第17話 エクステリアは天照さまと
「ねえ実花?」
「はい、にゃんでしょう?」
「いえ、今回は猫の話じゃないですよ?」
「あ、すみません。さっきまでのノリが抜けきってなくって」
いかんいかん、切り替えっ!
「弟達から聞いてると思うけど、このお店ってまだ外側が無いのよね」
ああ、そう言えば内装やる時にそんな事言ってたっけ。っていうか『外側が無い』って……言葉のインパクト半端無いわね。
「月読さまから聞きました。お二方のお手伝いはあくまで店の中だけで、外側は天照さまが帰ってからって」
「ええ。私が実花と一緒にやりたいからっていうのもあるけど、ほらここって私の神域でしょう? そこからパブリックスペースに繋げられるのって私だけなのよ」
ああ成程そういう……ん?
「神域のパブリックスペースってどんなところなんですか? 公園とか集会場とかみたいな?」
「んーーー、テーマパーク……かしら?」
何故に疑問形?
「概念的な部分が大きいから、
まさか舞浜駅前公園的な例えになるとは……
いや、あれもアニメが題材のテーマパークだと思えば別に唐突にってわけでもないか。
「何て言うか凄く納得しちゃったんで、もう私にはそうとしか見えなくなっちゃってる気がします。まあ世の中にはあの公園を聖地だって言う人も一定数以上いそうだし」
あ、でも私的にはどちらかというと隣の海の方、って感じかな。
「100パーセント私の主観で見ようとすると、伊勢とか出雲の
なるほどKYOTOとかASAKUSAとかのあの感じですね、分かります。
「そうすると、お店もそこに繋げると相手によって外観が変わる感じですか?」
「いいえ、そこはきっちりはっきり固定させましょう。実花と私のお店ですもの、それに相応しいイメージの外観にしたいじゃない」
うーーん、私と天照さまに相応しいイメージ……ってどんなだろ? やっぱ日本的な? にしても今風? それとも古民家風? お店だから神社っぽいのは違う気がするし……
「実花、理屈じゃないと思うの。店の中はもう出来てるじゃない? それと違和感がなくってかわいい感じとかどう? あっでも猫型はナシの方向でね」
考えるな感じろって事かしら?
コンビニ的外観……は違うわね。猫型は……確かに無いな。道の駅……方向性としては悪くはないけど、各地で特色出しすぎてて逆に道の駅っぽさって何? って感じなのよね……とするとやっぱり、
「「喫茶店?」」
おっとハモりましたよ? って事は共通認識か。
「そうですね。考えてみたら入口の扉のイメージも喫茶店からだし、何となく無意識にそんな感じで想像してた気がします。えーーっと……」
どうせなら現実の喫茶店っていうよりも、アニメとか物語に出てきそうな喫茶店……
「郊外の一軒家でちょっと大きめの落ち着いた三角屋根の建物、敷地の入り口からから数メートルの小道を歩くと扉に辿り着く、そんなイメージでしょうか?」
「いいわね。すっごくいいと思う。雰囲気いいじゃない」
ううーん、でもそれって……
「天照さまらしさからはちょっと外れてる気が……」
「実花が思う私のイメージって、やっぱり神社とか昔の人や建物っぽい感じかしら。でもそれってね、私自身のイメージっていうよりは『昔の日本』のイメージなのよね。だってほら、私自身って本来時代背景とかとは無関係なのよ?」
言われて気づいた。
確かに天照さまに私が持ってるのって「昔の日本」のイメージだ。
「とは言え私もそれに引き摺られてる部分があるから、全部を否定はし切れないんだけどね。パブリックスペースが社っぽく見えちゃうのだって、結局はそのせいなのだし」
『昔の』って部分を外せば、あとは日本っぽさがイメージの根幹……ならば現代の日本でも違和感なし、という事かあ。
「なるほど。確かに岩戸に籠っちゃうくらいのアニメ好きですものね。そこだけとってみても実に現代的と言えますね」
「お願いそのエピソードを判断基準にしないで……」
それから少し意見の調整。ブラッシュアップしたイメージから……実体化!!
うん、イメージ通り!
見る者を安心させるような落ち着いた店構え。
思わず天照さまと向かい合ったら手を取って小さくジャンプ✕二回。
ついに私たちのお店が完成っ!
これでもうあとは敷地をパブリックスペースにつなぐだけ。だから……
あとは店長を待つばかり。
店長、もうすぐオープンですよっ!!
待ってますよ店長っ!!!
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