第242話 妖刀かまいたち

地下20階に辿りついたクリフは、周囲を見渡し、すぐに部屋の壁ぎわまで移動した。


「やばいやばい。地下20階は大部屋1つなんだな。もたもたしてると周りをモンスターに囲まれる所だった。とりあえず壁際に移動したから後方から攻撃される事はない。前方だけに意識すればいけるだろ。」


名前:クリフ・エターレイン

レベル:26

職業:商人

HP:260/260

MP:-

攻撃力:63/53(+20)

防御力:53(+20)

満腹度:70


現在階:20階

最深階:20階

お金:3500ゴールド


装備:ミスリルの剣、ミスリルのライトアーマー、力の指輪


所持アイテム:帰還の魔法書×2、火の杖(1)、ポーション×3、弁当×2、上薬草×2、毒消し草、吹き飛ばしの杖(3)、場所交換の杖(2)、保存の壺(5)、毒草、ワープの魔法書、罠回避の指輪、大きなパン、鋼鉄の剣、高価な指輪


クリフのステータスはここに来るまでにレベル26まで上がっていた。クリフの体感から、階数以上のレベルがあればモンスターに負ける事はないと思っていた。つまり現状でも地下26階まではひたすら階段を駆け下りる事ができるという事だ。


より深く、最深階の50階を目標にしてるクリフは、先を急ぐのではなく、1階1階じっくりとレベルを上げて進んできた。


地下20階でも一緒だ。近づいてくるモンスターに対し、火の杖を使って遠距離で攻撃をする。火の杖はラスト1回なので、使った瞬間に杖は消え去った。


(俺の知識なら使えなくなっても投げれば後1回使えるんだけど・・・。まあその辺はリアルとの違いか。現に武器を投げつけてもなくならずに後で回収できるもんな。)


近づいてきたモンスターから順番に倒していくクリフ。一定の場所に留まらず移動しながらモンスターを倒して行った。


(あの火を吐いてくるドラゴンがやっかいだな。赤い色だから今まで出てきた緑のドラゴンよりは強いんだろうけど・・・)


モンスターの中には、クリフに近寄らず一定の距離から遠距離攻撃を仕掛けてくるモンスターもいる。地下20階では、赤いドラゴンがそれだった。ドラゴンからの炎を喰らわない様に攻撃しては移動し、攻撃しては移動を繰り返した。


大部屋一つだった地下20階には合計20体程のモンスターがいた。吹き飛ばしの杖や場所交換の杖をうまく使いながら地下20階のモンスターを倒し、最後に赤いドラゴンを倒した。


さすがに1撃では倒せなかったのでそれなりにダメージを受けたが、炎を避けながら接近して攻撃を繰り返す事と、最後の1体にしてから対処した事でやられる事なく倒す事ができた。


赤いドラゴンは消えていくと、そこには下に降りる階段が現れた。


「やっぱりあの赤いドラゴンは地下20階のボスの位置づけなんだな。図鑑にレッドドラゴン、地下20階のボスって書いてあるし・・・倒した階段が現れるんだから普通そう思うよな。」


地下20階のモンスターを倒したクリフは、落ちているアイテムを回収する事にした。


「とりあえず力の指輪を罠回避の指輪に変えて、落ちてるアイテムを拾うか。ここってこの部屋しかないから多分時間経過で新しいモンスターが出てくるだろうから急いで回収しないとな。」


クリフは罠回避の指輪を装備して落ちているアイテムを回収した。袋がいっぱいでも手に持つ事はできるので、全てのアイテムを両手に抱えて下に降りる階段の傍まで来た。


「パン食べて満腹度を回復して、帰還の魔法書とか弁当は保存の壺に突っ込んでおくか。新しい草や杖も見た目じゃどんな効果があるのかわからないもんな。袋を整理したらこの部屋のアイテム類は全て袋にいれる事ができるからそれで効果を調べるか。」


今回入手した草や魔法書、杖を袋に入れて内容を確認した。すると・・・


妖刀かまいたち:前方に斬撃を飛ばして遠距離攻撃ができる。攻撃力5

巨人の草:10分間HPを2倍にする。そのかわり、お腹の減りが早くなる。

罠解除の魔法書:そのフロアの罠を全て解除する。

分裂の杖(5):当たった対象の数を増やす。


その他は、ミスリルの塊、帰還の魔法書、上薬草、腐ったパンだった。


ちなみに腐ったパンは少しだけHPを回復する事ができるが、さすがに腐ったパンを食べる事はできないとクリフはすぐに捨てていた。


「妖刀かまいたちか・・・。斬撃を飛ばせるのはかなりいいな。だけど攻撃力が5か・・・妖刀かまいたちで遠距離から攻撃して、近づいてきたらミスリルの剣に持ち替えるにしてもめんどくさいな・・・」


妖刀かまいたちの能力は魅力的だが、地下21階以降のモンスターに対しては攻撃力が心もとなかった。


(保存の壺があったんだから、武器の性能を合成させるような壺もあるだろうけど・・・こればっかりは出てみないとわからないもんな。持ち込める数にも制限があるしどうしたもんか・・・)


「いや・・・。もしかして・・・」


クリフは袋から妖刀かまいたちを取り出し、左手に持った。


そして左手で妖刀かまいたちを振った。すると、妖刀かまいたちから斬撃が飛び、前方の壁にぶつかったのだ。


「よっしゃ。いけるぞこれ。よしよし、ステータスもミスリルの剣を装備した事になってるから攻撃力も下がってない。これなら、合成の壺がなくてもいけるな。」


クリフは、左手に妖刀かまいたちを持つという機転で、無限に使える遠距離武器を手に入れたのだった。


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