第337話 ジャンヌとの時間 5
「ようやく終わった。」
「お疲れ様クリフ。案外早く終わったわね。二日丸々かかるかと思ったけど。」
クリフとジャンヌの二人は、スタンピードが起きない様に、王都の周辺のダンジョンや、ソフィアの故郷の周辺のダンジョン、エターレイン領の周辺のダンジョンに行って、ダンジョン内の魔物を間引きしていた。
普段よりも多い魔物がいた事から放っておけば、確実にそれぞれのダンジョンからスタンピードが起きた事が予想されたが、クリフとジャンヌによって回避する事ができた。
「飛び回ってダンジョンに行って、魔物を一掃するだけだったけど、意外に疲れたな。」
「でもクリフのおかげでスタンピードは未然に防げたわ。まだ私との時間はあるから、ユーティリアでゆっくりしましょう。」
「そうだな。元々今回はユーティリアでジャンヌとジャンとゆっくり過ごす予定だったもんな。」
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ジャンヌとの二人の時間最終日、クリフはジャンヌとジャンと共に、ユーティリア近くの湖にピクニックに来ていた。
「風が気持ちいいな。それに景色も綺麗だ。こんな所があったんだな。」
「ユーティリア自慢の場所の一つよ。時々魔物が水飲みや水浴びに来るから気軽に来れないけど落ち着くでしょ?」
「ああ。ジャンも喜んでるみたいだし。」
「お楽しみはそれだけじゃないわよ。ジャジャーン!お弁当も作ってきたのよ。」
「まじで!?なんか早起きしてるな~と思ってたけど、弁当作ってたんだ。しかもその大きさ、たくさん作ったんだな。ジャンは食べれないから俺とジャンヌで食べるんだろ?」
「ちょっと張り切りすぎちゃった。弁当を作る事なんてないモノ。屋敷の料理人に聞きながら作ったわ。」
「ありがとう。あっちのちょっと小高い所で食べようか?」
「そうね。」
クリフがテーブルとイスを出して、ジャンヌが弁当を並べていく。テーブルいっぱいに広がった弁当を二人仲良く食べて行った。ジャンヌはジャンに授乳しながらクリフがもりもり食べている様子を微笑みながら眺めている。
「そういや仕事の方はどうなんだ?」
「エターレインの事?順調よ。基本学校の子供達はドンドン増えてるわ。だけど高等学校がまだないからそれが問題ね。今セリーヌがエターレインに高等学校を建てる為に色々動いてくれてるわ。さすがに高等学校は勝手に建てれないからね。」
「たしか各国に一つしかないんだよね?三大国交流戦とか懐かしいな・・・。でも逆にエターレインに建てて大丈夫なの?」
「せっかくエターレインで基本を身に付けても王都の高等学校に行ってしまったら、卒業後に戻ってくるかわからないでしょ?ならエターレインに高等学校を作ればいいじゃない。って話になってね。それにエターレインはもはや世界の中心よ。もし高等学校ができれば、王国だけじゃなく帝国や聖国からも集まってくるはずだわ。それに魔国からも受け入れようと思ってるしね。」
「魔国からの受け入れはいいね。ユイが喜ぶよ。さすがにまだ魔国に高等学校は建てられないだろうし。」
「ええ。その事もあってセリーヌが調整してるわ。最終的には、各国に一つの高等学校にエターレインに一つの合計で5つの高等学校になる予定よ。」
「学校が増えれば競争も増えるから個々のレベルも上がるだろうね。」
「ええ。エターレインは世界最大のレイン商会や人気のダンジョンもある。学生が学ぶには最適の場よ。それにクリフを始め教師陣も多しね。」
「教師か・・・それはおもしろそうだな。いつでも言ってよ。」
「ええ。その時はお願いするわ。でもまあまだまだ先の話よ。建てたからってすぐに人を集めたら他の学校にも影響が出るだろうしね。ジャンが成長した頃にできてたらいいなって思ってるわ。」
「なるほどね。ダンジョンの方はどう?」
「そっちも順調ね。って他のダンジョンへの挑戦者が少なくなってるのを見れば一目瞭然ね。なんせ誰でも挑戦できるし、他では手に入らないレアアイテムが手に入るからね。まあ死ぬ感覚っていうのはけっこう辛いみたいだけど。」
「まあ死ぬ経験なんてする事ないもんな~。」
「そうね。そういえばソフィアはクリフとそのダンジョンに挑みたいって言ってたわよ。なんでもほしいアイテムがあるとかで。」
「へぇ~。じゃあ次のソフィアとの時間は二人でダンジョンなのか?ってジャンヌ。それって言ったらダメなヤツじゃないのか?」
「あっ!?今の無しね。クリフ、聞かなかった事にして。」
「もちろん大丈夫だよ。」
(そうか次はダンジョンか・・・。エターレインのダンジョンもしばらく言ってなかったから正直楽しみだな。あそこは強さ関係ないし。)
そうして、ジャンヌとジャンとゆっくりと過ごしたクリフは、帰りも同じように馬車でユーティリアを出発した。もちろん馬車で移動するのは少しだけだ。周りに人がいなくなるのを確認すると、すぐに転移魔法を使ってエターレインまで移動した。スタンピードというトラブルはあったが、久しぶりにゆっくりと過ごせたクリフであった。
屋敷に着いたジャンヌは、ジャンを抱いて早速嫁会議を開催した。クリフに参加の権利はないので、いつものように部屋に入って休むのだった。
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