第251話 グリーンランド
「ここがエルフの村・・・」
「そうだ。世界樹を守護するグリーンランドだ。」
「この大陸ってここ以外にも村はあるの?」
「ない。と言いたいところだが、もう一つある。そこはまあ、クリフが気にする事ではない。長老は奥の家にいる。ついてこい。」
(なるほど。アイリーン様が意味深な事を言ってたのは、この辺の事かな。まあテンプレだったらこの村ともう一つの村は世界樹を巡って争ってるとか?それでもう一つはエルフじゃなくてダークエルフとか?まあそこまで完璧に当たるわけじゃないだろうけど、何かしら問題はありそうだな。)
クリフはサラサの後をついて行き、グリーンランドの村を奥へ奥へ進んで行く。
「けっこう多くの人が生活してるんだね。」
「ここには500人ぐらいが生活してるわ。」
(500人の村か・・・多いんだろうな。みんな美男美女だし。ザ・エルフって感じだな。正直見分けがつかないな。)
「ここよ。」
サラサの後についていき、部屋の中に入ると、そこには見るからに長老っぽい年配のエルフがいた。
(お~。長老っぽい。200歳とか300歳を超えてるんだろうか?エルフと言えば長寿の種族だよな。それが5人。長老が5人もいるのか?500人の村って言ってたし一人当たり100人ぐらいの面倒を見てる?)
「連れてきました。」
「うむ。そこに座れ若者よ。」
「はい・・・」
(なんだろ?勝手にここに来たから詰められるんだろうか?アイリーン様に転移しれ貰った事を言った方がいいか?)
「さてお主が女神様が言っていた者か?」
「「「「長老!?」」」」
「うむ。お主達には言ってなかったが、最近儂は神託を受けていてのぉ。それが、女神様が人を遣わす。その者はグリーンランドを平穏にするだろう。という者じゃった。」
「だから長老は、最近森の巡回の頻度を増やしたんですね。」
「ああ。いつ来るかわからなかったからのぉ。それに皆に言わなかったのは儂も半信半疑だったからじゃ。神託なぞもう100年程なかったことじゃからのぉ。それでどうなのじゃ?」
(アイリーン様・・・エルフ達に言ってくれてるなら俺にも言ってくれればいいのに・・・)
「女神様というのが豊穣神アイリーン様を指すのであれば、俺はアイリーン様にここへ送ってもらったので間違ってないと思います。」
「「「「おお~。」」」」
「神の遣い様じゃ。」
「え~っとそんな大それた者じゃないので普通にクリフでお願いします。それで?長老は先ほど平穏にする。とおっしゃってましたが何か問題が起きてるんですか?俺の方もちょっとお願いがあってここに来たので、俺が解決できることであればお手伝いしますが?」
「サラサ。」
「はい。実は最近、世界樹に行くと向こうの村の者に襲われる事が多くなりまして・・・」
「向こうの村?たしかサラサはこの大陸にはこの村ともう一つ村があるって言ってたね。そこの事?」
「はい。ここから世界樹を挟んで向こう側にある村でダークランドと言います。そこの村の者がこちらの村の者を襲ってくるのです。」
「それは最近の事なの?」
「はい・・・」
「そのダークランドって言うのは?」
「ダークエルフの集落じゃ。あそこのエルフ達も元々はここで一緒に暮らしておったのじゃ。じゃがヤツらは力を求めて女神様じゃなく邪神を称え始めた。その結果、力を得たが皆ダークエルフへと変わってしまったのじゃ。」
(お~。なんとも異世界な展開だな。邪神の加護でエルフがダークエルフになる。力を求めるっていうのは、エルフじゃこの森の魔物達を倒すのが難しいからかな?それにしても邪神か~・・・ここで邪神の名前が出てくるとは・・・帝国でパインを陥れ、聖国で教皇を殺した後は音沙汰なかったけど・・・。)
「なるほど。急に襲われるようになったのは何か理由とかわかってるんですか?例えばダークエルフと何かもめごとがあったとか、世界樹の恵みが減っているとか?」
「えっ!?どうしてそれを知ってるんですか?」
「ダークエルフと何かもめごとがあったの?」
「もめ事というか、最近ダークエルフ側からの勧誘が酷いんです。ですが私達は誰も邪神を信仰するつもりはありません。」
「なるほどね。それで、世界樹の恵みが減ってるのもそうなの?」
「はい。世界樹からなる実は私達の生活に非常に大事です。もちろん森にいる魔物も倒しますが定期的に世界樹の実を食べています。それが最近は減ってきているんです。このまま消費を続ければその内食べれない者が出てくると思います。」
「なるほど。だからダークエルフがそれを独占しようとしている。そして、独占を止めたければ邪神を信仰してダークエルフになれ。ってとこかな?」
「はい・・・」
(なるほど。よくあるヤツだね。じゃあ解決するには世界樹が実を減らしてる原因を調べればいいのかな?邪神を信仰してるとはいえ、世界樹を枯れさせる。って事をしてる訳じゃないからダークランドは潰す程じゃないし、その辺はサラサ達の問題だから俺が変に介入するのはおかしいか。まあとりあえず世界樹の問題だな。)
「わかった。とりあえず世界樹の実が減ってる原因から調べようか?俺って世界樹に行っても大丈夫なのかな?」
「あっ、それなら私が神の遣い様を案内します。」
「クリフで良いよサラサ。さっきまではクリフって呼んでたじゃん。それに口調もそのままで大丈夫だよ。」
「・・・わかりました。いえ分かったわクリフ。私が世界樹を案内するわ。」
そうしてクリフはエルフの問題解決の為に動き出すのだった。
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