生き残るだけの無能はいらないとパーティー追放されたので、認めてくれる新しい仲間達と成り上がります。俺がいないと生存率下がるらしいけど、そっちはそっちで元気にやってくれ
第26話 美少女二人に挟まれて寝ることで決着した件
第26話 美少女二人に挟まれて寝ることで決着した件
しばらく揉み合っていたポレリーヌとチウニサだったが、俺が引き分けることでどうにか落ち着いた。俺はベッドに座り直すと、意を決して二人に提案する。
「やっぱり、部屋は3人別々にした方がいいと思うんだ」
「「ええーっ?」」
露骨に不満そうな顔をする二人。彼女達に向かって、俺は懸命に話した。
「確かに、部屋を余分に借りて無駄遣いをするのはよくない。だが、今の俺達にはジルデンでラーヴァドラゴンを倒した賞金がある。コメルズン伯爵からもらう賞金もある。そこまで切り詰めなくても、当分は大丈夫だ」
「お金なら私だって持ってますよ。でも……」
「聞いてくれ」
反対しようとするポレリーヌを制し、俺は続けた。
「俺は何も、ポレリーヌと住むのが嫌なわけじゃない。だが、俺は師匠として、チウニサに男女の節度を守ることを教える必要がある。そうするに当たって、ポレリーヌと一緒に住んでいたら示しが付かないんだ。頼む。師匠としての俺の顔を立ててくれ」
「…………」
ポレリーヌはしばらく黙って考えていたが、やがてうなずいた。
「分かりました。ブイルさんがそこまで言うなら部屋は3つ借りましょう。家賃の節約にこだわって、そのメスガキを調教し損ねるわけには行きませんからね」
「ありがとう……」
通じた……俺の目頭に、熱いものが浮かぶ。ポレリーヌも、誠心誠意真心をこめて話し合えば分かってくれるのだ。
これで、夜中に抱き枕にされたり、いきなり裸を見てしまったりする刺激の多い生活からは離れられる。向こうは何とも思っていなくても、やっぱり男と女だ。最低限の距離は保たないとな。
「チウニサ……これで分かっただろ? 男女はこうやって部屋を分けるんだ」
「はあ」
チウニサもうなずく。これで彼女も、常識的なものの見方を学んでくれるだろう。
☆
その後俺は、大家のおばあさんを訪ね、もう一部屋借りたいと申し出た。おばあさんはそれを快く受けてくれたばかりか、最初の約束通り、家賃を一割免除してくれた。
「ありがとうございます。助かります」
「いいんだよ。あの弓師の女の子と、喧嘩でもしたのかい?」
「いいえ。そんなことは全くありません。ただ、お互いの場所を確保すると言いますか……」
「そうかい。それなら良かった。いろいろ大変だろうけど、しっかりおやりよ」
「はい。痛み入ります……」
励ましの言葉を受け、俺は恐縮しながらおばあさんのところを辞した。ああ。人はこんなに優しくされていいものなのだろうか……
☆
「なんでだ……?」
その夜。俺はベッドの中で、ポレリーヌとチウニサに両側からしがみつかれていた。
ベッドに入り、さあ寝ようかとなったときのこと。突然、玄関のドアが激しく叩かれた。起き出して開けたら、ポレリーヌが半ば押し入らんばかりに入ってきたのである。
「お、おい……どうしたんだよ?」
「暑くてとても寝られません! ブイルさん、例の魔法で涼しくしてください!」
「
「だから、ブイルさんのベッドで寝ますよ」
「ええっ? そんなことしたら、部屋を別にした意味が……」
「じゃあブイルさん、私が寝不足で体調悪くなってもいいって言うんですか? 冒険者は命懸けのお仕事なんですよ? ほんのちょっとの不調で大事故になるかもしれないんです。そうならないようにパーティーメンバーの体調に気をつかうのも、リーダーのお仕事じゃないんですか?」
「ううっ……」
体調管理の問題と言われると、俺も反論できなかった。その上ポレリーヌには、部屋割りの件で譲歩してもらったという引け目もある。安眠のために一緒に寝るぐらいは、俺も譲歩しないといけないか……
「分かった……でも、暑いときだけだぞ。それ以外は自分の部屋で寝てくれよ?」
「はいはい」
あまり気のない返事をして、ベッドに歩いていくポレリーヌ。そのとき、また玄関のドアが叩かれた。開けるとチウニサが泣きながら飛び込んでくる。
「ど、どうした!?」
「うわあああああぁん! 師匠ーっ! めちゃくちゃ怖い夢見ました! とても一人じゃ寝られません! 一緒に寝てください!」
「ええっ? でも……」
「あっ! ゴリラ女いるじゃないですか! まさかゴリラ女がよくて、僕だけ駄目なんてことはないですよね!?」
「ううううう……」
ポレリーヌを隣に寝かせる以上、チウニサだけを追い返すことなど、できるはずもなかった。こうして俺達は、3人で寝ることになってしまったのである。
「「…………」」
よほど寝心地がいいのか、ポレリーヌとチウニサは早々と寝息を立ててしまった。二人とも寝ながら、両手両足で俺にしがみついている。
「…………」
二人とも薄い肌着1枚しか着ていないので、感触が直接伝わってくる。これからもこの刺激が来ること前提で、眠れるようにしないといけないってことか……?
諦めた俺は、心を無にして眠れるよう努力し始めた。
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