第2話

灰色の世界だ。

色褪せて全てが暗い。

見渡す限り広がる荒野のような場所に、

不気味なほど巨大な校舎が建っている。


(これが彼女にとっての学校のイメージなんだろう)

アレクはそう思った。

どこにでもよくある高校の校舎だ。

だが、そこには生徒は誰もいない。

音も全く聞こえない。

まるで全てを拒絶しているかのように。


思わず引き返したくなるが、戻ったところで何も変わらない。

アレクはゆっくりと正門の柵を押し開いた。

突然学校の鐘が鳴り響く。

何度も何度も。

何重にも重なり。


そしてどこからか低いトーンで女の声が聞こえた。

『ようこそ、物好きなお客さん』


そして続く言葉。

『言っておくけど、入ったら帰れないわよ、

来たら必ず殺すわ、あの子達みたいにね』


アレクは重いため息を吐く。

(これは、かなり重症だな)


しばらく目を閉じた後、彼は校門の中へと足を踏み込んだ。




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