第212話 ドラゴンの肉は・・・

奈落の底ダンジョン71階層へと足を踏み入れたクリフ達。71階層はドラゴンがあふれる魔境だった。足場が悪く、そこらかしこに岩場があり移動が困難という事で、周りにドラゴンがいない場所を探して、先にセリーヌ達に飛行魔法を教える事にしたクリフ。


「まずはイメージしてみようか。魔法はイメージすればだいたい使えるようになるんだ。自分が空を飛ぶイメージをしてみて。セリーヌは初めてあった時に一緒に飛んだからその時の事を思い出してみて」


クリフの言葉にセリーヌ達はそれぞれ空を飛ぶイメージをしていく。


「クリフ様!覚えていたんですね。あの時は夢が叶ってとてもうれしかったのを覚えていますわ。でも自分で空を飛ぶと考えるとなかなか難しいですね。」


「そうですね。鳥とかをイメージしても私には翼がありません。どうやって空を飛ぶんでしょうか?手を広げる感じでしょうか?」


「セリーヌはクリフと一緒に空を飛んだんでしょ。私もしてもらっていい?そうすればイメージできると思うんだけど?」


「あっそれなら私もクリフ様と一緒に空を飛んでみたいです。」


「ずるいわ。ナリアもユーナも。私だって昔の事だったからもう一度一緒にクリフ様と空を飛びたいわ。」


「いやいや、みんな。目的が変わってるから・・・」


「でも一緒に空を飛べばより強くイメージできるでしょ?」


「まあたしかにそうだね。」


と言う事で、クリフはナリア、ユーナ、セリーヌの順に一緒に空を飛ぶことにした。といっても周りにドラゴンがうろうろいるので、そこまで自由に飛んだわけではない。だが、3人はクリフとの空の旅を楽しみ、その後は全員が飛行魔法を覚える事ができた。


「無事に全員飛べるようになったね。」


「クリフ様のお陰です。ありがとうございます。」


「空を飛ぶのって楽しいですね。」


「まさか自分が空を飛べるようになるなんて思わなかったわ。」


「とりあえず今日は空を飛んで移動しようか。出てくるドラゴンは俺が倒すからセリーヌ達は飛ぶことに集中して。今はまだ自由自在に飛べないだろうからね。慣れてきたら空を飛びながら魔法を使ったり、槍を振り回したりしていこうか。」


クリフを先頭にし、71階層の探索を開始した。


「いたる所にドラゴンがいるわね。ドラゴンがいるせいで移動もしづらいわ。」


「そうですね。戦闘したら音を聞きつけて他のドラゴンも寄ってきそうですね。」


(たしかにナリアとユーナの言う通りだ。今は俺が一撃で倒してるから問題ないけど、セリーヌ達だけなら一撃で倒せないし、戦闘の途中に他のドラゴンが寄ってくるよな。飛行魔法以外に一撃で倒せる魔法も覚えるべきか・・・レベルを上げれば行けるか・・・何か考えないとスムーズに攻略するのは難しそうだな。)


「そうだね。その辺はちょっと考えないといけないかな。今は俺が魔法で倒してるから問題ないけどずっとそうやって攻略していくわけにもいかないしね。」


「そうですね。それと思ったんですが、クリフ様が倒したドラゴンが消えずに地上に落ちて行ってるんですがまだ死んでないのでしょうか?」


(あれ?言われてみればそうだな・・・でも死んでるはずだよな?じゃあなんで消えていないんだ?)


クリフ達は立ち止まって、先ほどクリフが倒したドラゴンの様子を伺った。セリーヌが言うようにドラゴンは消えずにそのまま地面へと落ちていく。地面に落ちてもドラゴンはそのままの姿を維持していた。


70階層までの魔物は倒すとそのまま消えていたので、死んでも消えないドラゴンに対してクリフ達は慎重に更に様子を伺った。


すると・・・


死んだドラゴンに大量の魔物が群がっていた。群がる魔物達は一瞬でドラゴンを食べていく。文字通り一瞬だ。次の瞬間にはドラゴンは骨だけになっていた・・・


「まさか・・・ここの魔物は外と同じように死んでも消えないのか??」


「クリフ様。もしかしたらそうかもしれません。先ほどはなんとも思いませんでしたがよく見れば所々に魔物の骨が転がってます。」


(どういう事だ?こんな事がありえるのか・・・。いや目の前に起こった事を考えればありえるのか。たしかこの奈落の底ダンジョンは神々の試練用のダンジョンって神様も言ってたよな。と言う事は、71階層からはドラゴンを倒して素材を手に入れて装備を整えろって事か?それともドラゴンの肉を食べて強くなれって事か?いやでも、ドラゴンの肉を食べたら強くなるとか、血を飲んだら長生きするとかって迷信だろ・・・。)


「クリフ?もしドラゴンが消えないならドラゴンの肉って食べれるんじゃないの?私ドラゴンのお肉って一度食べてみたかったのよ。」


「あっ。私も聞いた事があります。ドラゴンの肉はとてもおいしく食べればドラゴン並みに強くなれるって。」


(いやいやユーナ。それ迷信だから。いや、まあおいしいのは同意するけど・・・)


「そうだね。じゃあ今日はドラゴンステーキにしようか。強くなるかどうかはわからないけど味は美味しかったはずだし。」


今日夜営する拠点を見つけ、夜までは魔法の練習をしながらドラゴン討伐に精を出した。先ほどの魔法はイメージの応用だ。それぞれが使う魔法を圧縮して魔力を込めて威力を上げる練習をした。もちろん飛行魔法を使いながらだ。


初日から一撃で倒せるようにはならなかったが、ドラゴンの素材を無事に手に入れたクリフ達は、ドラゴンをドラゴンステーキにして、全員でドラゴンの肉を堪能した。


久々に食べたドラゴンの肉はとてもおいしく、クリフは何枚もおかわりしてひたすらドラゴンの肉を食べた。あまりのおいしさにクリフは忘れていた。今日から夜の営みが始まるという事を・・・


☆☆☆☆☆


いつも読んでいただきありがとうございます。


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