい、自殺や家族の分裂が多発して消えていった傍系が多いですものね。」マロン婦人
「その一方で 血族結婚は 血が濃くなりやすいから、他家の優秀な人を配偶者にする必要があるわけだけど、傍系が消滅していくと ほんと配偶者探しが大変で 僕は苦労してます」フルーツ氏
「それで お前は 複数の学園・大学・大学院に研究所の指定医院に努めているんだよな」ドリアン氏
「やだな 僕は 医者としてはまじめですよ。
そんな不純の塊みたいなこと言わないでください」フルーツ氏
「しかし 優秀な遺伝子を持つ女性の多くが、他者への思いやりと礼儀を身に着けているがゆえに 欲深い野心的な男どもに狙いをつけられ付きまとわれ強引に婚姻を迫られた挙句ポイ捨てされて、今では一般家庭の子供よりも 孤児出身者の方に頭脳明晰な女性が増えていることもこの20年 緩やかに明らかになってきた現実だ」ドリアン氏
「優秀な女性と言うのは 周囲からの羨望と嫉妬の的にされて、周囲からの助けを得ることができないだけでなく むしろ征服欲の強い男に踏みにじられたらいいのにと考える卑賎な人間の方が多いのが現実ですからねぇ」マロン婦人
「むしろ 既婚自殺女性の大半が 夫よりも知能指数が+20以上高いというこの10年の統計的事実の方を僕は重視したいですね」フルーツ氏
「ああ 12歳と15歳で全国一斉知能検査をした後の追跡調査の結果の集計を始めて30年だからね、やはり婚姻後の自殺率に反映されてきているのか・・」ドリアン氏
「知能の高さは 感受性・共感性の高さと密接に関係し、それは 女性の場合 細やかな気遣い 思慮深い態度=つつましさとして発現し、未熟な男性から獲物認定されてしまうというこの世の不条理さ」ドリアン氏
「知能の高い女性が 子供の頃に、はきはきした態度を示せば 男性教師や男性養育者から身体的精神的虐待を受け、それに同調した同世代男子からの暴力的いじめの対象にされる昨今の風潮が問題だと私は思います」マロン婦人
こうした会話を聞かされていると 気分が悪くなったので、
夫人の言葉によりシュンとした男性たちにより会話が途切れたのを潮に
退室することにした。
「あの ごちそうさまでした。
それでは 私はこれで」
「ごめんなさいね。話が脱線しちゃって」
マロン婦人が 寝室まで私を送ってきてくださった。
そして ドアの所で、
「こんな家族ですけど 貴方が成人するまでは 責任をもって 貴方の養育と安全に努めますから 怖がらないでね。
それに 成人したあとも、あなたさへ良ければ 私たちのことを家族と思って付き合っていただけると嬉しいわ。
それに・・私たち個人個人は個性的でも 家族としては ごく普通の家族だから、個人的なつきあいも 家族外の付き合いも 人間関係についてわからないこと・迷った時にはなんでも相談してね。
そういう意味では 貴方は 私たちにとって養子と同じだから。
ただ 成人後のあなたの生き方を縛り付けたくなかったから養子縁組をしなかっただけなの。
逆に 貴方が社会人になった時に 我が家の一員となりたいと思えば
その時には 改めて相談しましょ。
法的に家族の一員・一家の一人となるには いろいろな形がありますから、そういうことは 貴方が大人になってから 大人として判断したほうがいいと思うの。
今のあなたは 私たち一家が保護する子ども、大事な娘、それだけを覚えて置いてね」
そういって マロンさんは お休みと言ってドアを閉めた。
なんだか すごく意味深いことを言われた気がするが、情報過多で判断停止してしまった。
なので 寝る!
寝るは
ちょっと下品な言い回しだが この言葉を実感してしまう自分がちょっと嫌だ。いや かなり嫌だけど、そこまで言い切っちゃうと 自分がかわいそうになるから そこまで言わない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます