第338話 ソフィアとの時間 1
「クリフ君、準備は出来てる?」
「もちろん。ソフィアの方は?フィアンは預けたんだろ?」
「うん。ばっちりだよ。それじゃあ行こうよ。」
そう言って、ソフィアは両手を広げた。
(ソフィア・・・お前もか。てか行先はエターレインのダンジョンだよな?なら空飛ぶ必要ないんじゃないのか?あそこは武器や防具もいらないだろうから、ラフな格好で行けるし。いやでもそういえばソフィアにどこに行くか聞いてなかったな。ダンジョンに行きたいって聞いた事は内緒にするんだった。)
「オッケー。でどこに行くんだ?」
「とりあえずエターレインを1周してほしいな。みんなクリフ君に抱き着いて空を飛んだって聞いたから私だけしないとかありえないでしょ。行きたい場所はエターレインの街中なんだけど、空も飛んでみたいしね。」
「ソフィアが行きたい所は町中なのか?」
「あれ?ジャンヌから聞いてない?ジャンヌの事だからクリフ君に言ってると思ったんだけど・・・」
「ああ、そういえばなんか言ってたな。ソフィアがダンジョンに行きたいって言ってたって。」
「そうそう。ちゃんと知ってるじゃん。私との時間はエターレインのダンジョンだよ。一週間あるから近くの宿とかとってがっつりダンジョン挑戦したいんだ。」
「なんでダンジョンなんだ?しかもエターレインで?」
「クリフ君はレベルアップの実って知ってる?」
「レベルアップの実?いや知らないな。」
「なんかね。エターレインのダンジョンでレベルアップの実っていうのが手に入るんだって。それを食べると何もしてないのにレベルが上がるんだって。」
(へぇ~。そんなアイテムがあるんだ。それは知らなかったな。キューブ様も色々改良してるんだな。レベルアップの実か・・・たしか倒したら大量の経験値をくれる魔物を倒したら確率でドロップしてたような。あれはレベルアップの実じゃなくて幸せの草だったかな?けっこう深く潜らないと見つかりそうにないな。)
「ソフィアはなんでそれがほしいんだ?レベルを上げたいなら、他のダンジョンでレベリングぐらい付き合うぞ?」
「私がレベルを上げたいわけじゃないんだ。それがあればフィアンとかパパやママに使ってあげたいの。定期的に挑戦してるんだけど、全然手に入らないんだよね。まあそれほど深い所まで行けないから当然かもしれないけど。だから今回クリフ君と一緒に挑戦して手に入れたいんだ。」
(家族の為か・・・やさしいなソフィアは。だけど定期的にダンジョンに挑戦してるなんて意外だな。)
「俺もここのダンジョンが今どうなってるのか興味あるから全然OKだよ。でも意外だな。ソフィアが定期的にダンジョンに行ってるなんて。初めて聞いたぞ。」
「定期的って言っても、気分転換とか、ストレス発散に行ってるぐらいだからね。それに死ぬのは怖いから毎回帰還の魔法書を持って行くんだけど、それが高いんだよね。だからそう何度も行けないんだ。」
(帰還の魔法書か。ダンジョン内のどこからでも入口に戻れるからあの魔法書は需要が多いもんな。そりゃ金額も高くなるか。使えば手に入れたアイテムも持ち帰れるもんな。死んだら同じように入口には戻るけど、手に入れたアイテムは全て無くなるし、まあ妥当な判断か。あそこのダンジョンは他で売ってないモノが出るから帰還の魔法書を持って入っても元が取れる可能性もあるもんな。)
「なるほどな。わかったよ。あそこは俺が行っても基本的に武器や防具も持ち込めないしレベルも1からスタートだからどれだけやれるかわからないけど二人でがんばろうか。」
「クリフ君は一度クリアしてるんでしょ?それなら心強いわ。二人でいけばそれだけ多くのアイテムを持って帰れるもの。」
「そうか。たしかあそこは20個ぐらいしかアイテムが持ち運べないんだったな。」
「ええ。武器と防具とアクセで3枠使うから残り17枠で、回復薬や魔法の杖とか持つとあんまり持てないのよ。拡張の魔法書を拾えば枠が20から30に増えるし、中に10個アイテムを入れる事ができる魔法の袋とかもあるわ。そういうアイテムを拾えればラッキーね。他にも・・・」
「随分詳しいんだな。」
「そりゃもちろん。ダンジョンに行く冒険者の話だって聞くし、受付は私達がやってたりするもの。それにダンジョンから出たアイテムはギルドを通じてレイン商会に来るからね。私だってジャンヌやセリーヌ、ユーナ達とダンジョンにも行ってるし。」
「そうなんだ・・・俺も誘ってくれればよかったのに。」
「クリフ君は暇そうに見えて、結構忙しくしてるでしょ?今まではなかなか誘えなかったんだよ?」
「そっか・・・」
(まあ何気に色々動いてたもんな。それに街の事はわからないって感じでさじをなげてた部分もあるから俺のせいでもあるな。まあ今回を気にその辺は変えて行かないとな。ここのダンジョンは誰と言っても楽しめる所だし、ソフィア以外とも二人で行くのも面白そうだし。)
「だから今回はすっごい楽しみなんだよね。クリフ君と二人っきりっていうのもなかなか無いし。だから早く行こ。とりあえずダンジョンの前に街を一周してね。」
「それはやるんだ・・・」
「当たり前だよ。これも楽しみにしてたんだから。」
クリフは、ソフィアをお姫様抱っこし、エターレインの町を飛んだ。町の人々が顔を上げて指をさしたりしていたが、構わず飛び続けた。
グルっと一周した所で、ダンジョン近くに降りた二人は、そのままダンジョンへと向かったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます