第250話 世界樹を守護する大陸

「ここが世界樹のある大陸か。」


アイリーンに転移してもらって世界樹のある大陸にきたクリフ。目の前には天まで届きそうな大木がそびえ立っていた。


「近くで見るとメッチャ大きいな。さてとりあえず世界樹を目指せばいいのかな。目印は見失う事はないだろうから森を抜けて行けばいいか。」


クリフは世界樹に向かって歩いて行った。世界樹までは距離があったが、エルフが世界樹を守っているとアイリーンから聞いていたので、空を飛んで直接向かわず、世界樹の傍に広がる森の中を進んで行った。


「普通に魔物がいるんだな。ビックボアとかゴブリンとか。おっあればサーベルタイガーか。弱いのから強いまで色々いるんだな。」


火魔法を使うと森が燃えてしまう為、風魔法や剣で遭遇した魔物は倒していく。道という道はなく、木々の間を縫うように歩いて行くクリフ。木々が視界を遮り、歩きながらじゃ世界樹が見えなかったので、時々木の上に登っては方角を確認していく。


「止まれ!!」


(おっ!これはエルフか?)


クリフは声がした方を見た。


すると・・・


「エルフ・・・」


木の上には弓を構えたエルフがいた。耳が長く顔は整っている美形の女性だ。異世界のエルフと言えばこれだろう。っていうぐらい皮の服を着て背中には矢筒、左手に弓を持って矢を構える姿にクリフは感動した。


「お前!どうやってここに来た?ここへは誰も来れないはずだ!」


(う~んアイリーン様の名前って出してもいいんだろうか?アイリーン様って豊穣神だからエルフも知ってると思うけど・・・とりあえず様子見の方がいいか。)


「気づいたら森の中にいたんです。大きな木が見えたから誰かいるかもと思って、そこに向かって歩いてました。」


「嘘を付くな!ここは神聖な森だ。人間が足を踏み入れれる場所じゃない。すぐに立ち去れ。」


(えっ?立ち去れって・・・どこに?いやそもそも誰も来れないって言うなら捕まえるとかが普通じゃないの?わざと掴まってエルフの集落に連れて行ってもらおうと思ったのに・・・)


「ごめんなさい。立ち去れと言われても俺もどうしてこんな所にいるかわからないんです。ここってどこなんですか?」


「迷い人か・・・。そこで待っていろ。村に戻ってどうするか確認する。」


そう言って、エルフは名前も告げずに去って行った。


(えっ?待ってろって・・・。まあいいか倒した魔物で一人バーベキューでもして待つか。さっき通った所なら火も起こせそうだし。)


エルフが去って行ったのでクリフは先ほど倒したサーベルタイガーを解体して、火を起こし一人バーベキューを始めた。


「焼けてきた焼けてきた。」


(こういうその場で取ってその場で料理するっていいよね。味が何倍にもなる気がする。それに何といってもサーベルタイガーって初めて食べるし。あっそう言えばビックボアも倒したんだった。でもさすがに一人でそこまでは食べれないか。サーベルタイガーだけでも10人分ぐらいはありそうだもんな。食べれない分はアイテムボックスに入れて晩御飯にでもするか。)


起こした火の上、解体して木で固定したサーベルタイガーを置き火を通して行く。


(さてさてエルフはどうするかな・・・まあ部外者だしな。テンプレだったら処刑。なんだろうけどさすがに処刑されるわけにはいかないもんな。やっぱりアイリーン様の名前を出した方がスムーズに事が運びそうだな。プラチナスパイダーを探しに来ただけだし。あれ?そう言えばここに来るまでけっこうな魔物を見つけたけどプラチナスパイダーは見かけなかったな。)


どんどん食べ頃になってくるサーベルタイガーを見つめながら去って行ったエルフを待つクリフ。


「いつまで待つんだ?待ってる間にサーベルタイガーが食べ頃に焼けちゃったんだけど。」


食べるか、来るまで待つか考えていると・・・


「何をしている?大人しく待てと言っただろう。」


(おっ戻ってきた。あれ一人?偉い人を連れてくると思ったけど、本当に指示を聞きに行っただけなんだな?)


「いや待ってる間にお腹が減ったんで、ここに来るまでに狩ったサーベルタイガーを食べようと思って料理してた所だよ。一人じゃ食べきれないし、よかったら食べる?」


「サーベルタイガーだと。あの猛獣を倒したのか!?しかも一人で?」


「うん。風魔法で一撃だったよ。」


「一撃・・・」


「あっそれと村の人達はなんて言ってたの?俺は君たちの村に行っていいの?」


「そうだ。村の長老達が連れてこいとの事だ。」


「そう。ならよろしくね。俺はクリフ。あっ丁度食べ頃だけどこのサーベルタイガーはどうする?食べてからでいい?」


「ふふふ。私の名前はサラサだ。悪いが長老達を待たせてある。食事はそうだな。村で私が用意しよう。それでどうだ?」


「わかった。まあこれは収納しておけばどこでも出せるから持って行くよ。」


クリフは出来上がったサーベルタイガーを丸ごと収納した。


「収納魔法・・・クリフはそんなものまで使えるのか?」


「便利でしょ。倒した魔物も収納できるし、中の時間は止まったままだから熱々のサーベルタイガーを食べれるしね。」


「・・・」


エルフのサラサについて行く事15分。クリフはエルフの集落へとたどり着いたのだった。




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