第274話 結婚披露宴

サラサとライシャとも無事に挙式を済ませたクリフ達の結婚披露宴が始まった。披露宴といっても知り合いを集めた食事会のような感じだ。


皆がそれぞれ酒を片手に各テーブルを回っていく。


「父さん、母さん、兄さん、姉さん、今日は来てくれてありがとう。」


「クリフちゃんおめでとう。お嫁さんいっぱいで私もうれしいわ。早く孫がみたいわね。」


「母さん、クリフちゃんはもうやめてください。それと、孫はそのうちですね。貴族の務めというのもセリーヌから聞いてわかってますので。」


「期待してるわね。」


「クリフよ。沢山の妻を持つなとは言わないが、責任が重くなるんだ。しっかりとやれよ。まあお前なら心配いらないと思うが。」


「はい。領の運営も順調にいってますよ。会議もあるからしばらくはここにいるんですよね?よかったら街も見て行ってください。又わからないことがあれば相談させてもらいます。」


「ああ。他の所にも挨拶にいかないといけないんだろ?これだけ重役が集まった披露宴もなかなかない。大変だろうけど、ちゃんと全員に挨拶してこい。」


兄と、姉夫婦と少し言葉を交わし、クリフは他のテーブルを回っていく。


「クリフおめでとー。まさか8人と結婚するとは思わなかったぜ。」


「マッシュ。来てくれてありがとう。」


「それにしても色々すごいな。参加者に料理、それに街もすごくにぎわってるな。」


「ああ。セリーヌ達ががんばってくれてるからな。」


「まあクリフにセリーヌ、ジャンヌにソフィアがいれば当然だろうな。俺も次期に伯爵家の当主になる。その時はよろしくな。」


「もちろんさ。みんなもありがとう。今日は楽しんでいってくれ。」


高等学校時代のクラスメイト達に話をして、次に向かうは戦友の所だ。


「楽しんでるかパイン?」


「ああ。今日は呼んでくれてありがとうな。楽しんでるよ。最近はうまくやれてるんだ。」


「噂は聞いてるよ。そっちの人が?」


「ベッキー!!久しぶり。今日は来てくれてありがとう。うれしいわ。パインとはうまくやれてるの?前みたいに扱いがひどかったら言ってよ。私が代わりにぶっ飛ばしてあげるから。」


「ナリア。久しぶりね。ありがとう。でもうまくやれてるから大丈夫よ。」


「そう。ならよかったわ。パイン。ベッキーを泣かせたらゆるさないわよ。」


パインとベッキーのテーブルには、クリフの他に、ナリアが来ていた。パインは高等学校時代、帝国の勇者だったが、邪神に唆されてクリフと戦いその時に死んでいたのだが、その後、帝国にある奈落の底ダンジョンで再開した。神様の好意もあり復活する事ができたのだ。


勇者の称号はクリフに移った為、勇者ではなくなったが、聖剣を持ち帝国の為に冒険者として行動する姿から、帝国の勇者と呼ばれていた。


そしてベッキーはナリア、パインとともに帝国の学校のクラスメイトだ。復活したパインが最初にしたのは、迷惑をかけた人達に謝ることだった。


パインがベッキーに高等学校時代の事を誤った時に、ベッキーは許す許さないではなく、パインの無事を素直に喜んだ。そして、パインが他の人に謝るのに一緒について回ったのだ。


それもあって、パインとベッキーは自然と交際するようになって今に至るのだった。


「ああ。ベッキーと出会えて俺は今、最高に幸せなんだ。ベッキーを泣かす事なんてありえねぇよ。」


「あなたも変わったわね。」


「ああ。クリフのおかげだな。」


「今日は楽しんでいってよ。あ、あと結婚式には呼んでくれよ。」


「ああ。もちろんさ。」


その後も各テーブルを回って、歓談していくクリフ。楽しい時間は一瞬というが、あっという間に披露宴は終わりを迎えたのだった。


(セリーヌ達も喜んでくれたし、やってよかったな結婚式。転生した時はたしかにハーレムを目指したけどまさか俺に8人も奥さんができるなんて想像も付かなかったな。ラノベみたいにちゃんと主人公やれてるみたいでよかったよ。内政チートとかは不安しかないけど、みんなが助けてくれるしこれからもやるだけやってみるか。)


「お疲れ様クリフ様。」


「ああセリーヌもお疲れ様。疲れたな。」


「はい。でも夢がかなってうれしいです。クリフ様と出会ってから私は楽しいことばっかりです。ありがとうございます。」


「いやいや、礼を言うのは俺のほうだよ。俺の方こそセリーヌと出会ってうれしかったよ。すごく綺麗な子だって思ったし、出会った時はまさか結婚するとは思わなかった。それに、これで終わりじゃないだろ。領もまだまだ発展させないといけないし子供の事だってある。これからもよろしくね。」


「はい。こちらこそよろしくおねがいします。」


クリフとセリーヌはそっと口づけを交わした。


「あーーー。セリーヌが抜け駆けしてる。今日は私とライシャの日じゃないんですか?」


「サラサ。そう思ったんだけど、結婚式の日はやっぱり私がもらうわ。クリフ様と一番付き合いが長くて正妻の私がね。いきましょクリフ様。」


そういってセリーヌはクリフの手を握り、誰にも見つからない場所へ転移するのだった。


ゲームならエンディングを迎えるには丁度良いのかもしれないが、これはゲームではない。クリフにとってはリアル世界そのものだ。クリフの冒険はまだまだ続くのだった。


第8章 完

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