第206話 1週間の休息と・・・
クリフが目を覚ますと、両腕と柔らかいぬくもりがあった。
(は~・・・どうしてこうなった。)
クリフの両隣にはグラン、スイム、クインの3人がクリフに引っ付いてスヤスヤと寝ていた。グランは右隣、左隣にはスイムが、そしてお腹の上にはクインがスライムの状態で眠っていた。
こうなったのは、クリフが奈落の底ダンジョンから一時帰還した日に、ジャンヌやソフィアにセリーヌ達がクリフと一緒に寝た事を自慢気に話した事が原因だ。
ジャンヌとソフィアはセリーヌ達だけずるい!とクリフに抗議した。もちろんクリフとしては同じ婚約者なのだ。ジャンヌやソフィアとも一緒に寝る事になんの不満もなかった。
そこに、さらに意義を申し出たのが従魔3人衆だ。グラン、スイム、クインの3人もクリフと一緒に寝たいと駄々を捏ねたのだ。もはや止める術もなく、クリフは一緒になる権利を婚約者達にゆだねたのだった。
「おはようグラン、スイム、クイン。もう朝だよ。」
クリフは寝ているグラン、スイム、クインを起こした。
「マスター。我はまだ眠いぞ。」
「マスターおはようです。」
「マスターおはようなのです。」
「うんおはよう。ほらグランも起きて。早く起きてみんなのご飯作るんだろ?」
「それはスイムとクインが言ってた事じゃ。我は料理なんかできんのじゃ。」
「パンを焼くぐらいはできるだろ?ほらほら起きた起きた。」
クリフはグランを叩き起こす。スイムとクインは起きてそれぞれ着替えて準備していた。
クリフ達はテキサス城で寝泊まりしているので、ご飯は料理人がちゃんといるのだが、ダンジョン内で、クリフがセリーヌ達と一緒に料理をしていた事を知って、私達もと駄々を捏ねたので、クリフ達の食事はクリフが婚約者&従魔達と一緒に作る事が決まっていた。
料理を作っていると、準備を終えた人が次々と席について、朝食を待つ。クリフとグラン達は作った料理をテーブルに並べ、クリフ達は食事しながら今日の予定を話しあった。
ちなみに食事はクリフ、セリーヌ、ジャンヌ、ソフィア、ユーナ、ナリア、グラン、スイム、クイン、それにナリアの両親の11人と大人数での食事だった。
「今日は買い出しと炊き出しをするって言ってたわよね?」
ナリアがクリフに今日の予定を尋ねた。
「そうだね。住む家の無い人が多いからユーナが炊き出しをしてあげたいって言ってたし教会主導で炊き出しを行う予定だよ。食料は僕のアイテムボックスに入ってるけど、ダンジョン攻略でけっこう使っちゃったからその補充もしておきたいね。」
「でもクリフ様?この状況だったら市場も開いてないんじゃないですか?」
「そうだね。だから食料の購入は転移魔法を使って、聖国か王国で買ってこようかと思ってるよ。ここにいる1週間は炊き出しを続けると思うから多めに買う予定だね。」
「ではクリフさん。先に聖国に行っていただいてもよろしいでしょうか?聖都ならアスカがいるので、手伝ってもらえれば炊き出しもスムーズに行くと思います。」
「わかった。全然かまわないよ。」
「私はグラン達と一緒に建物の立て直しのお手伝いをしますわ。今の私なら土魔法で色々お手伝いできると思いますから。」
「なら私もセリーヌを手伝うわ。私もダンジョンに行ってかなり力が付いたから復興作業は色々手伝えると思うわ。」
「うん。お願い。」
「ソフィア。私達はユーナを手伝いましょうか?」
「そうですね。」
「ジャンヌもソフィアもありがとう。本当なら久しぶりに会ったんだし色々買い物に行きたいけど、帝都がこの状況だしね。」
「わかってるから気にしなくていいわよ。それに今日は私とソフィアの日だからね。夜は期待しているわ。」
「クリフ君。楽しみにしてるよ。」
「う、うん。」
「クリフ。すまないな。帝都の為に色々してもらって。」
「気にしないでください。どっちみち1週間はダンジョンにはいけませんので、魔族達がダンジョンに向かってるかもしれませんが、僕達は60階層まで攻略しています。魔族達がダンジョンに入っていたとしても僕達の方が先に進んでいるはずです。それに、次いつ襲撃があるかわかりませんから。」
「うむ。すまないがよろしく頼む。」
食事を終えたクリフ達は、それぞれ帝都の復興作業の為に動き出した。壊れた建物を復旧するグループと、家を失った人達への炊き出しのグループ。クリフ達が1週間精力的に行動したお陰で帝都の街は襲撃前と遜色ないレベルまで修復できた。
この1週間、クリフは・・・
セリーヌ達とともに朝食を作り、
ユーナ達とともに炊き出しを行い、
ナリア達とともに壊れた建物を直し、
ジャンヌ達とともに昼食を作り、
ソフィア達とともに他国に食料や日用品を買いに走り、
グラン達とともに夕食を作り、
スイム達とともに食後のおしゃべりをし、
クイン達とともに寝る。
とても充実した1週間を過ごしていたのだが・・・
(は~一人に時間がほしい・・・)
贅沢な悩みを抱えながら一日に2回、トイレへと駆け込むクリフであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます