第210話 王族・貴族の常識
(はあ~。僕はこのダンジョンから生きて帰る事ができるんだろうか?もしかしたら今日死ぬかもしれない。寝不足・我慢の限界・窒息死で・・・)
クリフは今、寝れない夜を過ごしていた。なぜなら、クリフの右隣にはセリーヌとナリアが、左隣りにはナリアがガッツリと抱き着いていた。
今日は腕枕をしていない。だけど、手を動かす事は出来なかった。クリフの手は丁度セリーヌ達の下着の部分に当たっていた。
(刺激的すぎるだろ・・・誰?あんな下着を買うように提案したの・・・。たしかに僕はハーレムを希望しましたよ。しましたけども・・・。こんなダンジョン内は・・・ってそれは言い訳か・・・すいません。ヘタレなのと勇気が出ないだけです。憧れと妄想はあるけど現実はそううまくいかないのを知りました。)
クリフ達はまだ16歳ではあるが、この世界では学校を卒業する年15歳で結婚が可能になる。もちろんクリフも男でハーレム願望もある。やる事はやりたい。ただ、相手が王族であり、貴族であり、それが多数いるので、手を出せないでいた。
もちろん、手を出して嫌がられるのが怖いのが100%だ。欲を言えば、セリーヌ達から襲ってくれないかと密かに願っているクリフだが、セリーヌ達は1枚上手だった。自分達から襲う事はなかった。するのはクリフをその気にさせるまでだ。
それが余計にクリフには辛かった。
そんな事を何度も何度も何度も・・・考えていたらいつの間にか朝になっていた。
「もう朝か・・・。朝ご飯の時にちょっと聞いて見るか。直接聞いて見ないとわからないし、このままじゃ僕が危ない。」
クリフは逃げるのではなく、耐えるのでもなく、笑って流すのでもなく、直接聞く事を決めた。
そして、朝の食事の時、話題は今日向かう71階層についての話しだったが、クリフは話しの流れを止めた。
「ちょっといいかな?」
「はい。どうしたんですかクリフ様?」
「クリフさん?」
「どうしたのクリフ?」
「う、うん。昨日の事なんだけどね。え〜っと、その・・・どう言うつもりなのかと思って・・・」
(3対1じゃいいづらいよ・・・)
「「「えっ!?」」」
「クリフ様・・・もしかして・・・ああいうのはお嫌いでしたか?」
「いや。いやそうじゃないよ。そうじゃないんだけど、お風呂にも入ってきて、下着姿で寝て、急だったから何かあったのかと思って・・・その・・・僕も男だからセリーヌ達みたいな綺麗な人にそう言う事されると色々と・・・それに・・・」
「それに?」
「そう言った事には慣れてないからどうしたらいいかわからなくて・・・」
(あ〜うまく伝えれない。こう言う所は前世のままで全く成長してないよ。いっそプレイボーイとかの女性の扱いがうまくなるスキルでもあればよかったのに。)
「こんなクリフを見るのも新鮮でいいわね。」
「クリフさん。可愛いです。」
「ふふふ。それでクリフ様の目の下に隈があるんですね。大方気になって眠れなかった。って所ですか?」
「うん・・・」
セリーヌはクリフの言葉を聞き、ユーナとナリアを見る。二人はセリーヌと目が合うと軽く頷いた。そして静かに語り出した。
「クリフ様・・・全てお話ししますね。実はお父様から早く結婚するように何度も強く言われてまして、私以外にもユーナや、ナリア、ジャンヌにソフィアも、みんな親から結婚を急かされてます。」
「えっ。どうして?まだボク達16歳だよ?」
「クリフ様はいつ私達と結婚する予定だったのですか?」
「いつ?そうだな〜20歳ぐらい?まだ学校を卒業したばかりだし、いつとか具体的には考えてないかな。」
「遅いわ。クリフはいいかもしれないけど、女性は20歳で結婚なんて遅すぎるわ。周りからいい笑いものよ。」
「そう・・・なの?」
「そうです。今ナリアが言ったように、20歳は遅すぎます。普通は学校を卒業したらすぐに結婚します。王族や貴族の女性は多くの後継を産まなければなりません。その為には、結婚できる年になったらすぐに結婚するのが貴族の常識です。」
(まじか〜。知らなかった・・・でもなるほど。僕が全く結婚についてふれなかったから、こう言う事態になってる訳か。納得だ。)
「クリフさんは学校卒業してから私がいる聖国だったり、今は帝国だったり忙しくしてます。私達はクリフさんの性格も知っているので大丈夫なんですが・・・。」
「とにかく父親がうるさいのよ。早く結婚しろ。既成事実を作れ。積極的にいかないと他の女に取られるぞ。って。帝国がこんな状態なのに、これはこれ、それはそれだって言って。」
「そうなんだ・・・それはなんか・・・ごめん。」
(異世界テンプレなら、お前に娘はやらん!とか節度は守れよ!とか18歳までは我慢しろ!娘がほしければ俺を倒していけ!みたいな感じだと思ってたけど、実際はイケイケゴーゴーだったって事か。は〜。これは僕の思い込みが原因だな。もっと早く聞いておけばよかった。)
クリフは覚悟を決めて、3人に頭を下げた。
「迷惑かけてごめんなさい。僕と結婚して下さい!」
全くムードもないシチュエーションだがクリフは3人にプロポーズするのだった。
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いつも読んでいただきありがとうございます。
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