24
24
僕は勇者の末裔なんだ。その誇りだけは決して忘れないっ!
これくらいのことで負けてたまるか! ご先祖様みたいな大きな力はまだないけど、いつかきっと強くなってみせる。
「負けるもんかぁあああああああぁーっ!」
気が付くと僕はカッと目を見開いて叫んでいた。その声はフロア中に響き渡ってこだまする。
すると次の瞬間、鎧の騎士は見えない結界にでもぶつかったかのように動きが鈍るが完全に沈黙するというところまでは至らない。僕の力不足なのか、それとも鎧の騎士の意思が強いのか。
「う……ぐ……」
僕にはもはや立っていられるだけの力は残されていなかった。その場にうつ伏せに倒れ込み、鎧の騎士がゆっくりながらもこちらへ歩み寄ってくる足音と振動を感じている。
……いや、まだだ……まだ僕は終わらないぞ……。
奥歯を強く噛みしめ、なんとか起き上がろうと藻掻く。もう僕の体には一滴の力も残っていないかもしれない。乾いた雑巾を絞って力をひねり出すようなものかもしれない。
だけどわずかでも力が残っているなら、その可能性があるなら、それを出し切るまでは絶対に諦めない。諦めたくないッ!
「――アレス、よくがんばったな。あとは私に任せるがよい」
その時、僕の横に立ったのはミューリエだった。なんとか力を振り絞ってチラリと視線を向けると、彼女は満足げで晴れやかな笑顔。さわやかで温かな雰囲気が溢れだしている。
直後、ミューリエは剣を抜いて構えると、勇ましい表情になって鎧の騎士へ向かって駆け出す。
→28へ
https://kakuyomu.jp/works/16817139556074419647/episodes/16817139556075887742
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます