第4話 惹かれていく
「改めまして涼です」
涼―30歳、営業職、身長175㎝、人当たり良さそうな笑顔を怜に向けている。
その笑顔はさすが営業マンと言ったところだ。
「こちらこそ、改めまして怜です」
「今日はお迎えありがとうございます」
「いえ、運転好きなので大丈夫ですよ」
「かっこいい車ですね!」
「ありがとうございます、MT車なので珍しいかもしれませんね」
「MT車ですか!私AT限定なので運転できるのすごいですね」
「今日は安全運転で頑張ります!笑」
「頼もしいです。今日はこれからどこ行きましょうか?」
「そうですね、確か水族館が好きとアプリに書いてあったと思うのですが、
俺も好きなので行こうと思っていました。どうでしょう?」
「好きです!行きましょう!」
前日ドライブで話すネタを考えてきたはずだったのだが、緊張で怜は頭が真っ白になっていた。何か話さなければ…そう考えていた怜だが考えれば考えるほど何も浮かばない。
「もう何人かとはお会いしましたか?」
涼の方から話題を提供してくれ、内心助かったと思う怜だった。
「いえ、涼さんが初めてです。以前やり取りでお話したかと思うのですが、お会いする約束の最中にラブホに行きたいと言われたので怖くてブロックしてしまいそれからはお誘い受けるのが怖くなってしまって…」
「それなのに俺とは会ってくれたのうれしいです。」
「お誘い受けたときに怖かったらランチだけでもって言ってくれて、こっちのことも考えてくれていて優しい方なんだと思ったので」
「そう思ってくれたのうれしいです 」
「涼さんはどなたかとお会いしましたか? 」
「俺は、怜さんの前にお会いした女性がいました。でも俺に魅力がないのか3時間で解散してしまいました」
「そうなんですか!今お話ししていてもとっても話やすい方だなって思いますけどね!」
「そう言ってもらえて光栄です」
そういう会話をしていたらあっという間に水族館に到着してしまった。
「着きました。さあ行きましょう」
「はい、運転ありがとうございます」
涼の車を降り扉を閉める。
怜は心の中で不思議な気持ちになっていた。
(何故だろう…話やすいし一緒にいて楽しい。もっとお話していたいな)
こっちですよと声をかけてる涼の元へ駆け寄りながら考えていた怜だった。
手の中の幸せ 茉莉花 @-jasmine-
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