第2話 どんなお店にしましょうか
「えっと……お店、ですか?」
「ええそう。実はね、神界にはお店ってないんです」
「え? そうなんです?」
それはちょっとびっくり。
「それじゃあ皆さん、欲しい物とかってどうしてるんですか?」
「んー、何かが欲しいとか感じる事自体少ないのですが、それでも必要な物とかは自分で生み出したりとかしてますね」
「さっきコンビニスイーツがブームとか言ってたのは?」
「そんな生活なので刺激というものが少ないんですよ。そこにコンビニスイーツを持ち込んじゃったりしたものですから、中々楽しい事になりまして」
「えっと、もしかして持ち込んだのって……」
「はい、私がやりました」
「もちろん後悔は――」
「していません。神様ですものww」
実にいい笑顔の天照さま。見た目と
しかし、ここまでの受け答え、どことなく掠っている感じの言い回しを重ねてきてる。
こちらから振っておいて何だけど、なかなかのネタ感だよ?
もしかしてそちら方面にも見識があるのだろうか?
「ふふふ、最高神ですから」
何となく私が言いたい事を察したらしい。
「神様がそちら方面に明るいなんて言ったら怒る人が多そう……」
「すべて含めて『文化』です。そこに上下や貴賤などありません」
「神様から見たらそんな感じなんですか? でも人間だとそういう事を気にする人が結構いるんですよ。そういった人達にとっての神様って、いわゆる『伝統の守護者』なんですよね。新しいものを拒絶する際の理由づけにしたりして」
「私達、そんな役割なんて担った覚えはないんですけどね。『
ここでまたぶっ込んできた。分かってしまう私も私だけど。
「まぁそのあたりは置いておきましょう。じゃあお店を開くとして、天照さまはどんな感じで考えています?」
「そうねえ、アンテナショップとかコンビニとかをくっつけた感じかしら」
「コンビニは分かるとして、アンテナショップ?」
「ええ。最近の日本って何だか面白いでしょう? 結構日本の当たり前って他の国からは不思議に見えたりしてて、それを売りにしたテレビ番組なんかもよくやってるわよね。神界でもきっと同じことが起きるって思うのよ」
「つまりは現代日本のアンテナショップ?」
「そう。ふふふ、刺激の少ない神界ならきっと受けるわよ」
何だろう、天照さまの『ふふふ』が少し怖く感じる? いやきっと気のせいだ。
「仕入れとかはどうしたらいいんですか?私日本じゃ死んでますけど?」
「直接実物を持ち込まなくても大丈夫よ。ここ神界って『概念』の世界なの。ちょっと解りにくいかもしれないけど、概念ってここでは実体化することができるの。簡単に言うと、思い浮かべたものがポンって出てくる感じかしら。ちなみにそれを神界の外でもできる力を持つ神を『創造神』って言うのよ。聞いたことあるでしょう?」
「聞いたことありますけど……じゃあ欲しいものを思い浮かべれば仕入れOKってことです?」
「実花にはまだその力はないの。だから、実花の思い浮かべたものを私が作ります」
ぎゅっと両手を小さく握る天照さま。何というかあざと可愛い。
こうしてゆるーく何となーく店の方針は決まっていく。
「ところで、実体化できるのならわざわざ日本のコンビニに買い物に行く必要なくないですか?」
「ああその事? ほら、コンビニスイーツって名前そのままで味とかがよく変わるでしょう?
新しい味を知らないと概念をアップデートできないじゃない? それに新製品とかもちゃんと味見しとかないとね」
何だろう、最後の一言が理由の九割な気がする。
「今時点のものなら何となく分かるけど、これから流行るものとかどうします?」
「それなら大丈夫。これ使って」
そう言って天照さまはタブレット的な何かを手渡してきた。
「これでアマニョンとかラプテンとか見られるから。ポチっても品物は届かないけどね」
うわーお。
「あとニャンスタで流行もチェックできるから。地上波はローカル局も映るから、とびっきりとか
さすが神様、もぉ何でもありか……
それから天照さまと二人で、タブレット的なアレを見ながら店で扱う品物をワイワイキャーキャーと選んでいった。
まさか、神様と女子会的な雰囲気で店づくりの打ち合わせとか……ねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます