第233話 世界に一つだけの指輪

結婚式に向けて、セリーヌ達の為に指輪とドレスを作る事を決めたクリフは、素材の事を相談する為、創造神の元を訪れていた。そしてそこには、創造神、豊穣神、遊戯神の3人がいたのだった。


「クリフ君じゃないか。久しぶりだね。じゃあ神界への不法侵入者ってクリフ君の事だったんだね。」


「不法侵入?」


「ふぉっふぉっふぉっ。そうじゃ。3人で談笑してる所に神界への侵入を感知したので儂が見に行ったという訳じゃ。するとクリフ君がいたって所じゃの。」


(なるほど、あの時神様の気配を探ろうとして魔力を放出したからその時だな。それにしても不法侵入って・・・いつものように教会でお祈りしただけなんだけど・・・)


「不思議そうな顔しておるの?じゃがクリフ君。本来儂たち神が呼ばなければここへ来る事はできんじゃ。現に今までも儂らがクリフ君をここへ呼んだ時だけこれたはずじゃ。」


「たしかに・・・そう言えばそうですね。」


「じゃが今回、儂らは誰もクリフ君を呼んでおらん。にも拘わらずここへ来れた。それはクリフ君。お主が神格化してきている証拠じゃ。」


「神格化!?」


「まあクリフさんの強さならあり得ますね。」


(神格化ってまじか・・・。いやまあステータスの称号は『人族ではないかもしれません』だったけど・・・。えっ・・・ステータスが『神様になったかもしれません。』に変わってるんだけど・・・。何で?)


「驚く事でもないじゃろ。クリフ君はこの世界の主要な大陸の王族を嫁に持ってハーレムを築いており、今代の勇者で、異世界のグラトニースライムまでも手なずけておる。現にクリフ君は、神達の中でもすでに上位の能力を持っておるぞ。」


(まじか!?あまり考えない様にしてたけど、実際そうだよね。レベルももうすぐ1000に行くし創造魔法で何でもできるし、称号にあるチート野郎、ハーレム野郎がピッタリ合うよね。野郎って言うのが気になる所だけど、客観的に見てもそう思うから仕方ないか・・・)


「状況はわかりました。今後は気を付けます。」


「そうじゃな。ここに来るときは儂に念話を送ってくれ。今のクリフ君なら儂への念話も可能じゃろう。」


「わかりました。」


(そうか。教会で創造神様に念話を先に送ればよかったんだ。創造神様の所へって思いながらお祈りしてたから、それが失敗だったんだな。)


「それで今日はどうしたんじゃ?」


「はい。実は無事にセリーヌ達と結婚する事になりまして、以前アイリーン様から念話できる指輪を頂いたんですが、俺自身からみんなに指輪とドレスを贈りたいと思ってるんです。指輪は宝石と鉱石とか金属があれば魔法で作れると思いますし、ドレスもイメージはあるので、後は絹とかの素材があれば作れると思うんです。それでせっかくなんで、特別な素材があればそれを使いたいと思いまして。何か良い素材について知らないか相談に来たんです。」


「なるほどのぉ~。儂はその辺はさっぱりじゃが指輪の素材はオリハルコンとかが良いのかのぉ~。」


「私が上げた指輪がオリハルコンを使ってるわよ。オリハルコンだってかなり希少な金属よ。それ以上となると・・・ヒヒイロカネとかかしら?」


(お~。オリハルコンにヒヒイロカネだ!!さすが異世界。聞いた事あるヤツだ。オリハルコンとヒヒイロカネならヒヒイロカネの方が希少なのか・・・なら指輪のメインはヒヒイロカネで決まりだな。後はどこにあるかだな。)


「この世界で一番希少な金属がヒヒイロカネなんですか?それなら是非それを使いたいです。アイリーン様、ヒヒイロカネってどこにあるか知ってますか?」


「ごめんなさい。わからないわ。オリハルコンなら神界になじみがあるから用意できるんだけど・・・」


(なるほど・・・知らないっと・・・まじか~。まあしょうがないか。さすがにすぐに見つかってスムーズに進むとは思ってはなかったよ。大丈夫。まだ想定内だ。)


「あと宝石を埋め込んで特別感を出したいんですが、希少な宝石についてはご存じですか?」


「そうね~。ダイヤモンド、サファイア、ルビー、ガーネットどれも希少だけど、特別に希少な宝石って言われるとね~・・・」


「あれはどうじゃ?七色に光るレインボージュエルは?」


「じっちゃん。レインボージュエルなんてどこにあるんだよ?聞いた事はあるけど僕は見た事もないよ。」


「そうね。創造神様。私も聞いた事はありますが実物は見た事ありません。本当に存在するんですか?」


「うむ。レインボージュエルは珍しいが存在はしておる。じゃがクリフ君が今いる世界ではどこを探しても見つける事はできんじゃろう。」


「えっ!?そうなんですか?」


「うむ。今は無き存在という事じゃ。」


「そうですか・・・」


「じゃがクリフ君。手に入れる方法がないわけでもない。」


「本当ですか!?」


「うむ。それはな・・・。ダンジョンの攻略報酬として手に入れる事じゃ。」


「攻略報酬?」


「あっそうか!!じいちゃん、僕にもわかったよ。存在するならそれでいけそうだね。」


「先日、クリフ君が攻略した奈落の底ダンジョンでキューブが攻略報酬を聞いてきたじゃろ?ダンジョンは注いだ魔力でどんなモノも作り出す事ができるのじゃ。そして、丁度タイミング良くキューブが新しいダンジョンを作っておってな。」


「なるほど。じいちゃんナイスアイデア。丁度試運転をどうしようかと思ってたんだよね。クリフ君が挑戦してくれるならありがたいよ。」


「そうじゃろ。それにそれならヒヒイロカネも一緒に手に入れる事もできるじゃろ?」


「うん。クリフ君のお嫁さんの指輪の金属分と宝石だよね。量も少ないし、それぐらいなら攻略報酬でなんとかなるよ。」


(なんかトントンと話しが進んで行ってるが、要はキューブ様が新しく作ったダンジョンに挑戦して、クリアすれば攻略報酬としてヒヒイロカネとレインボージュエルを貰えるって事だな。うん。わかりやすくていいな。この前ダンジョン攻略したばっかりだけどキューブ様もう新しいダンジョン作ったんだ。早いすぎじゃない?)


「わかりました。キューブ様、そのダンジョン是非挑戦させてください。」


そうして、クリフは世界に一つだけの指輪を作る為に遊戯神キューブが作った新しいダンジョンに挑戦するのだった。




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