第249話 ドレスの素材を求めて世界樹へ
1週間の休暇も一瞬で終わった。クリフはまだ、結婚式でセリーヌ達が着るドレスを準備していなかったので、世界樹にいるプラチナスパイダーを求めて神界に向かおうとしていた。
「結婚式までにはちゃんと戻ってくるのよ?」
「もちろんだよ。3カ月は長いから1カ月ぐらいで戻ってくる予定だよ。それに今回は念話も通じるだろうから連絡を入れるようにするよ。」
「クリフさん。毎日連絡してくださいね。」
「えっ?」
「何を驚いてるの?当然でしょ。もしかして、嫌なの?」
「いえ・・・ちゃんと毎日連絡させて頂きます。」
「よろしい。」
(まあ連絡するぐらいならかまわないか。逆らうと怖いしな。)
クリフはセリーヌ達の見送る中、神界へと転移した。
「おまたせしましたアイリーン様。」
「見てたわよ。だいぶ尻に敷かれてるみたいね。」
「・・・見てたんですか・・・」
「もちろんよ。ユーナちゃんだけじゃなくて皆気になるもの。でもいい事だわ。嫁が強いと夫婦はうまくいくのよ。これは異世界の定番ね。」
(異世界の定番なんだ・・・)
「ははは。そうですね。セリーヌ達には逆らえませんね。まあ逆らうつもりはないし、普段は可愛いんでうまくやってますよ。」
「そうね。見てたらわかるわ。子供ができるのも時間の問題ね。」
「そうですね。結婚式が終わればその辺も考えて行くつもりです。」
「たしかにクリフ君の場合、子供を作るだけでも周りに色々気を使わないといけないものね。それもクリフ君の運命だから、まあがんばって。」
「はい。元からわかってた事ですから。」
「楽しみにしてるわね。それで・・・世界樹に行く準備はいい?」
「え~っとアイリーン様が送ってくれるんですか?」
「そうね。その辺の説明を先にしておくわね。クリフ君が今いる大陸とは別にこの世界にはもう一つ大陸があるの。それは知ってる?」
「いえ、初めて聞きました。」
「そうでしょうね。この事を知ってる人は本当に少ないの。まあクリフ君のいる大陸が一番大きいのは事実だしね。」
(たしかに大陸が一つしかないっておかしいよな。王国に帝国に聖国、それに魔国が同じ大陸にあるからそこまで気にしてなかったけど、海があるんだから、他の大陸もあってしかりだよな~。)
「大陸の北にある聖国、大陸の中央にある王国、大陸の南にある帝国。大陸の西にある魔国、4つの国があるのが、クリフ君のいる大陸ね。それとは別に、王国からず~っと東に行くと、もう一つ大陸があるの。小さな大陸だけどね。普段は見つからないようにしてるからその存在を知ってる人はほとんどいないわ。そしてそこから更に東に行けばもう一つの大陸がある。そこはクリフ君のいる大陸程じゃないけどまあまあ大きいわね。」
(3つも大陸があるんだ。機会があれば行ってみたいな。それにこの話をするって事は世界樹は別の大陸にあるんだろうな。)
「あまり知られてないんですね。学校とかでも他の大陸の話って全くでなかったですよ。」
「それはそうよ。そういう風に管理してるからね。もっと言えば、信仰してる神が違うのよ。元々、別の大陸ができたのは創造神様に対立した事によるものだしね。」
「創造神様と対立?」
「まあその話は今度にでも話すわ。それよりも世界樹ね。世界樹はさっき言った王国の東にある小さな大陸にあるの。その大陸は大きな森に覆われてるの。まあ島と言ってもいいかもしれないわね。そこに世界樹があるの。そこにはエルフが生活してるわ。この大陸にもエルフがいるけど、エルフは元々世界樹のある島で生まれたから何かしらの方法で移動してきたのでしょうね。そこから世界樹の事は伝わってるかもしれないわね。まあ伝わっても一度あの島を出た物は島を認識できなくなるから戻る事はできないでしょうけど。」
(島を認識できない?世界樹ってかなり重要なモノなんだろうか?そんな所に送ってくれるってさすが豊穣神様だな。いや・・・もしかして世界樹で何か問題が起きてるのか・・・それを解決してほしくて俺を誘導した?それは考えすぎか。)
「わかりました。ではアイリーン様が俺をその大陸に送ってくれるんですね。」
「ええ。私はいけないからクリフ君だけを大陸に送るわね。きっとクリフ君ならプラチナスパイダーを見つける事も、プラチナスパイダーの糸を手に入れる事もきっとできるわ。」
(ん?なんかアイリーン様の言い方が妙に気になるんだけど・・・。やっぱり何かあるのか?)
「え~っとアイリーン様・・・俺ってその大陸に行ったらとりあえず世界樹を目指せばいいんですか?」
「ええ。世界樹はすぐにわかると思うわ。後はそうね・・・住んでいるエルフに聞いてみたらいいわ。」
(エルフか~。エルフと言えばフィルだよな〜。フィルは世界樹の事知ってるのかな?結婚式には来るからその時にちょっと聞いてみるか。)
「わかりました。ドレス6人分なんで、それなりに素材がいると思うので頑張ってきます。」
アイリーンはクリフを世界樹のある大陸に送った。そして・・・
「クリフ君・・・あの子達を、世界樹を守ってね。」
いなくなったクリフを思い、つぶやくのだった。
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