第273話 待望の結婚式。そして・・・

汝、クリフ・エターレインは、ここにいるセリーヌ、ユーナ、ナリア、グラン、ジャンヌ、ソフィアを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が両者を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神に誓いますか?


「誓います。」


(これって誓いますでいいよな。いきなり妻が二人増える予定なんだけど・・・。まあ誓うのは神様だし、神様なら俺のこと知ってるから、わかってくれるだろ。それにアイリーン様は逆に喜んでくれると思うし。)


エターレインの教会でクリフ達の前に立つイマデア教皇の前で愛を誓うクリフ達。そう今日は結婚式当日だ。


クリフは黒のタキシードをビシッと決めて、セリーヌ達は色鮮やかなドレスに身を包んでいる。そしてクリフ達を祝福するように、クリフ達の家族や友人達がその様子を眺めていた。


誓いの言葉が終わり、口づけを交わす。誓いの式が何事もなく終わるかと思われたその時、クリフのサプライズが始まった。


それは、前日の晩にまで遡る。


『クリフ様。相談があるのですがよろしいですか?』


『セリーヌ?どうしたの。念話なんかで。明日の事?』


『サラサとライシャの事です。全員に念話を繋ぎますね。あの二人には聞かれたくないので。』


『かまわないよ。』


『クリフ様はサラサとライシャをどうする予定ですか?』


『どうって、それは・・・』


『サラサとライシャは、この1か月クリフ様の為にすごくがんばってくれてます。今も二人で勉強しています。それも、毎日毎日遅くまで』


『うん。二人の頑張りは俺も見てるから知ってるよ。』


『クリフ様の事だから、あの二人を迎えるとは思いますが、丁度明日は結婚式です。結婚式が終わってしまうとあの二人の気持ちが変わってしまうかもしれません。私だけじゃなく、皆があの二人を認めています。なので明日の結婚式で、サラサとライシャも私達と同じように妻に迎えるのはどうでしょう』


(サラサとライシャか・・・俺自身は連れてきたときからエルフ枠とダークエルフ枠でハーレムに加える予定だった。セリーヌ達の事があるから様子を見てただけだしな。結婚式に参加するけど、祝福する側っていうのは、たしかにサラサ達からしたらつらいかもしれないな。あれだけがんばってるんだから。でも今からプロポーズして今日の明日って無理がないか?)


『そうだね。妻に迎えるのは全く問題ないよ。いつかはそうなるだろうって俺も思ってたからね。でも結婚式は明日だよ?』


『それなら大丈夫よ。クリフにもがんばってもらうんだから。』


というやり取りが昨日あり、今を迎えていた。単純に言えば、結婚式の場でサラサとライシャにプロポーズしようというサプライズだ。二人を驚かすとともに、喜ばそうというクリフ達の作戦だった。


「皆さん今日は私達の為に、集まっていただきありがとうございます。今日という日を迎える事ができた事をうれしく思います。そして・・・皆さんに報告があります。サラサ、ライシャ。ここに来てくれるか。」


クリフの言葉にサラサとライシャは驚きの声を上げ、戸惑うが、ゆっくりと前に出てきた。


「サラサ、ライシャ、二人とは俺が世界樹の大陸に行った時に出会った。エターレインに来てからは二人の頑張りに、俺だけじゃなくセリーヌ達もすごく元気をもらえたよ。そんな頑張ってる二人も、俺は妻に迎えたい。よかったら俺と結婚してくれないか?」


クリフは、全員がつけている指輪と同じモノを二人の前に出した。


「「えっ・・・そんな・・・」」


「サラサ、ライシャ。一緒にクリフ様を支えていきましょう。」


戸惑い、泣き、喜び・・・いやサラサとライシャの表情は今まで一番の笑顔だった。そして、


「「はい。喜んで」」


(よかった。ここで断られる事はないとは思ってたけど、事前に確認してる訳じゃないから、0.1%ぐらいはもしかしたらって思ってたんだよね。ここで断られるとか、かっこ悪いもんな。は~緊張した。ナリア達も当日にサプライズとか結構思い切った事言うよな。まあ二人が喜んでくれてよかった。)


サラサとライシャの指に指輪をはめて、口づけをする。サラサとライシャとキスをするのはこれが初めてだ。


すると、その瞬間会場が大きな拍手に包まれた。実は、サラサとライシャ以外の参列者には事前に説明していたのだ。参列者達はこの事を知っていた。なので、戸惑う事なく祝福してくれた。


参列者全員に祝福されたクリフ達は無事に教会での挙式を終えた。もちろん結婚式はまだまだ続く。屋敷での披露宴だ。参列者は一足先に屋敷へと移動していった。


「サラサ、ライシャ驚いた?」


「もちろんよ。全く予想してなかったわよ。」


「私もよ。」


「みんなで考えたんだ。これからよろしくね。」


「「はい。よろしくお願いします。」」


「じゃあ屋敷に移動しようか。あっ。それとサラサとライシャにもドレスを用意してるんだ。それもお披露目しないとね。」


セリーヌ、ユーナ、ナリア、ジャンヌ、ソフィア、グランに加えて、サラサ、ライシャがクリフのハーレムに加わった。人生最良の日はまだまだ続く。








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