魔王軍が壊滅状態なのでジョーカーの俺。100万年の眠りから覚めた
デルタイオン
第1話 ジョーカー【起動】
この記憶は我等魔王の血を受け継ぐ者に現れる。
真空の空で光を放ち、燃え盛りながら大きな箱船へと突っ込む箱船達。
その合間を巨大な機械で身を固めた様々な種族が飛び交う。
人間、エルフ、ドワーフ、ドラゴン。
知恵を預けられた生き物が空を飛び交い、切り裂き、母なる大地へと墜ちる。
そんな、過去の話……
その記憶をまた見た。
その力が……この世界に埋まっている。
そして、それを手に入れている。
だが、使わなかった。
魔王となり、圧倒的な力を持った。
それでこの世を支配する。それが、我等魔王一族の夢。
しかし、それならば何故あの兵器を使わない。あの者を使わない?
それには、意味があった。
圧倒的な力
魔王すらもそう思うほどに強く、美しい力。
それは……我々を魅了させ、恐怖に陥れる。
あれだけは起こしてはならぬ。あれを人に与えてはならぬ。
しかし、そうも言ってはられなくなった。
人が……人間が古代の遺物を使うようになった。
そして、それと同時に勇者も現れた。
このままでは負けてしまう。
負けたら……負けてしまったら……
そう考えると真っ先に浮かぶ火の海。
その中心にはあの兵器が立っている。
怖い。
我々異種族が駆逐されるのが……
勇者がこの魔王の間へと来た。
古代の遺物を携えて。
ああ、もうこれでは本末転倒ではないか。
もう……ここまで来てしまったのであれば……
あの記憶と同じように、世界を変える以外に方法は無い。
勇者からの追撃を逃れ、とある地下室へと来た。もう誰も居ない。
石版へと手を近づける。
【認証しました】
扉が開いた。
そこに格納されていたのは無数の錆びた鎖によって保管されていた兵器。
「ハァ……ハァ……」
ただそこに存在しているだけで倒れそうな程に強い圧がある。
一体どれ程生命をその手で絶ったのだろうか……
息を吸った。
「
【〔HIE-W fm-ppx〕起動】
鎖がギチギチと嫌な音を立てて千切れる。
次々と鎖が千切れて空間を飛び交い、肌にも傷を付けた。
特殊な鉱石を使用し、技術、魔術を結集させ作り出し、魔法によりコーティングした神すらも千切る事が出来なかった鎖がいともたやすく千切れ、周辺に散らばる。
そして、全ての鎖がその身から落ち、解放されたその兵器は目を覚ました。
【起動を確認。ジョーカー起動完了】
「 」
その言葉を最後に、背から突き出された剣に意識を消された。
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