第241話 不思議なダンジョン、地下20階

クリフが不思議なダンジョンに来てから2週間が経った。今のクリフの最高到達階は18階だ。理不尽な事に18階で2部屋連続モンスターハウスというありえない事態に遭遇したため、帰還の魔法書を使って帰還したのだった。


「あ~今回は絶対20階までいけると思ったのに、さすがに2部屋連続モンスターハウスは無いわ~。しかも入った瞬間爆発の罠にかかるし、あれは運が悪かったな。」


『調子はどうだい?』


「キューブ様。そうですね、今は地下18階まで行きましたよ。」


『もうそこまで行ったんだね。どうだい?僕の作った不思議なダンジョンは?おもしろいかい?』


「そうですね。魔法書に魔法の杖なんかは使い道も多いし、ミスリルも出ますからダンジョンは人気になると思います。」


『それはよかった。何か改良した方が良い所はあるかい?』


「そうですね。冒険者をターゲットにするなら一人用って言うのは厳しい気がします。多数の冒険者はパーティーを組んでますので。」


『なるほどなるほど。たしかにクリフ君のいう通りだね。どうすればいい?』


「地下20階をクリアしたら戦士と魔法使いに転職できるようになると聞きました。はじめはそれも面白いと思いましたが、武器と防具を持ち込んで、魔法書に魔法の杖があればそれなりに商人でも攻略できると思うので、一人の場合は商人固定で、二人以上で挑戦する場合に職業が選べるようにはできませんか?」


『どういう事?』


「はい。まずは入る人数によって難易度を変更できるようにすれば何人パーティーで来ても、差がなく楽しめると思います。そして、5人で挑戦した時に全員が商人では面白くありません。それぞれが別々の職業を選んで挑戦できれば面白いと思います。レベルは1からスタートですし、普段とは違う職業を選べると良い経験にもなるから人気も出ると思います。」


『なら戦士と魔法使いの職業だけじゃたりないね。』


「そうですね。俺が考えたのは、商人、戦士、魔法使い、盗賊、回復士がいいんじゃないかと思います。役割としては、商人のみが魔法書や魔法の杖を使えて、商人よりも力が強い戦士。攻撃魔法が使える魔法使いに、回復ができる回復士、盗賊は罠の発見とか、モンスターハウスを事前に発見するとかの技能があれば面白いかと思います。」


『それはおもしろいね。最大五人で一人なら商人で、二人なら商人ともう一つ好きな職業を選べたら、選択肢も広がっていいね。』


「はい。俺一人だったら今のままでいいんですが、キューブ様は多くの人に挑戦してもらいたいと言ってましたので。」


『うんうん。わかった。そういう感じで作ってみるよ。もうすぐ地下20階で転職できるはずだったのにゴメンね。』


「全然かまいませんよ。先ほども言いましたが商人でも問題なさそうなので。」


『じゃあ早速改良しに行ってくるね。』


そういってキューブはクリフの元を去って行った。


「キューブ様には思ってる事も伝えれたし、俺は俺で明日は地下20階まで行くぞ。とりあえず持って行くものも大分充実してきたし死ぬような事もなくなった。やっぱり地下10階までにどこかで帰還の魔法書が出るのは大きいな。多分キューブ様がそうしたんだろうな。死んだらアイテムが無くなるもんな。」


クリフは今、ミスリルの剣、ミスリルのライトアーマー、力の指輪、帰還の魔法書、火の杖(5)、ポーション×3、弁当×2の10個を持ち込んでいる。


ミスリルの剣とミスリルのライトアーマーは不思議のダンジョンで見つけたミスリルの塊から、クリフが作ったモノだ。


前に使っていた鉄の剣とライトアーマーが攻撃力、防御力10だったのに比べてミスリルの装備は攻撃力、防御力が20ある。より安全に不思議のダンジョンの攻略ができるようになっていた。


力の指輪は力を10上げてくれる指輪だ。指輪系は力の指輪とただの指輪、綺麗な指輪、体力の指輪、反撃の指輪が手に入っている。体力の指輪はHPを、反撃の指輪は一定確率でくらったダメージの半分を相手に与える事ができるアイテムだった。


魔法の杖系は回数制限があるが、遠距離攻撃が可能な武器だ。モンスターの数が多いと一度に何体も相手しないといけないので、あると便利なアイテムだ。


クリフは今までに、火の杖、氷の杖、変化の杖、分裂の杖、吹き飛ばしの杖、転移の杖を入手している。効果はそれぞれ名前の通りだ。どれもが1~5回の回数制限がついていた。


翌日クリフはいつものアイテムを持ち込んで不思議なダンジョンに挑戦した。


「よし!今日は地下20階まで行くぞ。」


クリフが装備しているミスリルの剣と力の指輪の効果で、レベル1からクリフの攻撃力は33もある。これにレベルが上がる度に攻撃力が2ずつ上がって行くので、地下10階までのモンスターはほとんどが1撃で倒せるようになっていた。1撃で倒せるならモンスターなど全く怖くなかった。


罠は今の所、防いだり避けたりすることはできるが、事前に見つける事は出来ないので罠にだけ気を付けてクリフはドンドンモンスターを倒しサクサクと下へ進んで行った。


そして・・・


ようやく地下20階への階段を見つけたのだった。




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