第7話 退院予定日の出来事

さて 入院して1か月が過ぎ 退院予定日となった。


退院前の手続きがあるからと 応接室に呼び出された。


なんで 退院手続きで 退院窓口じゃなくて応接室に呼び出されるのだ?と思ったら・・


スーツをカチッと着こなしたおじ様風の方とバリバリの現役です!と言った感じの30代くらいの人と主治医が居た。


結論から先に言うと、「心理検査」と「学力検査」の結果が非常に優秀だったので

王立大学院の研究生としてこれから半年間在籍し、自分が来年度からどこの研究室に所属するかを決めて そこの院生になるための受験勉強をせよとのことであった。

 この受験勉強というのは、論文を読み書きするのに必要な外国語の習得と言う意味であった。


 さすがに語学だけは 孤児院時代に活用していた公立図書館の書籍だけでは独学するに厳しいものがあったので。

 もちろん漢籍だけは 初歩的な読解の手ほどきが書庫にたっぷりと積まれていたので、漢文の読み取りだけは独学で来たが 書く方は自信がない。

だって添削してくれる人がいなかったもの。


 その他の横文字は テキストが公立図書館になかったので 全然勉強できなかった。


ちなみに 高校・大学の終了相当証明書が出たらしいが、原本は主治医殿がお預かりになっているらしい。

というのも 私が成人するまでの名目上の保護者が主治医殿になったらしいから。


なんじゃそりゃ? あっちこっちへと 本人の意向と関係なく 私の「保護者」と言う名目の支配者がコロコロ変わるなぁ・・・・・


「それで 生活費は? 私 給食がないと 自分の食べ物はおろか 飲み水すら手に入らない境遇なんですが? だって水道水を汲み置きしておくとあっというまに蚊がタマゴを産みつけに来ますから、校内にいるときに こっそりとその都度水道水をなまなきゃいけないんですよ。

 学用品を買ったり教科書を買うにも 申請書を書いて、申請の3割くらいしか支給されたことがないから いつも誰かのお古をもらい歩いて生きてきたのだけど、

さすがに学園のテキストのおさがりをもらう当てがなくて 来年度のテキストをどうしようかと悩んでいたのですが。

 それに ここでの入院費用を賄うための仕事は いつから始まりますか?」


私のまじめな問いを聞いて 3人の大人は うめき声をあげた。


3人は そそくさと退室し、代わりに事務員さんらしき女性が お茶とクッキーを持って来てくれた。

 お茶のおかわりはあるし 器の中のクッキーは全部食べてもいいし残ったら中身を持ち帰ってもいいからと言って。


 そこで ありがたく お茶とクッキーを1枚頂いて、残りはハンカチに包んで持ち帰ることにした。 非常食ゲット~!


しばらくすると いかにも「事務長または弁護士」みたいな中年のおじさんと 同じく監査役っぽい中年のおじさんがきて いろいろ質問され・・・今日はもう遅いから病院に泊まっていきなさいと言われてしまったorz


「入院費の支払いは求めないから安心して 泊って行きなさい。

 どちらにせよ 現状では退院許可は出せない」と主治医に言われ、病院の事務長を名乗る方からも入院中の医療費・食費・その他もろもろの経費の請求はないと保証されてしまっては 従うよりほかないではないか!?orz

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る