第260話 邪神の呪いを解こう
セリーヌ達との誤解を解いたクリフは一夜明け、ダークエルフの長の元へ集まっていた。
といっても、昨夜はライシャの家で寝泊まりしたので、クリフ、サラサ、ライシャがともに長の家へと向かっただけだが。そして、サラサ、ライシャとは一夜を共にしたが全く何もなかった。
もちろん一緒に寝る。という展開でもなかったので当然なのだが・・・
「クリフ殿、これからどうするのじゃ?」
「そうですね。ここに来る前にダークエルフの方々を鑑定してみたんですが、やはり全員が邪神の呪いにかかっています。状態は微でしたのですぐにどうにかなるわけではないとは思います。ですが、邪神に世界樹の実を捧げるのは今後やめた方がいいでしょう。」
「だがそうすると我々が・・・」
「そうですね。世界樹の実を捧げるのをやめるとどうなるかまだわからないので、とりあえず邪神の像の目の色が変わるまでは捧げるのを止める。というのはどうでしょう?」
「そうじゃな。それぐらいなら大丈夫じゃ。毎日邪神の像の目の色を確認しておこう。」
「そうしてくれるとありがたいです。とりあえず黄色になったら教えて頂けますか。」
「わかった。」
「じゃあクリフ?邪神の像の色が変わるまでどうするの?」
「とりあえずダークランドのみんなには解呪を行って邪神の呪いを取っておこうと思う。食べ物に邪神の瘴気が混ざってるならすぐに又、呪い状態になるかもしれないけどね。」
「クリフ。グリーンランドのみんなは?」
「もちろん。ダークランドの人達を解呪したらグリーンランドにも向かうよ。グリーンランドの人達も呪いにかかってるかもしれないからね。」
「よかった。」
(まあサラサは邪神の呪いにかかってたけど、グリーンランドは邪神の洞窟からはけっこう距離がある。エルフの人達は全員呪いにかかっていない可能性もあるな。)
「瘴気を根本的になんとかしないと意味がないんじゃないの?ずっとこの大陸にいる訳じゃないんでしょ?」
「うん。だから二つの村を解呪したらもう一度世界樹を調べてみようと思う。サラサ、ライシャ、協力してくれるかい?」
「「もちろんよ。」」
(俺の仮説なら、世界樹はこの大陸にいるエルフとダークエルフを守ってるはずだ。テンプレなら精霊とか妖精みたいな世界樹の意思みたいなモノがきっといるはずだ。エルフもダークエルフも邪神について詳しい事は知らなかった。世界樹を調べれば何かわかるはずだ。)
「ありがとう。なら早速、ダークランドの人達を解呪していこうか。」
その後の動きは速かった。長はダークエルフが全員集め、邪神の呪いにかかっている事、邪神の洞窟への捧げものをしばらく止める事を伝えた。
世界樹の実を捧げるのを止めると、邪神の呪いを受けて死ぬのではないか?という意見も出たが、目の色が赤くなるまでにはどうにかすると言い、その場をおさめた。
クリフは全員が集まったのを確認すると、全員に解呪の魔法を使った。明るい光が広がるとその光はダークエルフ全員を包んだ。
ダークエルフの身体からうっすらと黒いモヤみたいなモノが出るのを確認すると、クリフは一人一人の状態を確認した。
「よし、ステータスから邪神の呪いが消えてる。」
「本当!?よかった。」
「クリフ。なら次は私の村をお願い。」
「わかった。じゃあサラサ俺の手を握ってくれる?」
「えっ??」
「あっ、グリーンランドはもう場所がわかってるから転移魔法で移動できるんだ。手を触れていないと一緒にいけないからね。」
「あっ、そういう事ね。わかったわ。」
「待って。私も行くわよ。」
そう言って、ライシャはクリフの手を握る。
クリフは、サラサとライシャが手を握ったのを確認した後、転移魔法を発動してグリーンランドへと移動した。
「私の村だわ。本当に一瞬で移動できるのね。クリフとライシャはここで待ってて。ライシャの事を毛嫌いする人もいるから長の所で説明して、全員に内容を伝えてくるから。」
そう言って、サラサはグリーンランドの中へ入って行く。残されたクリフとライシャは・・・
「さすがアイリーン様から頼まれただけはあるな。転移魔法に鑑定魔法、解呪魔法に結界魔法。見た事もない魔法がこの数日でどれだけあった事か。」
「まあこの大陸を救うようにアイリーン様には言われているからね。それよりライシャは大丈夫なの?ダークエルフって邪神を信仰している人もいるんでしょ?」
「今はそんな人いないわ。みんなダークランドの、村の為に仕方なく邪神に世界樹の実を捧げてるだけよ。今、村にいる人達は全員生まれた時からこの姿だしね。それに、私達の中にはエルフと交流すべきだ。って意見も出てたのよ。」
(なるほどね・・・自分とは違う種族に憧れがあったり気になったりするってヤツかな。隣の芝生はなんとやらって事かな。)
二人でしばらく待っているとサラサが長を連れて戻ってきた。
「お待たせクリフ。ライシャの事も説明したから村に入っても大丈夫よ。」
「サラサから説明は聞きました。まさかこの大陸自体が邪神に侵されているとは・・・」
「説明は後です。邪神の呪いがかかっていても俺が解呪の魔法が使えます。全員を集めてもらえますか?」
「みな広場に集まっておる。」
クリフはエルフが集まっている広場に向かった。
(予想通り全員が呪いにかかっているわけじゃないな。まあ今後呪いにかかる可能性もあるし、全員集まってるから一応解呪しておくか。)
クリフは先ほどと同様にエルフ全員に解呪の魔法をかけて、邪神の呪いを解いた。
「ふー。これで一先ず安心です。サラサ、エルフはここにいる人達で全員なんだよね?」
「世界樹にいる人達もいるから全員ではないわ。」
「そうね。私の所も何人かは世界樹にいるわ。」
「なるほど。丁度今から世界樹には向かう予定だったし、そこで会った人は解呪していけばいいか。」
「そうね。」
エルフ達を解呪したクリフ達は、再び転移魔法を使用し、世界樹へと向かうのだった。
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