第261話 世界樹の奧へ
グリーンランドのエルフ達と、ダークランドのダークエルフ達の呪いを解いたクリフ達は再度世界樹の元へと向かっていた。
「ねえクリフ。世界樹に行って具体的には何を調べるの?世界樹の実?」
「そうね。私も気になるわ。」
サラサとライシャがクリフに尋ねる。
「ああ、俺の予想だと世界樹には精霊みたいなのがいると思っている。多分だけど、邪神の瘴気を浄化してるのは世界樹だ。浄化に力を使ったから世界樹の実を生み出す力が減っているんじゃないかと思ってね。」
「「精霊?」」
「ああ。サラサとライシャも世界樹に関しては詳しく調べたりしてないだろ?多分世界樹の実が落ちるエリアを行ったり来たりしてるだけなんじゃないかな?」
「そりゃそうよ。だって世界樹は、世界樹の実を手に入れる場所ですもの。」
「ええ。私もその認識よ。」
「初めにサラサと世界樹に行った時も不思議だったんだけど、全体的に世界樹の周りしか通路がなかったんだ。丁度中心部を避けるようにしてエルフ側とダークエルフ側が分かれてたんだ。そして、世界樹の実が落ちる場所もやっぱり中心部は通路がなかった。おかしいと思わないか?世界樹の中で内側に壁があるなんて。」
(あれは絶対世界樹の内部、中心に何かある。ドーナツ型になってるなんて絶対中に何かあるって証拠だよな。まさにテンプレだ。)
「言われてみれば・・・そうなのかしら・・・あまり疑問に思った事ないわ。」
「でもたしかに内側には壁、というか木があったわね。」
「だろ?だから今回は世界樹について調べるぞ。精霊がいるかどうかは俺の予想だから違うかもしれないけど、世界樹の実の数が減っているっていう事実があるから、その原因もどこかにあるはずだ。調べて世界樹の実を増やす事ができればそれはそれで問題の解決にもなるしね。」
世界樹に元に着いたクリフ達は、中に入って行く。
「そういや~エルフ側から入ったらダークエルフ達の呪いを解く事ができないな。」
「上に行けば繋がってるから、帰りはダークエルフ側から降りれば問題ないわ。」
「それもそうか。」
道中出会うエルフ達には、状態を調べて呪いの解呪を行っていた。ただただ上に上がるのではなく、内側の木を念入りに調べながらクリフ達は実が落ちる所まで上がっていく。
「今までの所、おかしなところはないわね。」
「ええ。私もクリフに言われて注意深く見ながらきたけど、変な所はなかったわ。」
(まあ俺の予想じゃ、実の落ちるこのフロアがあやしいと思ってるけどね。だってエルフとダークエルフでルートが違うんだし、どっちかのルートで内部に入れるってフェアじゃないもん。だからきっとこのフロアのどこかに、いやエルフとダークエルフが合流するような中心地帯にあるはずだ。)
「世界樹の実が落ちるこのフロアに多分あると思う。だからこのフロアは特に注意してくれ。」
「「わかったわ」」
クリフ達は、世界樹の実には目もくれず、出会うエルフ、ダールエルフを解除しつつ、世界樹の中を調べて行く。
(おっ。これは・・・)
「サラサ、ライシャ、こっちにきてくれ。」
「見つけたの?」
「ああ。ここを見てくれ。」
「ここ?別におかしな所なんて・・・」
「いえ、サラサ、おかしいわ。ここだけ不自然に根が木に巻き付いてるわ。」
クリフが見つけた場所は、不自然に根が木に巻き付いていた。他は全くと言っていいほど訳何もないのに、クリフの目の前には2メートル幅で高さが2メートル程の正方形の形に根がびっしりだったのだ。まるで何かを隠すかのように。
「確かに言われてみると不思議ね。ここなんて何度も来るのになんで今まで気づかなかったのかしら?」
「もともと意識してなかったらそんなもんだよ。」
(俺も経験あるもんな〜。あれは確か車を買う時だったかな。どこで車を買おうかなって思った瞬間、普段は全く気にしてなかったから気づかなかったけど、えっこんな近くに車屋があったんだ。って思ったもんな。意識を向けないと気づかない事って意外に多いよな。)
クリフ達は目の前の根を強引に剥がして行った。強く巻き付いているわけでもなかったので、根は簡単に引きちぎれた。
そして・・・
「まさか!本当に先があるなんて・・・」
「ええ。私も驚いたわ。」
根を引きちぎった場所から下に降りる階段が見つかったのだ。
「なっ?言った通りだっただろ?」
「本当にクリフの言った通りだったわね。」
「じゃあこれを降りたら精霊がいるの?」
「それはまだわからない。けど何かあるのは間違いない。危ないから俺が先頭を歩くから、サラサとライシャは後に続いてくれ。」
クリフ達は世界樹の内部、中心に足を踏み入れた。3人が階段を降りようとすると、
「クリフ!?入り口が。」
クリフが振り返ると、先程通った入り口が元通りになっていた。根が再び入り口を隠したのだ。
「まあ他のエルフやダールエルフに見つかったら、興味本位で入るかもしれないから丁度よかった。」
「それもそうね・・・だけど・・・ちょっと怖いわね。」
「大丈夫。二人は俺が守るから。」
「「クリフ。」」
サラサとライシャは顔を赤くした。
「「えっ!?」」
サラサとライシャはお互いを見て、相手が顔を赤くしてるのに気づいた。
(チョロいんヒロインなら、フラグがたったかもな。さてどうなる事やら・・・いや。いかんいかん。目的はドレスの素材だ。ハーレムを増やしにきたんじゃないぞ。煩悩を捨て・・・るのは無理だから隅っこに追いやれ。)
そうして、3人は階段を降りて行くのだった。
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