第2話 感情反応
「貴様はこの世界を見届けるのだ」
そう言われ生まれてきた。いや、製造された。
生命すらも製造する彼等に作られ、命令された。
それから、俺はこの世界をずっと見てきた。
荒廃した世界を治す為に旅をする奴。
新たな世界を謳歌する為に国を創り上げた奴。
そして、戦争を引き起こした奴。
戦争がまた始まったらまた俺のような奴が産まれる。
しかし、俺に伝えられた任務は見届ける事。関わる事ではない。
マスターは代々変わっていった。
そして、俺はそのマスターに鎖に繋がれた。
俺のデータソースを飲み込んだ少年が見たのは保存されていた昔の戦争の景色だろう。
恐怖に染まった目をしていた。
それからはずっと暗闇で放置されていた。
たまに開き、マスターは変わるが放置され、外の景色を見ることは無かった。
しかし、今回は違った。
新しくマスターになった少女が成長した姿で扉を開けた。
そして……
「
鎖が千切れる。
そして、立ち上がった。
久し振りに身体を動かした。
起こしてくれた。
嬉しい。そんな気持ちになった。
しかし、そんな気持ちはすぐに無くなった。
少女の腹から剣が出ていた。
血で濡れた剣だ。
なにがあった?
敵だ。
敵だ。
敵だ。
感情がグッチャグチャになり、命令も何もかも忘れて銃口を向けた。
死んだ。
死んだ。
敵が死んだ。
マスターも死んだ。
これからどうすればいい?
どうすればこのマスターは助かる?
【解答:機械化手術により助かる見込みはあります】
……機械化。
生き物とゆうのを捨てる行為……だったか。
……いや、もう何も言ってられない!
【機械化手術開始】〔ジョーカー→AI〕【了解】
精密作業腕が腕から展開される。
ナノマシン技術だけでは助からない。だからこうしてメスを入れなければいけない。
【周辺に生体反応】〔AI→ジョーカー〕【無視】
今はそんな事を気にしてる場合じゃない。
残念な事にナノマシンのみでは血液までは
だから、血液が無くなるか無くならないかの勝負だ。
「魔王様……」
魔王と言う少女は心配そうにマスターを見る。
怪我してるみたいだが、現在は集中手術中だ。
58本の精密作業腕が臓器を摘出したり機械化させたりする。
酸素を脳へと送り込み、意識レベルを一定を保つ。
終われ、早く終われ。
少女はマスターの手を握り、激励した。
「魔王様!頑張ってください!」
そうだ。頑張れ。
後少しだ。
心臓にジェネレーターを取り付ける作業だ。
しかし、その心臓は変質しており。一般的なものとはまったくの別物だった。
どうすれば良い?いや、やるしかないだろう。
心臓を切り開く。
そして、最後の手術は開始した。
ジェネレーターを取り付けるにはジェネレーターの発するパルス信号に影響を受けないようにしなければならない。
それが一番難しかった。
何処かに抜け道が無いのか?
そう思っていると心臓の奥から結晶が出てきた。まっ黒な結晶。
この結晶は魔石だ。魔系統の行為を行う際にコンデンサーのようになる結晶。
【……取り除き、ポケットにジェネレーターを取り付けろ】〔ジョーカー→AI〕【疑問:迷いを検知】
【提案:ジェネレーターをこの結晶で賄う事を提案】〔AI→ジョーカー〕【……承認】
結晶に機器を取り付け、配列を組み直す。
そして……
【手術完了】
機械化手術が完了し、息を取り戻したマスターがそこに居た。
【安全地帯の探索、確保をしろ】〔ジョーカー→AI〕【了解】
少女はどうしようかと思ったが、とりあえず味方っぽいので乗せていく。
地下には生体反応が無く。地上には生体反応ばかりだ。
戦闘中なのか次々と生体反応が弱くなり消えている。
危険だ。しかし、ここも危ない。
多少なら今あるエネルギーで戦える。
ならば……
【パイロットモデルへと移行する】〔ジョーカー→AI〕【了解 パイロットモデルプレス】
【システム:戦闘モード】
少し暴れるか。
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