第211話 前人未踏の71階層から先へ

「迷惑かけてごめんなさい。僕と結婚して下さい!」


クリフはセリーヌ、ユーナ、ナリアの3人に、奈落の底ダンジョンの70階層の安全地帯のコテージの中で、朝食を食べてる途中にプロポーズした。


「クリフ様。」

「クリフさん。」

「クリフ。」


「ダメ・・・かな?」


「ふふふ。ダメなんかじゃありませんわ。とてもうれしいです。」


「私もです。クリフさんらしくて素敵です。」


「ムードもクソもないけど、好きな男から言われてうれしくない訳ないわ。」


「みんな・・・。」


「結果的にうまくいって良かったです。焦ってないとは言ってもクリフ様はほおっておくと婚約者がドンドンドンドン増えていきます。いつの間にか私ではなく他の方と・・・とは考える事はありましたから。」


「セリーヌ・・・。」


「でも・・・もう大丈夫ですよね?」


「うん。ゴメン。至らない所の多い僕だけど、色々教えてくれると助かるかな。」


「もちろんです。私はクリフ様の隣に立つのを目標にしていますから。」


「私も精一杯サポートします。」


「私もよ。もちろん夜の方も任せておいて。お母さまから色々聞いたからばっちりよ。」


「ありがとう。ありがとうみんな。」


(もっとカッコイイ、白馬の王子様みたいな主人公をイメージしてたけど、現実はこんな泥臭い感じでもいいよな。よし僕は・・・いや俺は・・・今日大人の階段を登る。)


この時、クリフは自分の事を僕から俺へと変更した。これはクリフが男としてやる気を出した為である。


(やっぱり僕より俺の方が男らしいイメージがあるもんな。)


理由はとても単純な事だったが・・・


クリフは心配事が無くなり、心のストレスが軽くなった。気不足と言う事もあり、セリーヌ達に昼まで寝るように言われたクリフは、その言葉に甘えて昼まで一人眠るのだった・・・


そして、クリフが眠った後セリーヌ達は・・・


「まさかクリフ様からあんな事を言うなんてね。」


「そうですね。よくよく考えたら下着はやりすぎたかもしれませんね。下着も過激なヤツでしたし・・・。」


「そうね。でもよかったわ。ちゃんと話す事ができて。やっぱりクリフも男ね。」


「あとは・・・今日から・・・その・・・やっぱりするんですよね?」


「もちろんです。クリフさんがやる気になったんです。ここで躊躇したらダメですよ。」


「ユーナの言う通りよ。それにみんなで話合ったでしょ。もし妊娠しても他のメンバーで助け合うって。その為にジャンヌやソフィアだって、今もグランに鍛えてもらってるはずよ。」


「わかりました。ユーナ。今日はあなたの日だけど変わってもらっていいですか?やっぱり最初は私がお相手をしたいんです。」


「大丈夫ですよ。セリーヌの気持ちはわかってますから。でもその代わり、どうだったかちゃんと教えてくださいね。私だって初めてですからどうだったから気になります。」


「もちろん私にもちゃんと教えてよね。どうせするなら私もクリフもお互いに気持ちよくなりたいわ。」


「わかってるわ。は~。こんな時ならもっとお母様に色々聞いておくべきだったわ。私うまくできるかしら?」



その後も時間を忘れておしゃべりしていたセリーヌ達は、クリフが起きてくるまで延々と今日の夜の事について話続けていた。


「おはよう。お陰でばっちりだよ。さあダンジョン攻略に行こうか。」


「「「はい。」」」


クリフ達は70階層の階段を降りて、人類未踏の71階層へと降りて行った。


「ここが71階層・・・」


71階層に降りるとそこには、大きな壁が立ちふさがっていた。


「なるほどね。この壁があるから先には進めなかったんだね。先に進むには・・・。あそこかな?」


クリフは壁の中にある扉を指さした。そして扉の前まで移動し、扉を見上げた。


「どうやって開けるのでしょうか?」


「どうなんだろ?選ばれた人は通る事ができるって言ってたけどちょっと押してみようか。」


クリフが扉をあけようと扉に手を掛けると、クリフの手は扉に触れずにそのまま扉をすり抜けてしまった。


(すり抜けるって・・・そういう事か)


「セリーヌもユーナもナリアもちょっと扉に触れてみて。」


3人は恐る恐る扉に触れる。だが3人とも扉に触れる事はできなかった。クリフ同様にその手は扉をすり抜けてしまったからだ。


「これは?」


「多分だけど、通れる人は扉をすり抜けて向こう側にいけるんだと思う。だから例えば選ばれた人以外なら、扉をすり抜ける事ができずにここから先にいけないんじゃないかな?」


「なるほどね。先人達はドアをすり抜ける事ができなかったのね。」


「多分ね。」


「じゃあ早速先に進みましょ。魔族達が後ろから迫ってきてるかもしれないし。」


クリフ達は、恐る恐る、ドアを通り抜けた。そしてその先には・・・


見渡す限りの荒地、岩場が広がっていた。空にはドラゴンが飛んでおり、魔物の移動する音なのか、地響きが鳴っていた。


「ドラゴンがあんなに・・・」


セリーヌは空を飛びドラゴンを見てつぶやく。


「ここからは更に魔物が強そうだね。軽く鑑定してみたけど、どの魔物もレベル100を超えてるみたいだ。でも広い空間だから俺の気配察知で魔物の場所はわかるし、注意しながら進めばいけそうだ。」


「どうするのクリフ?」


「ここを歩いて移動していくのはちょっと苦労すると思うからまずはみんなに飛行の魔法を覚えてもらおうと思う。空を飛べるようになれば移動は楽になるしね。だからまずは拠点になりそうな場所を探そうか。」


奈落の底ダンジョンを攻略する為、更なる力を付けるべく行動を開始するのだった。


☆☆☆☆☆


いつも読んでいただきありがとうございます。


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