第215話 奈落の底81階層
80階層で神龍バハムートと別れたクリフ達は81階層へと進んでいた。
「ここが81階層・・・」
バハムートより、81階層から先の事について情報を得ていたクリフ達は、周囲に見える赤、青、黄、緑の扉を前にどうするか話し合っていた。
「バハムートの言ってた通りの階層ね。」
「そうだね。これが下に降りるまでずっと続くみたいだね。どうやって進んで行こうか?」
「そうですね。特にどうやって進めば良いかもわかりませんし、はじめは適当に進んで行って問題ないのではないでしょうか。」
81階層に降りるとそこは部屋になっており、四方それぞれに色のついた扉があった。バハムートの話だと81階層からは試練系ダンジョンになっており、扉を進むと魔物かアイテムか何も無しか下への階段のどれかがあるとの事だ。
全ての部屋が同じ形状をしているとの事なので、クリフ達は迷わないように入った扉に目印を掘って進んでいく事にした。
(多分、正しいルートを通らないと元の場所に戻ったりするよな・・・。赤い扉をひたすら進んでも行き止まりにすらならない気がする。まあ試してみないとわからないけど・・・。普通だったらマッピングしていけば同じ部屋を2回通らずにいけるだろうけど、きっとそんな感じにはならないよな。)
始めは黄色の扉を進む事にした。
扉を開けると、その先には同じような部屋があり、同じように四方には色のついた扉があった。先ほどの部屋と違う点は、部屋の真ん中にあるのが80階層に戻る階段ではなく魔物だった点だ。
「デュラハン・・・バハムートの言ってた通りね。」
そう、クリフ達の目の前にいた魔物は、首なしの騎士デュラハンだった。クリフ達が黄色の扉を開けて入ってきたからかどうかはわからないが、黄色い鎧をつけて、大剣を握っている。
「うん。今鑑定してみたけど、レベルは200だからステータス的にはセリーヌ達よりも低い。だけど魔法完全無効のスキルを持ってるみたい。」
「魔法完全無効!?」
バハムートからは81階層からの魔物は魔法無効だったし、物理攻撃無効のようなやっかいな敵が多いと聞いていた。神との約束の禁止事項に当たる為、詳しく教えてもらう事はできなかったが、やっかいな敵が出るという情報を先に入手できただけでもクリフ達にはありがたかった。
「うん。だから魔法は使わない様に。ここは俺とナリアで攻めるよ。セリーヌとユーナは援護をお願い。」
「クリフ。私はどうしたらいい?」
「俺が注意を引き付けるよ。デュラハンは大剣持ちだから力は強いだろうけど、敏捷はそれ程でもないはず。ナリアはデュラハンの背後に移動して攻撃してくれ。」
「わかったわ。」
クリフは剣を構えてデュラハンと対峙する。もちろん愛剣の『エバ』と『ラン』だ。そしてセリーヌ達も自分達の役割をわかっているのか魔法をうまく使って行く。
デュラハンは魔法が聞かないが、足元の土が急に盛り上がってバランスをくずした。セリーヌの土魔法だ。セリーヌは今ダンジョンに来て、魔力操作の訓練を行ってから土を自在に操れるようになるまで成長していた。
更にデュラハンの周りには光の玉が複数浮いている。デュラハンは頭がないのにクリフ達をちゃんと認識していた。それは視覚以外の部分でクリフ達を認識しているという事だった。温度、気配、音・・・どの部分でデュラハンが敵を認識しているかわからないが、光の玉がデュラハンの周りに出現した事でデュラハンの動きが止まったのも事実だった。
セリーヌ、ユーナの行動のお陰でやすやすとデュラハンの背後に回れたナリアは背後から槍を一閃する。ナリアは完全にデュラハンの死角から攻撃を仕掛けるが、倒すまでには至らなかった。ナリアの攻撃を受けてデュラハンは吹き飛ぶがすぐに起き上がった。
「固い!?」
「いやナリアの攻撃は良かったよ。セリーヌもユーナも。もう一度同じようにしよう。連携を取れば81階層からも大丈夫そうだ。」
クリフの言葉に、再度セリーヌとユーナが魔法を発動する。直接攻撃してもダメージを与えれないのでナリアのサポートだ。次は倒せるようクリフはナリアの武器にも強靭化、鋭利化の付与を行う。
「これでナリアでもデュラハンを倒せるはずだ。次は頼むぞ。」
「わかったわ。まかせて。」
同じようにクリフ、セリーヌ、ユーナの3人で、デュラハンの注意を引き、ナリアが攻撃を仕掛けた。先ほど攻撃した所に罅が入っていたので、同じところを狙う。2度同じ場所に攻撃を受けたデュラハンは今度は吹き飛ばされた先で消えて行った。
「やったわ!」
「お疲れ様ナリア。セリーヌもユーナもよくやってたよ。」
「「はい。」」
そうして、踏み入れた81階層で初めて出会う魔物を、危なげなく倒したクリフ達だった。そして、同じように黄色の扉をあけようとするナリアをクリフが止めた。
「ちょっと待って。」
「どうしたのクリフ?」
「ちょっと確かめたい事があって。」
そういうと、クリフは先ほど入ってきたドア、こちら側からは緑色のドアを指さす。
「さっき入ってきたドアに入れば元に戻るのか、それとも違う所に行くのか確かめたいんだ。」
「なるほど。たしかにそれは大事ですね。」
クリフは1人進んで、緑色の扉を開けた。中に入ると一人別の場所に行ってしまうかもしれないので、ドアだけ開けて中の様子を伺う。
(うん。降りてきた階段が見えるな。ていう事は、部屋と部屋文字通り扉でつながってるって事か。ワープ機能のようなモノがドアに備わってるのかと思ったけど、どうやら違うみたいだ。と言う事はずっと同じ方向に進んだら行き止まりになるのか??それも調べてみないとな。)
「うん。階段が見えるね。って事は、目印を付け乍ら進んだら迷っても元の場所に戻ってこれそうだね。」
そう言って、クリフ達は同じ黄色の扉を開けて先へと進むのだった。
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いつも読んでいただきありがとうございます。
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