第1話 ゲーム会社の中堅社員(38歳)、死ぬ

俺は佐藤守。ゲーム会社に入社して8年目の中堅社員である。給料は安いけど...まあまぁやりがいがあるので給料が安くても続けられると俺は思っている。

ちなみに8年目だけどそんなに出世してないからあんまりボーナスとか給料はもらえないんだよねぇ...まぁ知り合いがやってる小学校の教師よりは給料が高い方らしいけどね。まぁ、関係ないか。

とまぁ...長くなったけどそんな感じでゲーム会社の朝は始まる......のだが、現在の時間、午後八時。

ゲーム会社の仕事終了時間は遅い。それがゲーム業界の共通認識だった

しかしそれには例外もある。例えば、介護が必要な人が家族にいる人や妻が妊娠中だったりなど支える人が必要な場合は意外と柔軟に出社時間や退社時間を変えることができるのである

「先輩、自分はそろそろ時間なんで上がりますね」

そう言って四つ下の後輩が作業を切り上げて打刻機で退社時間を記録する。後輩は俺と違って嫁がいるから早めに帰るのがいつもの事だった。

しかも嫁が妊娠中なのでいつも心配そうに嫁からのメールを見ているのがしているのが見受けられる。

「おう。嫁さんによろしくな」

そう言って見送った後残っていた作業を再開しながら

俺もそろそろ嫁を見つけなきゃなぁ...と思ったりするも出会いが無いまま30代後半まで来てしまった自分に情けなさも感じたりしているがこのまま、独身貴族を貫くのも良いかもなぁと思ってみたり。

「おーい、田中、こっちのキャラクターって没にするのか?うまく書けてると思うんだが。」

そう言って机の隅に貼ってある今描いているキャラクター。ローゼ•ドゥ•ビストの妹として設定されていたキャラクター、ルナ•ドゥ•ビストの設定画を指差しながらゲームディレクターの田中に聞いてみるが、田中はいいよいいよと片手を振りながら答える。田中....そんな適当でいいのか...


「このキャラ気に入っていたんだがなぁ....まぁ仕方ないか。」

「さて、仕事仕事。あと何が残っていたかなぁ...」

確か、まだ3Dデータの仕上げ作業が残っていたはずだけど、ん?これ....なんか指示されていた色と違うなぁ...

「おーい」

「あーここはちょっとミスだなぁ...じゃあ別の仕事をしといてくれ」

「了解です。あっでもこれくらいなら自分で直せるか?」

「あー確かに色変えるだけだし、大丈夫か、じゃあよろしく」

「了解。じゃあこっちでやっとくわ...........」

ばたりと音を立てて崩れ落ちる

「あれ.....体が....動か....」

どう.......して.....こんな時に.....く...そ....


「おい!大丈夫か!救急車!!救急車を呼べ!今すぐにだ!」

「課長....頼みがあります....俺が死んでも...後輩には過労で死んだって言わないでください....」

「馬鹿なことを言うな!お前が死んだら....お前の後輩にどう説明すればいいんだよ!!」

「あいつには.....これを渡してください....」

そういって俺が新入社員のころに俺の先輩からもらったゲーム制作のすべてが乗っているUSBメモリを渡す。

「あぁ...わかった。ちゃんとこれを渡しておく。だからもう喋るな....今救急車を呼んだ..だから死なないでくれ!」


「俺はもう....限....界.....」









.........














...............





...............


貴方はまだ死ぬには惜しいのよ.....だから生きなさい.....私の世界で.......




次回へ続く

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