第2話 元ゲーム会社の中堅社員(38歳)、没キャラになる


「起きなさい....起きなさい、我が娘よ.....」

「うぅん......」

あれ?...........

「ここは.....どこ?」(ここはどこだ.....俺はあの時、死んだはずじゃ...)

ここは....どこかの部屋か?

でもなんで.....俺は死んじゃったはずじゃ....もしかして、来世かなんかですかね?


「わたしは....だれ」(口が勝手に!?どういうことだ!?)



心の中では俺と言ったはずなのに声に出す時には私になる。なんだこれ....気持ち悪りぃ...後なんか前に比べて視線が低いし、声も高い...どうなっているんだ?

「鏡ないかなぁ....」(鏡があれば今どうなっているかわかるはず...)

小さくてもいいから何処かに鏡がないか探していると....

「大きい鏡です....」(あった...けどなんか思ったのよりもデカい)

前世の自分が二人くらい立ってもあまりあるくらい大きい鏡がこれでもかと置いてあった。そして何故あるのが分からなかったかと聞かれたら、布が被せてあったからである。ちなみに布の色は茶色。そして鏡に映っていたのは.....

薄い青の髪に濃い青い目....そして雪の結晶の形をした髪飾りこれは....

「これが...わたしですか?」(ってこれ没キャラじゃないか!?)

名前はルナ•ドゥ•ビストというファンタジー系恋愛ゲームの開発中に色々あって没にされた謂わば没キャラであるが......やっぱり出した方がよかったのでは?と思えてくるような見た目なので個人的には今まで制作してきたゲームのキャラクターで一番愛着が沸くキャラクターだと言えるだろう


かつかつかつかつと扉の向こうからこの部屋に向かってくる靴の音が聞こえてくる

誰だ?ここの家の人かな?メイド服着てるけど......ミニスカじゃない..ちぇっ

というか.....

「えっと.....だれですか?」(どちらさま?)


「ルナ様、覚えてないのでしょうか?(たしかにあんな目にあったら記憶をなくすのも納得できるけど...)

「はい....今覚えていることは何もありません。」(ルナ?どこかで聞いたことがあるようなぁ...)

覚えているのは前世のことばかりです

「そうですか....一般的な常識はわかりますか?」(これが分からなかったら重症なんだけど....)

常識......前の世界のならわかるけど....この世界のはわからないかなぁ....この体の記憶が蘇る的なご都合主義もないし....何もわからないなぁ...

「えっと....分からないかもです...ごめんなさい」(この世界の常識はわからないからなぁ...)

「そうですか....ではご当主を呼んでまいりますので、しばらくお待ちください」(これは一大事ですよ.....)

そういってメイド服を着た女性はお辞儀をした後部屋から出ていった。


「........」(いっちゃった.....とりあいず、部屋の中で情報収集しますか....)

部屋の中には自分が寝ていたキングサイズのベットと、小さなテーブルが一つに椅子が一つ箱の中に入った紅茶セットが一つだけだった。物がすくねぇ!

なんでこんなに物が少ないんですかねぇ...

「もしかして....私はあんまり物を欲しがらないタイプだったのかなぁ....」

そういえば、この蓋はなんなんだろう?ベットの裏には木製の蓋がされた穴があって

蓋の周りの壁ををいじっているとガチャリと音がして蓋が外れる

「これは.....本かな?」

「えっと......これは日記かな」

バタバタと音がするので本を穴に隠して蓋をする。そしてベットの横に座り、扉を開けるのを待つ

扉が開き、

「ルナ!目覚めたのか!よかった....本当によかった!」



「どちらさまでしょうか.....もしかして私の家族でしょうか?」

なんか見たことある顔だけど、たぶん俺の担当のキャラじゃない。

確か男性キャラの担当は後藤君だっけ

「ルナ?覚えていないのかい?パパだよ?」

パパ!?この人が!?

「パパですか?えっと...はい。何も....すみません、覚えてなくて.....」

父親かぁ.....それなら後藤君の担当だわ。

「いや、いいんだ、君のせいじゃないさ」(まぁ.....後で思い出すかもしれないし、今は放っておくか.....でもあの子に会わせるのは選択肢に入れておくかな)


「そうですか....あの私は誰だったんでしょうか?もしよろしければ教えてくれませんか?」この体、ルナの事をこの人から聞けば喋る時ボロが出る確率が大幅に減るからな、聞いておいて損はないだろう。それにこの人はルナの何か大切な人だったような気がするからだ。例えば父親とか....ね


「あぁいいとも、まず私の名前はゲルド・ドゥ・ビストそして君の名前はルナ・ドゥ・ビスト、私の娘だ。」

「娘......」(ゲルドっていうんか、)

「ルナ・ドゥ・ビスト.....それが私の名前......」


「そうだ、あとでほかの家族にも会うかもしれないが、今は気にしなくていいからな。」

「はい、わかりました。えっとゲルドさん?」


「ハハハ、言いにくいならパパでもいいからね。」

それはまだ無理そうだなぁ.....ゲルドさんでいいや

「それじゃあ....ゲルドさんでお願いします」(突然は無理なのでね。すまないね)


「そうか.....」(´・ω・`)




次回へ続く

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