第259話 尻に敷かれる主人公はラノベの定番
邪神の洞窟の調査をした日の夜、クリフは恐る恐る念話を行った。
『セリーヌ。聞こえる?』
『もちろんです。ずっと待ってましたわ。』
『ごめんごめん。ちょっと色々問題が起きてね。』
『それで?詳しい事を教えてくれるんですよね?』
『ああ。セリーヌ以外もそこにいるの?』
『はい。今日の晩、クリフ様が念話をしてくれるって言ってましたから全員で集まってクリフ様からの念話を待っていました。』
(そうだよね。やっぱり待ってるよね。よかった・・・忘れずに念話して。これ忘れてたらヤバイ事になってたな。)
クリフは、セリーヌ達に詳しく話をした。セリーヌ達のドレスの材料をプラチナスパイダーの糸を使う事を決めた事。その糸は世界樹のそびえ立つ大陸にあると女神アイリーン様に教えてもらった事。アイリーン様にその大陸に転移させてもらった事。
大陸に着いたらエルフとダークエルフと出会った事。世界樹はあったが、邪神の影響を受けている事。それが原因かわからないが目当てのプラチナスパイダーが見つからない事。
『そうなんですね。それならはじめっからそう言ってくれればよかったのに。』
『定期的に連絡してこないクリフが悪いわ。どこでも念話できるんだから。報連相は大事よ。』
『ごめんなさい。』
『でもクリフ君の元気な声がきけて安心したよ。それにクリフ君ならその大陸の問題もサクッと解決するだろうし。』
『マスターよ。我の力が必要ならいつでも行ってくれ。すぐに飛んでいくのでな。』
『ありがとうグラン。でも大丈夫。俺一人でなんとかしてみるよ。』
『うむ。』
『そう言えばグランってクリフの事、まだマスターって呼んでるのね。呼び方変えないの?』
『うむ。嫁達の中じゃマスターと呼ぶのは我だけだからな。それがいいんじゃ。』
セリーヌはクリフ様、ユーナはクリフさん、ソフィアはクリフ君、ナリアとジャンヌはクリフと呼んでいた。その中で、マスターと呼ぶのはグラン、スイム、クインだ。スイムとクインはクリフの従者的な位置なので、グランの言ったようにクリフの嫁達の中ではマスターと呼ぶのはグランだけだった。
『それよりクリフそっちの状況はわかったわ。だけど随分エルフの子と仲が良いみたいだけどそれはどういう事なの?』
『いやそれは・・・何というか・・・』
『まあクリフさんと一緒にいればクリフさんの事を好きになっちゃうのもわかりますが気を付けてくださいね。クリフさんは無自覚で増やしちゃうんですから。』
(やっぱりいつの間にか、ラノベテンプレの無自覚系主人公を発動しちゃってるよね。)
『クリフ様。もし増えるとなっても私達に相談してくださいね。』
『はい!もちろんです。』
『ふふふ。それならいいですよ。皆クリフ様が戻ってくるのを待ってるので早く解決して戻ってきてくださいね。それにしても困ってる人を見過ごせない所はさすがクリフ様ですね。』
『まあクリフらしいって言えばらしいわね。』
『うむ。さすがマスターじゃ。』
(よかった。なんとなく良い雰囲気になったぞ。でもサラサを連れて行くのは無理っぽいな。まあまだサラサを好きって言う訳じゃないしな。それにライシャとはまだそんな関係でもないし。エルフ枠とダークエルフ枠はこれから考えればいいか。テンプレなら再会して・・・とかもありえるもんな。まあその辺は流れに身を任せるか。)
『そっちの方は問題ない?』
『ええ。エターレイン領は順調そのものね。あっそれと結婚式の会場は王都サリマンじゃなくて、ここエターレインで行われる事になったわ。』
『えっ?どういう事?』
『クリフから指輪を貰って転移魔法が使えるようになったじゃない?だからこの前、帝国の父をエターレインに連れてきたの。そこで色々話合って、そんなに気軽に来れるなら結婚式もエターレインでした方がいいんじゃない?って話になってね。セリーヌ達とも話しあって、会場をエターレインにする事にしたのよ。』
『そうなんだ・・・』
(そう言えば、レインボージュエルに転移魔法を付与してもらったんだったな。そう考えれば移動も苦じゃないし、場所はエターレインでも問題ないのか。どちらにしてもお披露目をしないといけなかったし。でもそれなら早くドレスを準備して、会場も手を入れないといけないな。)
『マスターよ。心配せんでも会場は我達がしっかりと作っておるから安心してよいぞ。』
『そうですね。グランを中心にかなり豪華になってるよ。クリフ君が帰ってきたらビックリするかも。』
『そうですね。正直王城よりも豪華かもしれません。』
『えっ・・・』
『マスターと我達の結婚式なのじゃ。当然じゃろう。』
(まじか~。ここは俺が自重しない所だけど、俺の知らない所でグランがやらかす系だったか。まあどちらにしても俺もきっとやらかしてただろうし、今更だな。うん。帰った時の楽しみにしておこう。そうだ。ドラゴンのはく製とか面白いかもしれないな。各国の人達が集まるんだ。俺も自重せずにやりまくるか。)
『それは楽しみだね。早くこっちの問題を解決するね。』
『クリフさんが驚く顔が楽しみですね。それに念話もサボらずして来てくださいね。』
『はい・・・必ず報告するようにします。』
(俺には出来すぎの嫁達だな。俺もがんばって最高のドレスを作らないと。まあ嫁の尻に敷かれるのはラノベ主人公の定番だし、それはそれでOKだ。今はこっちの問題を一日でも早く解決できるように努力するか。)
セリーヌ達との念話を終えたクリフは明日から更にがんばる事を決めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます